2021.08.02
◇福井インターハイ(7月28日~8月1日/福井・福井県営陸上競技場)
インターハイ最終日に、今大会唯一の高校記録が誕生した。
男子110mハードルはシーズンベストで14秒20を切った出場6人。シニアでも活況なこの種目はハイレベルが予想されたが、それを上回る衝撃的なレースが展開された。
予選から好調だったのが西徹朗(名古屋3愛知)。予選で13秒97(±0.0)の自己新と初の13秒台をマークすると、準決勝では追い風参考ながら13秒78(+3.6)と高校記録(13秒83)を上回る記録を出してきた。
同レースで13秒98の松本望(洛南3京都)、準決勝別組で13秒92(+2.7)の樋口隼人(松山3埼玉)、そして今季13秒93を出していた小池綾(大塚3大阪)は準決勝13秒88(+3.0)と、風に乗って好記録が連発した。
風がやや収まって迎えた決勝。スタートから飛び出したのは松本。だが、「前半で先行されるのはいつものこと」という西が中盤以降グイグイと加速する。「スピードに乗っていけば巻き返せると思った」と得意の後半にかけて差を広げていく。
ダントツでフィニッシュラインを駆け抜けてタイムが注目される。表示されたのは13秒69(+1.4)。高校生初の13秒6台突入は、古谷拓夢(相洋・神奈川)が2014年に出した高校記録、そして金井直(川崎橘・神奈川)が15年に作った大会記録13秒85を大きく上回る快記録で、U20日本歴代でも3位にランクインした。
「まだ実感が湧かないです」が率直な感想。「予選で身体が動いているのがわかって、そのまま準決勝、決勝と臨めました」と言う。
今大会400mハードルを制した高橋遼将(中京大中京3愛知)とは、中学時代から同じクラブチームに通っていた仲で、ライバルであり、友。その高橋も110mハードルの有力選手だったが腰を痛めた影響で西と同じ組に入った準決勝を棄権した。その思いも背負って、西が頂点に立った。
「これ以上の記録を目指すにはもっとスプリントが必要なので、さらに磨いていきたいです」
日本記録保持者・泉谷駿介(順大)の「強く踏み切るハードリングを見てイメージを広げた」という西が、次はその泉谷らシニアトップ選手に挑む日が近いうちにやってきそうだ。
2位入った小池も自己タイ記録の13秒93。「悔しいですが今出せる力は出せました」。3位には樋口で、こちらも13秒95(=高校歴代9位タイ)。高校生による同一レース複数13秒台は初めて。4位に松本が14秒05で続き、廣冨葵士(広尾2北海道)は高2歴代8位の14秒17で5位。同じく2年生の今西亮太(葵・広島)も14秒22の好タイムで6位と健闘した。
新たなステージに突入した高校の男子110mハードル。ライバルでの切磋琢磨でシニア勢を突き上げていくだろう。
女子100mハードルを制した田口真悠(埼玉栄3埼玉)も13秒52(+1.8)の好記録。0.01秒差で浅木都紀葉(広島皆実3広島)との競り合いを制した。
男子走高跳はチュクネレ・ジョエル優人(八千代松陰・千葉)が2m12で2年生優勝。女子三段跳は三木麗菜(姫路商3兵庫)が12m93(+2.6)で頂点に立った。公認では高校歴代9位の12m77(+1.7)をマークしている。
女子4×400mリレーは相洋(神奈川)が制し、フィナーレを飾る男子4×400mリレーは東福岡が3分11秒71で悲願の初優勝を飾った。
学校対抗は男子が洛南(京都)、女子は中京大中京(愛知)が総合優勝。最優秀選手には男子が110mハードルの西、女子は三段跳の三木が選ばれた。
◇5日目の優勝者(一部優勝コメント)
●男子
110mH
西徹朗(名古屋3愛知) 13秒69(+1.4)=高校新
3000m障害
ボニフェス・ムテチ(仙台育英2宮城)8分48秒50
4×400mR
東福岡(福岡) 3分11秒71
走高跳
チュクネレ・ジョエル優人(八千代松陰・千葉) 2m12
「目標は2m21でした。南関東大会後に膝を痛めましたが、感覚を思い出せました」
円盤投
小宮路大隼(生光学園3徳島) 50m94
●女子
3000m
ワングイ・エスター(興譲館3岡山) 8分59秒41
100mH
田口真悠(埼玉栄3埼玉) 13秒52(+1.8)
「高校に入った時から日本一を目指してきたので、インターハイで取れてうれしいです」
4×400mR
相洋(神奈川) 3分42秒11
三段跳
三木麗菜(姫路商3兵庫) 12m93(+2.6)
「3年間の集大成のつもりで臨みました。最後の最後まで誰が勝つか分からない展開でしたが優勝できてうれしいです」
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会