2019.07.13
日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020
第9回「ダイヤモンドアスリート」の飛翔
日本陸連が2015年に立ち上げた「ダイヤモンドアスリート」制度。U20世代を対象に、2020年東京五輪だけでなく、その先の世界大会で活躍が期待される選手を少数精鋭で選抜して強化育成するプロジェクトで、設立に大きく関わったのが当時強化育成部長だった山崎一彦ディレクター。「競技はもちろん、豊かな人間性を持つ国際人となり、今後の日本及び国際社会の発展に寄与する人材として期待される競技者」という理念の元に、第1期生として選ばれたのが男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大/当時、城西高・東京)や女子やり投の北口榛花(日大/当時、旭川東高・北海道)だった。2人ともその年(2015年)の世界ユース選手権(コロンビア・カリ、現・U18世界選手権)で金メダルを獲得し、サニブラウンは100m、200mを大会新記録で制した。男子走幅跳の橋岡優輝(日大/当時、八王子高・東京)は翌年ダイヤモンドアスリートに加わった2期生で、サニブラウンとは同学年。その年(2016年)のU20世界選手権は入賞を逃したものの、昨年の同大会(フィンランド・タンペレ)では金メダリストの称号を得て帰国した。
そして、「ダイヤモンドアスリート」の修了生となった3人の、今季の活躍が目覚ましい。20歳になったサニブラウンは100mで9秒97(+0.8)の日本新、200mでは20秒08(+0.8)の日本歴代2位。21歳の北口も5月に64m36を投げて日本記録保持者になった。4月のアジア選手権で優勝した20歳の橋岡は、日本記録にあと3cmと迫る日本歴代2位(8m22)。故障などもあり、それぞれ平坦な道のりではなかったが、今そろってまばゆいばかりの光を放ち始めている。
6月末に福岡市で開催された日本選手権では、2年ぶりに100m、200mの2種目優勝を飾ったサニブラウンと、63m68の大会新で初優勝の北口が最優秀選手に選出され、橋岡は3連覇。仲良くドーハ世界選手権の代表入りを決めた。「ダイヤモンドアスリート」の代表格とも言える3人が、ここまでどんな取り組みをして成長し、シニアの世界の舞台で羽ばたこうとしているのか。山崎ディレクターと2008年北京五輪男子4×100mリレーの銀メダリスト・朝原宣治氏(ダイヤモンドアスリート・プログラムマネージャー)を交えて話し合ってもらった。
日本選手権Ⅴでそろって世界選手権代表入り
──日本選手権、大変お疲れさまでした。選手の皆さんは、お互いに結果をどう見ましたか。
サニブラウン 毎日レースがあったので、忙しくて観てないです(笑)。
北口 私はハキームの試合、人が多くて観に行くのをあきらめました(笑)。橋岡の試合は観に行きましたけどね。
──6回目にトップにいる橋岡選手が1cm差に迫られた時、ドキドキしませんでしたか。
北口 いや、全然(笑)。
山崎 選手はそんなもんですよね。各自、挑戦していますから。
橋岡 僕は大学で北口さんの1年後輩なんですけど、去年の日本選手権で北口さんがトップエイトに残れなくて落ち込んでいても、特に心配しなかったです。他のダイヤモンドアスリートに対しては、「結果的に(記録を)出すでしょ」という気持ちがあって……。今回、同じ2期生の江島(雅紀、日大/男子棒高跳)もちゃんと優勝しましたしね。そこは信頼しています。
北口 私の調子が悪い間に、橋岡が国際大会でメダルを取って帰って来た時も、「まあ、そうだよな」と思っていました。「それが普通だよな」って。ハキームが日本新を出した時も、「やっぱりね」という感じだったよね。
橋岡 「(9秒)97、出たね」って、グラウンドで話しました。「あんな過密なタイムスケジュールじゃなければ、もっと出るよね」と。
──今回のサニブラウン選手の活躍も、当たり前のように受け止めてましたか。
橋岡 そうですね。「自分もがんばらないとな」と思っていました。
──では、日本選手権の結果について、自己評価してもらいましょうか。
サニブラウン いいこともあり、悪いこともありの4日間でしたね。ただ、ケガしないで無事に走り切ったので、それが一番です。100m、200mの両方で代表を決められて、ひと安心というところです。
橋岡 僕も、とりあえず代表を決められたので良かったです。試合の内容としたら「やっちまったな」という感じですけど(笑)。
北口 私もやっと代表になれたので、ホッとしました。「もう1回、日本記録を更新できたかな」という思いはありますけど、まあ上出来だと思います。
※この続きは2019年7月13日発売の『月刊陸上競技』8月号をご覧ください
日本陸連強化委員会 ~東京五輪ゴールド・プラン~ Challenge to TOKYO 2020
第9回「ダイヤモンドアスリート」の飛翔
日本陸連が2015年に立ち上げた「ダイヤモンドアスリート」制度。U20世代を対象に、2020年東京五輪だけでなく、その先の世界大会で活躍が期待される選手を少数精鋭で選抜して強化育成するプロジェクトで、設立に大きく関わったのが当時強化育成部長だった山崎一彦ディレクター。「競技はもちろん、豊かな人間性を持つ国際人となり、今後の日本及び国際社会の発展に寄与する人材として期待される競技者」という理念の元に、第1期生として選ばれたのが男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大/当時、城西高・東京)や女子やり投の北口榛花(日大/当時、旭川東高・北海道)だった。2人ともその年(2015年)の世界ユース選手権(コロンビア・カリ、現・U18世界選手権)で金メダルを獲得し、サニブラウンは100m、200mを大会新記録で制した。男子走幅跳の橋岡優輝(日大/当時、八王子高・東京)は翌年ダイヤモンドアスリートに加わった2期生で、サニブラウンとは同学年。その年(2016年)のU20世界選手権は入賞を逃したものの、昨年の同大会(フィンランド・タンペレ)では金メダリストの称号を得て帰国した。 そして、「ダイヤモンドアスリート」の修了生となった3人の、今季の活躍が目覚ましい。20歳になったサニブラウンは100mで9秒97(+0.8)の日本新、200mでは20秒08(+0.8)の日本歴代2位。21歳の北口も5月に64m36を投げて日本記録保持者になった。4月のアジア選手権で優勝した20歳の橋岡は、日本記録にあと3cmと迫る日本歴代2位(8m22)。故障などもあり、それぞれ平坦な道のりではなかったが、今そろってまばゆいばかりの光を放ち始めている。 6月末に福岡市で開催された日本選手権では、2年ぶりに100m、200mの2種目優勝を飾ったサニブラウンと、63m68の大会新で初優勝の北口が最優秀選手に選出され、橋岡は3連覇。仲良くドーハ世界選手権の代表入りを決めた。「ダイヤモンドアスリート」の代表格とも言える3人が、ここまでどんな取り組みをして成長し、シニアの世界の舞台で羽ばたこうとしているのか。山崎ディレクターと2008年北京五輪男子4×100mリレーの銀メダリスト・朝原宣治氏(ダイヤモンドアスリート・プログラムマネージャー)を交えて話し合ってもらった。日本選手権Ⅴでそろって世界選手権代表入り
[caption id="attachment_3713" align="aligncenter" width="500"] 6月末の日本選手権で優勝して世界選手権代表に決まった3人。左から女子やり投の北口榛花(日大)、男子100m、200mのサニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大)、男子走幅跳の橋岡優輝(日大)[/caption] ──日本選手権、大変お疲れさまでした。選手の皆さんは、お互いに結果をどう見ましたか。 サニブラウン 毎日レースがあったので、忙しくて観てないです(笑)。 北口 私はハキームの試合、人が多くて観に行くのをあきらめました(笑)。橋岡の試合は観に行きましたけどね。 ──6回目にトップにいる橋岡選手が1cm差に迫られた時、ドキドキしませんでしたか。 北口 いや、全然(笑)。 山崎 選手はそんなもんですよね。各自、挑戦していますから。 橋岡 僕は大学で北口さんの1年後輩なんですけど、去年の日本選手権で北口さんがトップエイトに残れなくて落ち込んでいても、特に心配しなかったです。他のダイヤモンドアスリートに対しては、「結果的に(記録を)出すでしょ」という気持ちがあって……。今回、同じ2期生の江島(雅紀、日大/男子棒高跳)もちゃんと優勝しましたしね。そこは信頼しています。 北口 私の調子が悪い間に、橋岡が国際大会でメダルを取って帰って来た時も、「まあ、そうだよな」と思っていました。「それが普通だよな」って。ハキームが日本新を出した時も、「やっぱりね」という感じだったよね。 橋岡 「(9秒)97、出たね」って、グラウンドで話しました。「あんな過密なタイムスケジュールじゃなければ、もっと出るよね」と。 ──今回のサニブラウン選手の活躍も、当たり前のように受け止めてましたか。 橋岡 そうですね。「自分もがんばらないとな」と思っていました。 ──では、日本選手権の結果について、自己評価してもらいましょうか。 サニブラウン いいこともあり、悪いこともありの4日間でしたね。ただ、ケガしないで無事に走り切ったので、それが一番です。100m、200mの両方で代表を決められて、ひと安心というところです。 橋岡 僕も、とりあえず代表を決められたので良かったです。試合の内容としたら「やっちまったな」という感じですけど(笑)。 北口 私もやっと代表になれたので、ホッとしました。「もう1回、日本記録を更新できたかな」という思いはありますけど、まあ上出来だと思います。 ※この続きは2019年7月13日発売の『月刊陸上競技』8月号をご覧ください
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