2021.06.18
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第99回「『9』秒台」(小川雅生)
つらつらと綴ってきたこのコラムも、今回で99回目。記念すべき100回直前に回ってきました。さて、100回目を飾るのは果たして誰でしょうか???(それは順番を把握されているコアな方々には、もうおわかりでしょうね 笑)。来週開催予定の100回目がどんな内容になるのか、お楽しみに!!!
さて、99回目なので、やはり9にまつわる話を少々……。と言っても、今の陸上界で「9」と言えば、やっぱり男子100mの9秒台についてでしょう。
ちなみに、私はまだ日本人が9秒台を出したレースを現場では観られていません。
日本人初の9秒台を出した桐生選手の2017年日本インカレは、締め切りギリギリの状況で、編集部で待機していました。当時は、今は当たり前になったライブ配信はなく、SNSが頼り。100mが終わった瞬間、SNS上に上がってきた「9秒台」という文字に、は??と時が止まったのを覚えています。
2019年のサニブラウン選手、小池選手の9秒台ラッシュも、海外でのレースだったこともあって、ライブリザルトを追いかけて知りました。サニブラウン選手の9秒99、9秒97、小池選手の9秒98。高い高い壁が破られたあと、堰を切ったように次々と記録が出るというのはよく言われることですが、日本人の「9秒台時代」の幕が開けたことを実感したことを覚えています。
そして、先日の山縣選手の日本新。これは配信動画ではありますが、リアルタイムタイムで初めて観られた9秒台でした。ただ、この時は感動というよりも、ニュースをアップするという現実があったことで、一気に「編集者ハイ」モードに切り替わりました。お陰様で多くの皆様に情報が届けられたようで、レース後はホッとしました(ただし、その後は締め切りまで猛ダッシュすることになりましたが……)。
かけっこから始まる「走る」ということを多くの人が知っているからこそ、そのすごさを潜在的に感じ取れるのでしょうね。じゃあ、実際に生で9秒台を観たら、どうなっちゃうんでしょう。ちなみに、私のリアルでの日本人最速は「10秒01」です。
しかし、世界的に見れば9秒台は当たり前で、世界で一番足が速い選手を決める「ファイナル」の舞台に上がるためには、絶対に必要な記録。そしてその「ファイナル」とい舞台は、世界のトップスプリンターが全精力を注ぎこんで真剣勝負をする唯一の場。これまで、9秒台を出してきた選手たちはみな、「これが世界のスタートライン」といった言葉を残してきました。誰もが記録を出したことで満足することなく、そんなとてつもない場所で「勝負する」ことを目指し、さらなる努力を積み重ねています。
6月24日からの日本選手権で日本人初の9秒台決着となるかも??
この夏、その決勝のスタートラインに日本人選手が立っていたとしたら、たぶん私は初めて生で日本人選手の「9秒台」を目撃できていることでしょう(その前に、ひょっとしたら来週の日本選手権でその時を迎えているかも?)
リレーに関しても、日本チームが目指していたことが実現する可能性がふくらんできています。5年前のリオ五輪で金メダルを獲得した時は、全員が10秒台。その後、金メダルを獲得するためには9秒台、もしくは200m19秒台を持つ選手たちでオーダーを編成できるようにすることを目指してきました。山縣選手が日本人4人目の9秒台を出したことで、それが実現可能になったわけです。もちろん、4継のオーダーは日本選手権の結果、それから東京五輪本番の結果を経て決まるわけですから、どんな4人が選ばれるかはまだまだわかりません。しかし、日本としては「全員9秒台」の力がついたということは間違いありません。
ということは、もはや日本は走力をバトンパスの技術でカバーする国ではなく、走力で他国と勝負できる水準にあるということです。走力で互角の勝負に持ち込めれば、伝統のバトンパスで世界をリードすることができる。そう考えると、すごくないですか??
振り返ってみて、「9秒台」はいろんな人の心を揺さぶる記録だと改めて感じます。次は誰が9秒台を出すのか、さらには9秒8台、7台の時代がいつ来るのか。そういった注目を常に集める男子100mには、これからも日本ン陸上界のフラッグシップとなっていってほしいと思います。
小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
編集部コラム第98回「いいわけ」(船越)
編集部コラム第97回「My Privacy」(松永)
編集部コラム第96回「追い風最高記録」(大久保)
編集部コラム第95回「競技会に必要なもの」(井上)
編集部コラム第94回「メンタルトレーニング」(山本)
編集部コラム第93回「努力は報われた」(向永)
編集部コラム第92回「2年ぶりの織田記念」(小川)
編集部コラム第91回「エゴイスト」(船越)
編集部コラム第90回「あらためて100m10秒台ってすごいタイムですよね??」(松永)
編集部コラム第89回「学生競技会の華 大学対校戦!」(大久保)
編集部コラム第88回「U20世界選手権の上位候補をリサーチ!」(井上)
編集部コラム第87回「編集部コラム「郷土の応援」(山本)
編集部コラム第86回「あこがれの松田耕作記者」(向永)
編集部コラム第85回「スポーツのチカラ」(小川)
編集部コラム第84回「初心」(船越)
編集部コラム第83回「高校生にとってのインターハイ」(松永)
編集部コラム第82回「2020年世界リストTop10入り日本人選手」(大久保)
編集部コラム第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上)
編集部コラム第80回「一番アツい夏」(山本)
編集部コラム第79回「前向きな言葉という魔法」(向永)
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第99回「『9』秒台」(小川雅生)
つらつらと綴ってきたこのコラムも、今回で99回目。記念すべき100回直前に回ってきました。さて、100回目を飾るのは果たして誰でしょうか???(それは順番を把握されているコアな方々には、もうおわかりでしょうね 笑)。来週開催予定の100回目がどんな内容になるのか、お楽しみに!!! さて、99回目なので、やはり9にまつわる話を少々……。と言っても、今の陸上界で「9」と言えば、やっぱり男子100mの9秒台についてでしょう。 ちなみに、私はまだ日本人が9秒台を出したレースを現場では観られていません。 日本人初の9秒台を出した桐生選手の2017年日本インカレは、締め切りギリギリの状況で、編集部で待機していました。当時は、今は当たり前になったライブ配信はなく、SNSが頼り。100mが終わった瞬間、SNS上に上がってきた「9秒台」という文字に、は??と時が止まったのを覚えています。 2019年のサニブラウン選手、小池選手の9秒台ラッシュも、海外でのレースだったこともあって、ライブリザルトを追いかけて知りました。サニブラウン選手の9秒99、9秒97、小池選手の9秒98。高い高い壁が破られたあと、堰を切ったように次々と記録が出るというのはよく言われることですが、日本人の「9秒台時代」の幕が開けたことを実感したことを覚えています。 そして、先日の山縣選手の日本新。これは配信動画ではありますが、リアルタイムタイムで初めて観られた9秒台でした。ただ、この時は感動というよりも、ニュースをアップするという現実があったことで、一気に「編集者ハイ」モードに切り替わりました。お陰様で多くの皆様に情報が届けられたようで、レース後はホッとしました(ただし、その後は締め切りまで猛ダッシュすることになりましたが……)。 かけっこから始まる「走る」ということを多くの人が知っているからこそ、そのすごさを潜在的に感じ取れるのでしょうね。じゃあ、実際に生で9秒台を観たら、どうなっちゃうんでしょう。ちなみに、私のリアルでの日本人最速は「10秒01」です。 しかし、世界的に見れば9秒台は当たり前で、世界で一番足が速い選手を決める「ファイナル」の舞台に上がるためには、絶対に必要な記録。そしてその「ファイナル」とい舞台は、世界のトップスプリンターが全精力を注ぎこんで真剣勝負をする唯一の場。これまで、9秒台を出してきた選手たちはみな、「これが世界のスタートライン」といった言葉を残してきました。誰もが記録を出したことで満足することなく、そんなとてつもない場所で「勝負する」ことを目指し、さらなる努力を積み重ねています。 6月24日からの日本選手権で日本人初の9秒台決着となるかも?? この夏、その決勝のスタートラインに日本人選手が立っていたとしたら、たぶん私は初めて生で日本人選手の「9秒台」を目撃できていることでしょう(その前に、ひょっとしたら来週の日本選手権でその時を迎えているかも?) リレーに関しても、日本チームが目指していたことが実現する可能性がふくらんできています。5年前のリオ五輪で金メダルを獲得した時は、全員が10秒台。その後、金メダルを獲得するためには9秒台、もしくは200m19秒台を持つ選手たちでオーダーを編成できるようにすることを目指してきました。山縣選手が日本人4人目の9秒台を出したことで、それが実現可能になったわけです。もちろん、4継のオーダーは日本選手権の結果、それから東京五輪本番の結果を経て決まるわけですから、どんな4人が選ばれるかはまだまだわかりません。しかし、日本としては「全員9秒台」の力がついたということは間違いありません。 ということは、もはや日本は走力をバトンパスの技術でカバーする国ではなく、走力で他国と勝負できる水準にあるということです。走力で互角の勝負に持ち込めれば、伝統のバトンパスで世界をリードすることができる。そう考えると、すごくないですか?? 振り返ってみて、「9秒台」はいろんな人の心を揺さぶる記録だと改めて感じます。次は誰が9秒台を出すのか、さらには9秒8台、7台の時代がいつ来るのか。そういった注目を常に集める男子100mには、これからも日本ン陸上界のフラッグシップとなっていってほしいと思います。小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
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