HOME バックナンバー
【誌面転載】小林歩未11年ぶり高校新「13秒34」の背景を探る
【誌面転載】小林歩未11年ぶり高校新「13秒34」の背景を探る

追跡・三重インターハイ 女子100mH 小林歩未(市船橋3千葉)

真夏の主役となったシンデレラガールが刻んだ快挙までの軌跡

うだるような酷暑に見舞われた三重インターハイで誰よりも力強く、どのアスリートよりもまばゆい輝きを見せたのが女子100mハードルの小林歩未(市船橋3千葉)だ。6月の日本選手権の準決勝で高校歴代5位タイ(当時)の13秒47(+1.5)をマークした勢いそのままに、インターハイは13秒34(-0.3)で制覇。同種目で2005?07年に3連覇を成し遂げた寺田明日香(恵庭北・北海道)が07年に樹立した高校記録13秒39を11年ぶりに更新した。真夏の主役となったシンデレラガールが刻んだ快挙までの軌跡、急成長を遂げた3年間を、指導する後藤彰英先生が語ってくれた。

広告の下にコンテンツが続きます

未完成だったフィジカルと感じたポテンシャル

2013年から市船橋高(千葉)で指導にあたる後藤彰英先生が小林歩未と出会ったのは2015年6月のこと。「とにかく華奢。(成長までに)時間はかかるかな」というのが第一印象だったという。その一方でポテンシャルの高さも感じ、「基礎体力、走力の強化」をテーマとして高校1年目をスタートさせた。

「小林を初めて見たのは彼女が中学3年生だった6月です。本校の卒業生で400mハードルをやっていた比嘉和希(現・山梨学大)と同じ習志野六中出身で、指導されていた富所裕先生が練習に連れてきてくれました。その頃は中学1年生みたいな体格で、スタートから1台目まで8歩でいけるのかなと思うくらいでした。その年の県通信大会は向かい風が強くてハードル間を3歩で行けず、17秒かかって予選落ちしています(17秒61 /?1.9)。それでも県中学総体では全中の参加標準記録を切りましたし、細い割にバネはあるなという印象は持ちました。時間はかかるかもしれないけど、将来的に楽しみな子だと思いました」

その半年後、小林は市船橋高に入学。こうして後藤先生との3年間がスタートした。

「本当に華奢だったので、入学した当初は『この部分を強くしよう』というレベルではなく、土台をしっかりと作らないといけないという段階でした。まずは走力を上げようと、100mのトップスピードのベースを上げることにしました。フォームは腕が伸びてしまう癖があったのですが、体幹が動かないからそうなるので、時間をかけて基礎体力をしっかりつけることも重視しました」

トラックシーズンでの着実な成長とターニングポイントとなった初めての冬季練習

小林は1年目からインターハイ路線に出場し、千葉県大会の100mハードルで7位に。秋の関東高校新人では14秒64(+0.4 /4位)までタイムを短縮し、トラックシーズンで一歩ずつ着実な成長を遂げた。

「中学でしっかり練習を継続してくれていたことも大きく、入学直後からあまりブランクは感じませんでした。スムーズに高校
の練習に移行できたのは良かったと思います。インターハイ路線でもまずまずの結果を出しましたが、正規の間隔でハードル練習を行ったのは大会直前で、まずは高さに慣れることを重点的に練習させました。中学に比べてハードルが高くなって怖さが出ないように、短いハードル間で慣れてから徐々に間隔を延ばしていきました。1年目はそこまで結果を期待していなかったので、県大会はよく決勝まで行ったなという印象です。とにかく一生懸命練習する子なので、少しずつ成長していったと思います」

そして、高校生になって初めての冬季練習では、後藤先生が1つの大きなターニングポイントだと感じる進化を見せた。

「チームとしては11月から冬季に入ります。まずは負荷を落として量を追う期間を作るんですけど、翌年にブレイクする子は11月終わりから12月くらいで、こちらが驚くような動きを見せます。小林がまさにそうでした。冬の伝統練習でもある砂浜ダッシュで、勝ち上がり形式で気がつくと一番前を走っていることが多かったのです。『これは覚醒するかも』と感じるようになりました。とにかく素直で手を抜かない子でしたので、しっかり積み重ねていけたと思います」
※この続き2018年9月14日発売の『月刊陸上競技』10月号をご覧ください

※故障を抱えたまま臨んだ三重インターハイ、インターハイ直前の練習メニュー、市船橋高のシーズン中のトレーニング例、小林選手のインタビュー、などが続きます

追跡・三重インターハイ 女子100mH 小林歩未(市船橋3千葉)

真夏の主役となったシンデレラガールが刻んだ快挙までの軌跡

うだるような酷暑に見舞われた三重インターハイで誰よりも力強く、どのアスリートよりもまばゆい輝きを見せたのが女子100mハードルの小林歩未(市船橋3千葉)だ。6月の日本選手権の準決勝で高校歴代5位タイ(当時)の13秒47(+1.5)をマークした勢いそのままに、インターハイは13秒34(-0.3)で制覇。同種目で2005?07年に3連覇を成し遂げた寺田明日香(恵庭北・北海道)が07年に樹立した高校記録13秒39を11年ぶりに更新した。真夏の主役となったシンデレラガールが刻んだ快挙までの軌跡、急成長を遂げた3年間を、指導する後藤彰英先生が語ってくれた。

未完成だったフィジカルと感じたポテンシャル

2013年から市船橋高(千葉)で指導にあたる後藤彰英先生が小林歩未と出会ったのは2015年6月のこと。「とにかく華奢。(成長までに)時間はかかるかな」というのが第一印象だったという。その一方でポテンシャルの高さも感じ、「基礎体力、走力の強化」をテーマとして高校1年目をスタートさせた。 「小林を初めて見たのは彼女が中学3年生だった6月です。本校の卒業生で400mハードルをやっていた比嘉和希(現・山梨学大)と同じ習志野六中出身で、指導されていた富所裕先生が練習に連れてきてくれました。その頃は中学1年生みたいな体格で、スタートから1台目まで8歩でいけるのかなと思うくらいでした。その年の県通信大会は向かい風が強くてハードル間を3歩で行けず、17秒かかって予選落ちしています(17秒61 /?1.9)。それでも県中学総体では全中の参加標準記録を切りましたし、細い割にバネはあるなという印象は持ちました。時間はかかるかもしれないけど、将来的に楽しみな子だと思いました」 その半年後、小林は市船橋高に入学。こうして後藤先生との3年間がスタートした。 「本当に華奢だったので、入学した当初は『この部分を強くしよう』というレベルではなく、土台をしっかりと作らないといけないという段階でした。まずは走力を上げようと、100mのトップスピードのベースを上げることにしました。フォームは腕が伸びてしまう癖があったのですが、体幹が動かないからそうなるので、時間をかけて基礎体力をしっかりつけることも重視しました」

トラックシーズンでの着実な成長とターニングポイントとなった初めての冬季練習

小林は1年目からインターハイ路線に出場し、千葉県大会の100mハードルで7位に。秋の関東高校新人では14秒64(+0.4 /4位)までタイムを短縮し、トラックシーズンで一歩ずつ着実な成長を遂げた。 「中学でしっかり練習を継続してくれていたことも大きく、入学直後からあまりブランクは感じませんでした。スムーズに高校 の練習に移行できたのは良かったと思います。インターハイ路線でもまずまずの結果を出しましたが、正規の間隔でハードル練習を行ったのは大会直前で、まずは高さに慣れることを重点的に練習させました。中学に比べてハードルが高くなって怖さが出ないように、短いハードル間で慣れてから徐々に間隔を延ばしていきました。1年目はそこまで結果を期待していなかったので、県大会はよく決勝まで行ったなという印象です。とにかく一生懸命練習する子なので、少しずつ成長していったと思います」 そして、高校生になって初めての冬季練習では、後藤先生が1つの大きなターニングポイントだと感じる進化を見せた。 「チームとしては11月から冬季に入ります。まずは負荷を落として量を追う期間を作るんですけど、翌年にブレイクする子は11月終わりから12月くらいで、こちらが驚くような動きを見せます。小林がまさにそうでした。冬の伝統練習でもある砂浜ダッシュで、勝ち上がり形式で気がつくと一番前を走っていることが多かったのです。『これは覚醒するかも』と感じるようになりました。とにかく素直で手を抜かない子でしたので、しっかり積み重ねていけたと思います」 ※この続き2018年9月14日発売の『月刊陸上競技』10月号をご覧ください ※故障を抱えたまま臨んだ三重インターハイ、インターハイ直前の練習メニュー、市船橋高のシーズン中のトレーニング例、小林選手のインタビュー、などが続きます

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2026.01.24

全日本実業団ハーフのエントリー発表!男子は細谷恭平、市山翼、女子は樺沢和佳奈、川村楓らが登録 女子10kmには山本有真

日本実業団連合は1月23日、第54回全日本実業団ハーフマラソン(2月8日/山口)のエントリー選手を発表した。 男子は前回大会で優勝を飾った市山翼(サンベルクス)が招待選手としてエントリー。前回入賞の田中秀幸(トヨタ自動車 […]

NEWS 日本郵政グループ・大西ひかりが引退 「たくさんのご声援、本当にありがとうございました」23年アジア大会マラソン代表

2026.01.24

日本郵政グループ・大西ひかりが引退 「たくさんのご声援、本当にありがとうございました」23年アジア大会マラソン代表

1月23日、日本郵政グループは、所属する大西ひかりが1月をもって退部し、現役を引退することを発表した。 大西は兵庫県出身の25歳。播磨中で陸上を本格的に始め、3年生だった2015年には全中1500mで4位に入賞するなど、 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始」

2026.01.23

編集部コラム「年末年始」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 中島佑気ジョセフに立川市市民栄誉表彰「地道に一歩ずつ頑張ることが大事」母校凱旋に熱烈歓迎、卒業文集に書いた夢明かす

2026.01.23

中島佑気ジョセフに立川市市民栄誉表彰「地道に一歩ずつ頑張ることが大事」母校凱旋に熱烈歓迎、卒業文集に書いた夢明かす

男子400m日本記録保持者の中島佑気ジョセフ(富士通)が、地元の立川市から市民栄誉表彰が授与された。 昨年の東京世界選手権では、予選で44秒44の日本新を出すと、準決勝では組2着に入って1991年東京大会の高野進以来とな […]

NEWS 招待選手が抱負!上杉真穂「全力を出し切る」西村美月「これからにつなげる」伊澤菜々花「心を燃やして」前回の雪辱へ/大阪国際女子マラソン

2026.01.23

招待選手が抱負!上杉真穂「全力を出し切る」西村美月「これからにつなげる」伊澤菜々花「心を燃やして」前回の雪辱へ/大阪国際女子マラソン

マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズG1の大阪国際女子マラソンを2日後に控え、有力選手が前々日会見に登壇した。 22年にこの大会で2位に入るなど国内では実績と経験のある上杉真穂(東京メトロ)は、「練習も順 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年2月号 (1月14日発売)

2026年2月号 (1月14日発売)

EKIDEN Review
第102回箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
全国高校駅伝
全国中学校駅伝
富士山女子駅伝

page top