2021.01.29
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第79回「前向きな言葉という魔法」(向永拓史)
明けましておめでとうございます。2021年も、もう1ヵ月が過ぎてしまいました。たぶん、あっという間に2022年になっていますね。そういえば、この1週間もあっという間すぎて、コラムを書くのをすっかり忘れていました。2回連続で毎週更新コラムのバトンが途切れるのはヤバいと思い、急いで書いています。
この1年間、暗い話題が続いています。SNSやニュースサイトのコメント欄では、オリンピックについてネガティブな話題ばかり。気分が滅入ります。
8割が反対しているっていうけど、僕の周りには1人もいません。アンケートに答えた覚えもありません。いつも思うんです。「日本中が泣いた!」って言うけど、その映画まだ観ていないですけど、、、って。何でもかんでも、国民を代表しているような表現ってちょっと違和感ありますね。
先日、とある高校の先生から「高校生に向けて特別授業をしてくれないか」とお声かけいただきました。人前に出るのはとっっっっっても苦手なんですが、勉強になると思い謹んでお受けしました。そこで高校生に聞きました。オリンピックをやってほしい人は? って。そうしたら、全員が「オリンピックを観たい」だったんです。ここでは、100%賛成。だから、高校生のみなさんに伝えました。8割反対とか、ネットのコメントにある辛辣な言葉、その奥には、賛成しているけど声に出さない、もしくは出せない人たちがたくさんいるんですよ、と。
授業は一人だと心許なかったので、選手1名にお願いして一緒に来てもらいました。高校生の前に立つと、やっぱりトップアスリート。とてもポジティブな言葉を投げかけていて、高校生たちの瞳はキラキラで、何かの魔法にかかったみたい。私も隣ですごいなぁって思って聞いていました。アスリートには、やっぱり何か「特別な力」があるなと思いました。
今、こういう状況になると、選手にインタビューするとき、「オリンピックを取り巻く環境をどう思う?」って聞きます。でも、そのほとんどが「あると思って取り組むだけ」「なくなっても次に向かうだけ」と、常に前向きな言葉が並びます。当然、本当はやりたいと思っている人もいる。でも、声を上げられない状況。それでも前を向く姿勢に感動します。
大変な状況なのは十分に理解した上で、でも、スポーツだって「命=人生」を懸けてやっているわけで、飲食業界ともエンタメ業界とも同じで、立派な経済活動なんです。これで生計を立てたり、経済を回したり、救われたりしている人は、いっぱいいる。誰かの不要不急は、誰かの必要不可欠じゃないかなと思うわけです。
スポーツ=不要不急、エンタメ=不要不急、という考えはちょっとな……って。医療現場に迷惑をかけないように、何とか大規模イベントを開催できないか。それを考えて、そのために突き進むことって、そんなに悪いことなんでしょうか。賛否両論あるのは、当然です。でも、「オリンピックをやりたい」と言えない世の中って、不健全じゃないかなって。
だから私たちは、あの舞台が必ずあると信じて特集もするし、インタビューもする。何があっても選手たちを応援していきます。
1日でも早く、前向きな言葉が受け入れられる状況になることを願って。
あ、1日でも早く日常に戻ってほしいけど、なるべくコラムや本誌の締め切りはゆっくり来てください。
向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。尊敬する人はカズ、尾崎豊、宮本輝、本田宗一郎。 |
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第79回「前向きな言葉という魔法」(向永拓史)
明けましておめでとうございます。2021年も、もう1ヵ月が過ぎてしまいました。たぶん、あっという間に2022年になっていますね。そういえば、この1週間もあっという間すぎて、コラムを書くのをすっかり忘れていました。2回連続で毎週更新コラムのバトンが途切れるのはヤバいと思い、急いで書いています。 この1年間、暗い話題が続いています。SNSやニュースサイトのコメント欄では、オリンピックについてネガティブな話題ばかり。気分が滅入ります。 8割が反対しているっていうけど、僕の周りには1人もいません。アンケートに答えた覚えもありません。いつも思うんです。「日本中が泣いた!」って言うけど、その映画まだ観ていないですけど、、、って。何でもかんでも、国民を代表しているような表現ってちょっと違和感ありますね。 先日、とある高校の先生から「高校生に向けて特別授業をしてくれないか」とお声かけいただきました。人前に出るのはとっっっっっても苦手なんですが、勉強になると思い謹んでお受けしました。そこで高校生に聞きました。オリンピックをやってほしい人は? って。そうしたら、全員が「オリンピックを観たい」だったんです。ここでは、100%賛成。だから、高校生のみなさんに伝えました。8割反対とか、ネットのコメントにある辛辣な言葉、その奥には、賛成しているけど声に出さない、もしくは出せない人たちがたくさんいるんですよ、と。 授業は一人だと心許なかったので、選手1名にお願いして一緒に来てもらいました。高校生の前に立つと、やっぱりトップアスリート。とてもポジティブな言葉を投げかけていて、高校生たちの瞳はキラキラで、何かの魔法にかかったみたい。私も隣ですごいなぁって思って聞いていました。アスリートには、やっぱり何か「特別な力」があるなと思いました。 今、こういう状況になると、選手にインタビューするとき、「オリンピックを取り巻く環境をどう思う?」って聞きます。でも、そのほとんどが「あると思って取り組むだけ」「なくなっても次に向かうだけ」と、常に前向きな言葉が並びます。当然、本当はやりたいと思っている人もいる。でも、声を上げられない状況。それでも前を向く姿勢に感動します。 大変な状況なのは十分に理解した上で、でも、スポーツだって「命=人生」を懸けてやっているわけで、飲食業界ともエンタメ業界とも同じで、立派な経済活動なんです。これで生計を立てたり、経済を回したり、救われたりしている人は、いっぱいいる。誰かの不要不急は、誰かの必要不可欠じゃないかなと思うわけです。 スポーツ=不要不急、エンタメ=不要不急、という考えはちょっとな……って。医療現場に迷惑をかけないように、何とか大規模イベントを開催できないか。それを考えて、そのために突き進むことって、そんなに悪いことなんでしょうか。賛否両論あるのは、当然です。でも、「オリンピックをやりたい」と言えない世の中って、不健全じゃないかなって。 だから私たちは、あの舞台が必ずあると信じて特集もするし、インタビューもする。何があっても選手たちを応援していきます。 1日でも早く、前向きな言葉が受け入れられる状況になることを願って。 あ、1日でも早く日常に戻ってほしいけど、なるべくコラムや本誌の締め切りはゆっくり来てください。向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。尊敬する人はカズ、尾崎豊、宮本輝、本田宗一郎。 |
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