2021.01.14
10区で劇的な大逆転勝利を収め、13年ぶりに箱根で頂点に立った駒大。ただ1人の出走となった4年生、全日本大学駅伝メンバー外から一転キーマンとなった3年生の3人、田澤をはじめ苦闘する2年生、5人エントリーして3人が出場した勢いのある1年生。それぞれの学年を代表する5人による〝Vトーク〟が、チーム力の源泉を解き明かす。
◎構成/奥村 崇
「テレビ番組に出て『優勝したんだな』と実感が湧いてきました」(小林)
―― 優勝から2日経ちました(※取材日1月5日)。実感はいかがですか。
小林 最初は実感がなかったですが、昨日のテレビ出演が終わって、ようやく実感が湧いてきて、今はうれしい気持ちです。テレビに出て「優勝おめでとうございます」と言われて、優勝したんだなぁ、という感じです。
花崎 小林さんと同じで、最初は全然実感がなくて……。もともと有名ではないので、取材なども受けたことがなかったんです。いろんな人から連絡が来て、自分が区間賞を取ったんだなと、じわじわと実感することができました。
石川 自分は優勝テープを切って、その瞬間に「やったーっ!!」という喜びが来ました。それから少し、「一番を取ったんだな」という気持ちが残っていたと思います。でも、そんなに強い気持ちじゃなくて。いつもならチームのみんな、走ったメンバーがそこにいて、胴上げをしたと思うんです。そうすれば優勝したという気持ちがもっと高まると思うのですが……。最初はそういう大きな高まりがなかった。取材を受けたりテレビに出演したりして、時間が経つにつれて、ひたひたときた感じですね。
――胴上げは重要なんですね。
石川 そうですね、みんながいてくれて、「やったー」と飛び込んでいって、胴上げするとか、監督を胴上げするとか。やはり大事なことなのかなと思いました。10区は去年も走ったのですが、その時とはまた違う感じを受けました。
田澤 僕は去年、大手町で待っていましたが、今年はそれができなかった。ゴールの時は寮にいて、みんなで「優勝したー!」と騒いでいたのですが、なかなか優勝した実感が沸いてこなくて。取材が増えてきたことで、優勝したという感覚が出てきました。
鈴木 僕も先輩方と同じで、コロナ禍での開催となったので、優勝した後の取材の感じも違いますし、喜びを分かち合う場が減っていると思います。実感が湧きづらい部分もあるかなと思います。
――SNSではいろんな話題が盛り上がっていましたが、一番は花崎選手の「競歩出身」でしょうか。高校時代、インターハイにも出場されています。
石川 花崎は最初から競歩の選手なの?
花崎 いや、走っていたけど、故障して競歩をやったよ。
小林 競歩は中学から?
花崎 いえいえ、高校からです。
―― 下り(6区)と競歩に、何か関連するものはありますか。
花崎 使う筋肉がまったく違うので、自分でも関連についてはわかりません。ただ、粘りだったり、脛を使うところだったり、そこを使うことで他の部位に負担をかけない走りとか……。競歩をしたことで自分の今のフォームが完成しているので、今の自分になるまでの過程に(競歩が)あります。競歩をやっていなかったら今のフォームはないので、下り適正もなかったかもしれません。ただ、自分としてはあまり深く考えてはいません。
「攻めの走りをすることで後輩たちが感じてくれるもの」(花崎)
――コロナ禍の開催で、みなさんそれぞれに、違いを感じられたんですね。小林選手は4年生からはただ1人の出場でしたが、どんな気持ちがありましたか。
小林 4年生が1人だけになったことについては、1年通して下級生が強かったので仕方ないな、と。自分が4年生1人なので、「他の4年生の分も走るぞ!」という気持ちで走りました。
―― チームを引っ張ってきた4年生について、他の学年から見て、何か感じることはありましたか。
石川 小林さんがすごい走りをしましたが、4年生が1人しか走れなかったのは、やっぱり悔しいと思うんです。3年生は3人出たので、恩返しできればいいなと思っていました。3年間一緒に、長く生活や練習をしてきた仲ですから。
――3年生は『谷間の世代』なんて言われることもあって、燃える部分もあったと思います。
花崎 僕(6区)は違うのですが、他の3年生2人は、当日変更で4年生と交代しました(8区、10区)。復路に4年生がいませんでしたが、練習では4年生とほぼ変わらないくらい積めていましたし、『谷間の世代』と周りから言われも、自分たちの中では自信もついてきていました。
もちろん、まだ力があるとは言えませんが、それでも下級生を支えなきゃいけないという気持ちが3年生にはあって。3年生が攻めの走りをすることで、後輩たちも何か感じてくれるところがあるのかなと思いました。
――全日本大学駅伝は出場がなかった3年生ですが、「長い距離なら俺たちも」というプライドはありましたか。
花崎 確かに、短い距離はセンスや才能のある選手のほうが走れる傾向にあると思います。ただ、自分たちは長い距離、ハーフマラソン以上の距離で地道に積み重ねてきた自信がありました。監督にはそういうところを評価していただいたのかなと思います。
この続きは2021年1月14日発売の『月刊陸上競技2月号』をご覧ください。
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「テレビ番組に出て『優勝したんだな』と実感が湧いてきました」(小林)
―― 優勝から2日経ちました(※取材日1月5日)。実感はいかがですか。 小林 最初は実感がなかったですが、昨日のテレビ出演が終わって、ようやく実感が湧いてきて、今はうれしい気持ちです。テレビに出て「優勝おめでとうございます」と言われて、優勝したんだなぁ、という感じです。 花崎 小林さんと同じで、最初は全然実感がなくて……。もともと有名ではないので、取材なども受けたことがなかったんです。いろんな人から連絡が来て、自分が区間賞を取ったんだなと、じわじわと実感することができました。 石川 自分は優勝テープを切って、その瞬間に「やったーっ!!」という喜びが来ました。それから少し、「一番を取ったんだな」という気持ちが残っていたと思います。でも、そんなに強い気持ちじゃなくて。いつもならチームのみんな、走ったメンバーがそこにいて、胴上げをしたと思うんです。そうすれば優勝したという気持ちがもっと高まると思うのですが……。最初はそういう大きな高まりがなかった。取材を受けたりテレビに出演したりして、時間が経つにつれて、ひたひたときた感じですね。 ――胴上げは重要なんですね。 石川 そうですね、みんながいてくれて、「やったー」と飛び込んでいって、胴上げするとか、監督を胴上げするとか。やはり大事なことなのかなと思いました。10区は去年も走ったのですが、その時とはまた違う感じを受けました。 田澤 僕は去年、大手町で待っていましたが、今年はそれができなかった。ゴールの時は寮にいて、みんなで「優勝したー!」と騒いでいたのですが、なかなか優勝した実感が沸いてこなくて。取材が増えてきたことで、優勝したという感覚が出てきました。 鈴木 僕も先輩方と同じで、コロナ禍での開催となったので、優勝した後の取材の感じも違いますし、喜びを分かち合う場が減っていると思います。実感が湧きづらい部分もあるかなと思います。 ――SNSではいろんな話題が盛り上がっていましたが、一番は花崎選手の「競歩出身」でしょうか。高校時代、インターハイにも出場されています。 石川 花崎は最初から競歩の選手なの? 花崎 いや、走っていたけど、故障して競歩をやったよ。 小林 競歩は中学から? 花崎 いえいえ、高校からです。 ―― 下り(6区)と競歩に、何か関連するものはありますか。 花崎 使う筋肉がまったく違うので、自分でも関連についてはわかりません。ただ、粘りだったり、脛を使うところだったり、そこを使うことで他の部位に負担をかけない走りとか……。競歩をしたことで自分の今のフォームが完成しているので、今の自分になるまでの過程に(競歩が)あります。競歩をやっていなかったら今のフォームはないので、下り適正もなかったかもしれません。ただ、自分としてはあまり深く考えてはいません。「攻めの走りをすることで後輩たちが感じてくれるもの」(花崎)
――コロナ禍の開催で、みなさんそれぞれに、違いを感じられたんですね。小林選手は4年生からはただ1人の出場でしたが、どんな気持ちがありましたか。 小林 4年生が1人だけになったことについては、1年通して下級生が強かったので仕方ないな、と。自分が4年生1人なので、「他の4年生の分も走るぞ!」という気持ちで走りました。 ―― チームを引っ張ってきた4年生について、他の学年から見て、何か感じることはありましたか。 石川 小林さんがすごい走りをしましたが、4年生が1人しか走れなかったのは、やっぱり悔しいと思うんです。3年生は3人出たので、恩返しできればいいなと思っていました。3年間一緒に、長く生活や練習をしてきた仲ですから。 ――3年生は『谷間の世代』なんて言われることもあって、燃える部分もあったと思います。 花崎 僕(6区)は違うのですが、他の3年生2人は、当日変更で4年生と交代しました(8区、10区)。復路に4年生がいませんでしたが、練習では4年生とほぼ変わらないくらい積めていましたし、『谷間の世代』と周りから言われも、自分たちの中では自信もついてきていました。 もちろん、まだ力があるとは言えませんが、それでも下級生を支えなきゃいけないという気持ちが3年生にはあって。3年生が攻めの走りをすることで、後輩たちも何か感じてくれるところがあるのかなと思いました。 ――全日本大学駅伝は出場がなかった3年生ですが、「長い距離なら俺たちも」というプライドはありましたか。 花崎 確かに、短い距離はセンスや才能のある選手のほうが走れる傾向にあると思います。ただ、自分たちは長い距離、ハーフマラソン以上の距離で地道に積み重ねてきた自信がありました。監督にはそういうところを評価していただいたのかなと思います。 この続きは2021年1月14日発売の『月刊陸上競技2月号』をご覧ください。
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