2020.12.18
高校生たちが熱きタスキリレーを繰り広げる全国高校駅伝が12月20日(日)、京都で開催される。たけびしスタジアム京都(西京極)をスタート・フィニッシュ地点に、女子5区間、男子7区間、高校生ランナーが京都市内を疾走。空前絶後の高速駅伝が展開されそうだ。
仙台育英と神村学園がV候補
出るか1時間5分台
都道府県大会や3000mの平均タイムで比較すると、女子(5区間21.0975km)も男子と同じく高速レースによる優勝争いが予想される。そして、1996年に埼玉栄(埼玉)が出した大会記録(高校最高記録でもある)1時間6分26秒を更新し、新時代を予感させる夢の1時間5分台にも注目だ。
前回優勝の仙台育英(宮城)は、県大会で1時間6分59秒と前年より39秒速いタイムで駆け抜けた。さらに、前々回優勝で、前回2位の神村学園(鹿児島)が県大会で1時間6分04秒をマーク。昨年、同校が出した予選最速&高校国内国際最高記録(1時間6分32秒)を28秒更新した。1時間6分台はこの2チームのみで、その他のチームは1時間7分後半以降となっている。また、3000mの平均タイムで比較すると、トップは神村学園で9分04秒。次いで仙台育英が9分09秒。1989年の第1回大会から32年連続出場の立命館宇治(京都)が9分11秒、須磨学園が9分18秒と、この4チームが9分20秒以内だ。
こうして見ると、突出しているのが仙台育英と神村学園だ。最多5度目の優勝に挑む仙台育英は、前回メンバーから小海遥(3年)、山中菜摘(2年)、米澤奈々香(2年)が残る。そこに昨年の全中1500m優勝の杉森心音、留学生のジェニファー・ムワンギといったルーキーが加入した。
山中、杉森、米澤は今季、3000mで9分ひとケタ(山中9分06秒24、杉森9分05秒17、米澤9分03秒60)をマーク。前回1区区間賞(19分29秒)で全国Vの牽引役となった小海は、県大会こそコンディション不良で出走しなかったものの、都大路ではエントリーされた。走力だけでなく実績を持つ強力なカルテットがチームの屋台骨となる。一方で、県大会で好走したムワンデがエントリーから外れたため、今回も「オール日本人」で臨むことになりそう。前回以上に前半で主導権を握ることが連覇へのカギとなりそうだ。
2年ぶり2度目の頂点を狙う神村学園は、県大会では久保心優(2年)を1区に起用し、2区以降は3年生の黒川円佳、中須瑠菜、木之下沙椰、留学生のバイレ・シンシアとつないだ。とくに久保は19分25秒と好走し、精神面で課題のあったシンシアも5区で15分10秒と安定感が出てきた。前回の都大路で1、5区の主要区間を担った木之下、中須を4、3区の3km区間に配してのタイムだけに地力はついている。
10月の全国高校大会では3000mで黒川が2位、久保が3位など、1500mと合わせて5人が入賞。3000mのベストでは8分49秒72のシンシアを筆頭に、久保(9分06秒22)、黒川(9分07秒09)、中須(9分08秒61)が9分10秒を切り、木之下も9分10秒70と圧倒的。前回4区区間2位タイの鳥居華(3年)が県大会では控えに回るほどの充実ぶりだ。前回2区だったシンシアをアンカーに起用できれば盤石だ。
前回に続いて両校が激しく先頭争いを繰り広げそうだが、今回はシンシアの出走区間に加え、上りの3区、下りの4区と特性の異なる中盤の2区間も勝負の分かれ目となりそう。両区間の区間記録(3区9分21秒、4区8分59秒)の更新が優勝、さらに1時間5分台突入のカギを握りそうだ。
立命館宇治、須磨学園、興譲館ら有力
入賞争いは熾烈極める
2校に続きそうなのが立命館宇治、須磨学園、薫英女学院(大阪)と全国V経験を持つ近畿勢だ。さらに前回3位の筑紫女学園を福岡県大会で破った北九州市立や、興譲館、世羅(広島)の中国勢も候補だ。
前回7位の立命館宇治には、今季3000mで日本人トップの9分02秒86をマークしたエース・三原梓(3年)がいる。全国高校大会では1500m&3000mで2冠を達成。細谷愛子ら強力な1年生もそろい、チームとしても3000mの平均タイムは9分11秒と上位2校と比べても遜色ない。
立命館宇治の細谷
須磨学園は前回6位のメンバー4人が残る。前回1区6位と好走した土井葉月(3年)や、3000mでチームトップ(9分13秒32)の道清愛紗(2年)ら、9分20秒以内に4人を数える。前回14位の薫英女学院は、近畿大会1区区間賞の安なつ美(3年)を中心に1区から流れに乗れれば、3年ぶり入賞はもちろん、メダル争いにも絡んできそうだ。
興譲館は前回、1、2区で流れを作り、4位入賞に貢献した森陽向と留学生のワングイ・エスター・ワンブイ(いずれも2年)が主軸としてチームを引っ張る。世羅はトラックレースの広島県大会で1時間9分26秒01。昨年のインターハイ3000m覇者のテレシア・ムッソーニ(3年)が調子を取り戻せば、他のチームにとって怖い存在になる。
北九州市立(福岡)はトラックレースで行われた県大会で1時間7分44秒48をマーク。3000m9分07秒34のベストを持つエース・酒井美玖(3年)が牽引する。他にも3000mの平均タイムで5番目となる9分22秒の学法石川(福島)が初入賞へ絶好機を迎えている。
群馬県大会で1時間9分42秒をマークした常磐や、前回13位のメンバー3人が残る昌平(埼玉)、成田(千葉)、錦城学園(東京)の関東勢、前回入賞のメンバーが4人健在の諫早(長崎)、小林(宮崎)の九州勢も上位陣とは紙一重だ。
初出場は川崎橘(神奈川)、安城学園(愛知)、美濃加茂(岐阜)、智辯和歌山(和歌山)の4校。中でも安城学園は1時間9分台をマークしており、入賞する可能性もある。
前回の8位は1時間9分05秒。1時間10分を切ったのは14校だった。今回は上位層の力が拮抗しており、入賞争いは1時間8分台をにらんだ攻防が予想される。前半で流れを作り、中盤での堅実さと、後半の粘りを併せ持つチームが上位に食い込むだろう。
【展望】空前の高速駅伝! 前回V仙台育英、佐久長聖、世羅の三つ巴か/全国高校駅伝・男子展望
■全国高校駅伝(男子71回、女子32回)
12月20日(日)/京都・たけびしスタジアム京都発着
女子10:20スタート(5区間21.0975km)
男子12:30スタート(7区間42.195km)
仙台育英と神村学園がV候補 出るか1時間5分台
都道府県大会や3000mの平均タイムで比較すると、女子(5区間21.0975km)も男子と同じく高速レースによる優勝争いが予想される。そして、1996年に埼玉栄(埼玉)が出した大会記録(高校最高記録でもある)1時間6分26秒を更新し、新時代を予感させる夢の1時間5分台にも注目だ。 前回優勝の仙台育英(宮城)は、県大会で1時間6分59秒と前年より39秒速いタイムで駆け抜けた。さらに、前々回優勝で、前回2位の神村学園(鹿児島)が県大会で1時間6分04秒をマーク。昨年、同校が出した予選最速&高校国内国際最高記録(1時間6分32秒)を28秒更新した。1時間6分台はこの2チームのみで、その他のチームは1時間7分後半以降となっている。また、3000mの平均タイムで比較すると、トップは神村学園で9分04秒。次いで仙台育英が9分09秒。1989年の第1回大会から32年連続出場の立命館宇治(京都)が9分11秒、須磨学園が9分18秒と、この4チームが9分20秒以内だ。 こうして見ると、突出しているのが仙台育英と神村学園だ。最多5度目の優勝に挑む仙台育英は、前回メンバーから小海遥(3年)、山中菜摘(2年)、米澤奈々香(2年)が残る。そこに昨年の全中1500m優勝の杉森心音、留学生のジェニファー・ムワンギといったルーキーが加入した。 山中、杉森、米澤は今季、3000mで9分ひとケタ(山中9分06秒24、杉森9分05秒17、米澤9分03秒60)をマーク。前回1区区間賞(19分29秒)で全国Vの牽引役となった小海は、県大会こそコンディション不良で出走しなかったものの、都大路ではエントリーされた。走力だけでなく実績を持つ強力なカルテットがチームの屋台骨となる。一方で、県大会で好走したムワンデがエントリーから外れたため、今回も「オール日本人」で臨むことになりそう。前回以上に前半で主導権を握ることが連覇へのカギとなりそうだ。 2年ぶり2度目の頂点を狙う神村学園は、県大会では久保心優(2年)を1区に起用し、2区以降は3年生の黒川円佳、中須瑠菜、木之下沙椰、留学生のバイレ・シンシアとつないだ。とくに久保は19分25秒と好走し、精神面で課題のあったシンシアも5区で15分10秒と安定感が出てきた。前回の都大路で1、5区の主要区間を担った木之下、中須を4、3区の3km区間に配してのタイムだけに地力はついている。 10月の全国高校大会では3000mで黒川が2位、久保が3位など、1500mと合わせて5人が入賞。3000mのベストでは8分49秒72のシンシアを筆頭に、久保(9分06秒22)、黒川(9分07秒09)、中須(9分08秒61)が9分10秒を切り、木之下も9分10秒70と圧倒的。前回4区区間2位タイの鳥居華(3年)が県大会では控えに回るほどの充実ぶりだ。前回2区だったシンシアをアンカーに起用できれば盤石だ。 前回に続いて両校が激しく先頭争いを繰り広げそうだが、今回はシンシアの出走区間に加え、上りの3区、下りの4区と特性の異なる中盤の2区間も勝負の分かれ目となりそう。両区間の区間記録(3区9分21秒、4区8分59秒)の更新が優勝、さらに1時間5分台突入のカギを握りそうだ。立命館宇治、須磨学園、興譲館ら有力 入賞争いは熾烈極める
2校に続きそうなのが立命館宇治、須磨学園、薫英女学院(大阪)と全国V経験を持つ近畿勢だ。さらに前回3位の筑紫女学園を福岡県大会で破った北九州市立や、興譲館、世羅(広島)の中国勢も候補だ。 前回7位の立命館宇治には、今季3000mで日本人トップの9分02秒86をマークしたエース・三原梓(3年)がいる。全国高校大会では1500m&3000mで2冠を達成。細谷愛子ら強力な1年生もそろい、チームとしても3000mの平均タイムは9分11秒と上位2校と比べても遜色ない。 立命館宇治の細谷 須磨学園は前回6位のメンバー4人が残る。前回1区6位と好走した土井葉月(3年)や、3000mでチームトップ(9分13秒32)の道清愛紗(2年)ら、9分20秒以内に4人を数える。前回14位の薫英女学院は、近畿大会1区区間賞の安なつ美(3年)を中心に1区から流れに乗れれば、3年ぶり入賞はもちろん、メダル争いにも絡んできそうだ。 興譲館は前回、1、2区で流れを作り、4位入賞に貢献した森陽向と留学生のワングイ・エスター・ワンブイ(いずれも2年)が主軸としてチームを引っ張る。世羅はトラックレースの広島県大会で1時間9分26秒01。昨年のインターハイ3000m覇者のテレシア・ムッソーニ(3年)が調子を取り戻せば、他のチームにとって怖い存在になる。 北九州市立(福岡)はトラックレースで行われた県大会で1時間7分44秒48をマーク。3000m9分07秒34のベストを持つエース・酒井美玖(3年)が牽引する。他にも3000mの平均タイムで5番目となる9分22秒の学法石川(福島)が初入賞へ絶好機を迎えている。 群馬県大会で1時間9分42秒をマークした常磐や、前回13位のメンバー3人が残る昌平(埼玉)、成田(千葉)、錦城学園(東京)の関東勢、前回入賞のメンバーが4人健在の諫早(長崎)、小林(宮崎)の九州勢も上位陣とは紙一重だ。 初出場は川崎橘(神奈川)、安城学園(愛知)、美濃加茂(岐阜)、智辯和歌山(和歌山)の4校。中でも安城学園は1時間9分台をマークしており、入賞する可能性もある。 前回の8位は1時間9分05秒。1時間10分を切ったのは14校だった。今回は上位層の力が拮抗しており、入賞争いは1時間8分台をにらんだ攻防が予想される。前半で流れを作り、中盤での堅実さと、後半の粘りを併せ持つチームが上位に食い込むだろう。 【展望】空前の高速駅伝! 前回V仙台育英、佐久長聖、世羅の三つ巴か/全国高校駅伝・男子展望 ■全国高校駅伝(男子71回、女子32回) 12月20日(日)/京都・たけびしスタジアム京都発着 女子10:20スタート(5区間21.0975km) 男子12:30スタート(7区間42.195km)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.11
やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす
健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]
2024.12.11
26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定
日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]
2024.12.11
27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定
日本陸連は12月11日、2027年北京世界選手権のマラソン代表選考方針を発表し、編成方針は「2027年度最重要国際競技会と位置づけ、メダル獲得および入賞を目指す競技者で選手団を編成する」とした。 そのうえで、代表内定基準 […]
2024.12.11
ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録
12月11日、日本実業団陸上競技連合は第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2025年1月1日)のエントリー選手を発表した。 前回4回目の優勝を飾ったトヨタ自動車はパリ五輪10000m代表の太田智樹や福岡国際マ […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会