2025.02.14
第101回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。勝利の栄光で日の目を見た選手以外にもそれぞれの思いを胸に秘め、必死でタスキをつないだ。毎年行われる箱根路でも「第101回」は一度のみ。そんな“最後”の舞台を駆け抜けた選手たちの奮闘を紹介する。
夏はチームの底上げに注力
最後の箱根路で、法大・小泉樹(4年)は2区を担った。史上最速の展開で歴史的な2区となり、1時間7分57秒で区間順位こそ15位にとどまったが、坪田智夫駅伝監督は「よく頑張った」と主将を労った。
「監督と約束していた1時間7分台。わずかですがクリアでき、4年間やってきたことが間違っていなかったと思えました」。小泉はそう振り返った。
総合記録も法大歴代4位となる11時間3分16秒だったが、目標の総合5位には遠く及ばなかった。「主将としてシード権を後輩に残せず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。
箱根前のチーム状況は万全とは言えず、前回6区区間賞の武田和馬(4年)と、同7区9位の矢原倖瑛(3年)が故障の影響で秋のレースをすべて回避。さらに5000mと10000mで法大記録を更新した大島史也(3年)が大会1週間前に発熱し、1区を予定していたが欠場を余儀なくされた。
小泉は大会前に、「かなり厳しい戦いにはなるかもしれませんが、チーム発足当初の目標はぶらさずにやっていこうと思っています」と正直な気持ちを吐露していた。苦戦は覚悟しながら、駅伝主将の責任からは逃げなかった。
大島に代わり1区に回ったのは、ともに4年間切磋琢磨してきた武田だった。出雲駅伝以来約3ヵ月ぶりのレースだったが、2位集団で粘り抜いた武田を、小泉は笑顔で迎えた。
各校のエースが集う鶴見中継所で緊張感が高まっていたが、武田のラストスパートを見て小泉のスイッチが入る。これまでチームを支え続けてきた4年生同士のタスキリレーとなった。
2年生から学年リーダーを務めており、駅伝主将になることは織り込み済みだった。坪田監督は「特に表立って何かをやるタイプではないですが、見えないところでフォローしてくれているようです」と評する。
今季のトラックで武田や大島が台頭する中で、小泉は夏合宿ではB合宿で走り込むなどチームの底上げに注力した。「総合5位のためには、主力が実力を上げていかないといけないし、柱になる選手、具体的にはエース区間を走る選手のレベルアップが必要です」。
全体を見渡すとともに、自分自身がいかに成長するか。見据えていたのは最終学年での2区出走だった。
夏はチームの底上げに注力
最後の箱根路で、法大・小泉樹(4年)は2区を担った。史上最速の展開で歴史的な2区となり、1時間7分57秒で区間順位こそ15位にとどまったが、坪田智夫駅伝監督は「よく頑張った」と主将を労った。 「監督と約束していた1時間7分台。わずかですがクリアでき、4年間やってきたことが間違っていなかったと思えました」。小泉はそう振り返った。 総合記録も法大歴代4位となる11時間3分16秒だったが、目標の総合5位には遠く及ばなかった。「主将としてシード権を後輩に残せず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。 箱根前のチーム状況は万全とは言えず、前回6区区間賞の武田和馬(4年)と、同7区9位の矢原倖瑛(3年)が故障の影響で秋のレースをすべて回避。さらに5000mと10000mで法大記録を更新した大島史也(3年)が大会1週間前に発熱し、1区を予定していたが欠場を余儀なくされた。 小泉は大会前に、「かなり厳しい戦いにはなるかもしれませんが、チーム発足当初の目標はぶらさずにやっていこうと思っています」と正直な気持ちを吐露していた。苦戦は覚悟しながら、駅伝主将の責任からは逃げなかった。 大島に代わり1区に回ったのは、ともに4年間切磋琢磨してきた武田だった。出雲駅伝以来約3ヵ月ぶりのレースだったが、2位集団で粘り抜いた武田を、小泉は笑顔で迎えた。 各校のエースが集う鶴見中継所で緊張感が高まっていたが、武田のラストスパートを見て小泉のスイッチが入る。これまでチームを支え続けてきた4年生同士のタスキリレーとなった。 2年生から学年リーダーを務めており、駅伝主将になることは織り込み済みだった。坪田監督は「特に表立って何かをやるタイプではないですが、見えないところでフォローしてくれているようです」と評する。 今季のトラックで武田や大島が台頭する中で、小泉は夏合宿ではB合宿で走り込むなどチームの底上げに注力した。「総合5位のためには、主力が実力を上げていかないといけないし、柱になる選手、具体的にはエース区間を走る選手のレベルアップが必要です」。 全体を見渡すとともに、自分自身がいかに成長するか。見据えていたのは最終学年での2区出走だった。祖父が走った1区にあこがれ
祖父の真二良さんは、1963年新潟インターハイ1500mの覇者。早大入学後もトラックで活躍し、関東インカレ、日本インカレでは同種目で入賞。箱根も4年連続で1区を務め、1年時に区間4位に入っている。 小泉も祖父が走った1区にあこがれた。東京・深川四中時には野球と並行しながら陸上に取り組み、「中2の時に駅伝で区間賞を取り、楽しいなと思いました」。この体験を機に、駅伝の魅力にのめり込んだ。 中学時代の3000m自己記録は9分08秒12だったが、進学した國學院久我山高で着実に力をつけた。3年時には全国高校駅伝で3区11位。5000mは14分16秒32まで記録を伸ばした。 法大では1年時から箱根に出場。「1年目は故障なくビックリするくらい走れました。主要大会もたくさん走れて、良い経験をさせてもらいました」と振り返る。 しかし、2年、3年と故障で苦しむ期間もあった。「4年目になって、良かった経験も悪かった経験も踏まえてやれました。今の自分があるのは1~3年生の期間があったからだと思っています」。これまでの土台があったからこそ、最終学年で花開いた。 昨年11月の上尾ハーフでは、1時間2分13秒の自己新をマークしている。「前半は中央学院大の吉田君(礼志、4年)がいいかたちで引っ張ったのでハイペースでした。最後はどこで仕掛けができるかを考えながら走れました」。箱根に向け手ごたえを感じるレースができた。 しかし、本戦ではレース全体をとおしてチームは流れに乗れなかった。「力を出し切れなかったとは思っていなくて、このチームの現状が15位でした。チーム作りの部分でやってきたことが甘かったと思います」。 主将の重圧に悩む時期もあったが、犠牲を惜しまず信じた道。4年目にリーダーシップを発揮してきたその姿勢は、後輩たちの模範となるはずだ。 チームは4年ぶりに予選会に回ることになる。小泉は「今回の悔しさを糧に、必ずリベンジしてくれると思います」と、本戦総合5位以内を目指す“坪田史上最強”への挑戦を後輩たちに託した。 卒業後は黒崎播磨で競技を継続。法大OBで、マラソンで2時間6分54秒の記録を持つ土井大輔の存在も決め手の一つになった。「大学4年間はあっという間でした。今回2区で負けた選手に次は勝てるように、そして世界の舞台で戦えるような選手になりたいです」。箱根で得た自信と悔しさを糧に、実業団での成長を誓う。 [caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"]
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