2025.01.27
◇第44回大阪国際女子マラソン(2025年1月26日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着)
ジャパンマラソングランドチャンピオンシップ(JMC)シリーズG1の大阪国際女子マラソンが行われ、ウォルケネシュ・エデサ(エチオピア)が2時間21分00秒で連覇を達成した。日本人トップの2位に入ったのが小林香菜(大塚製薬)。日本歴代10位となる2時間21分19秒をマークした。
新春のなにわ路を“新風”が駆け抜ける。まさにシンデレラストーリーだった。最初の5kmこそ16分51秒とややスローな入りとなったものの、その後は16分30秒台をキープ。先頭集団は中間点を1時間10分12秒で折り返す。
優勝したエデサが「風が強かった」と話すように、時折、冷たく強い風が吹く難しいコンディションの中レースは淡々と進んでいった。
そうした中、レース前に河野匡監督と中間点までは先頭についていこうと話していた通り、ハーフの自己ベストより1分40秒以上速い1時間10分14秒で通過した。
「ハーフの時点で脚が重くなり思うように動かせなくなった」と振り返るように20~25kmまでの5kmを16分21秒までペースアップした先頭集団に付いていけずエデサ、パリ五輪6位入賞の鈴木優花(第一生命グループ)から10秒差をつけられ、伊澤菜々花(スターツ)からも離れて4位に後退した。
しかし、そこからが小林の真骨頂でもある粘りが発揮されることとなる。伊澤を逆転すると、35km地点で34秒あった鈴木との差を徐々に詰め40kmで16秒。そして残り800mで追いつき、引き離した。
「大阪国際のような大きなレースで上位に入れるチャンスだったので、最後まで力を出し切ることだけを考えて走りました」と小林自身も思いもよらなかった日本人トップの2位でフィニッシュ。レース後のインタビューでも「信じられない」を連発するなど驚きを隠せないでいた。
これで12月の防府マラソンでマークした2時間24分59秒のベストを大幅に更新するとともに目標に掲げていた2時間23分30秒の東京世界選手権の参加標準記録も突破。選考にも入る好走に「実感もなく、わけがわかりません。予想以上の結果に驚いています」と喜びを爆発させた。
群馬県出身。前橋三中で陸上をはじめ、3000mで全中へ。早大本庄高から早大に進学。大学では「女子が少なく大好きな駅伝に出らないし、マラソンにもチャレンジをしたかったので」と競走部ではなく「ホノルルマラソン完走会」というサークルに所属するこれまでにない経歴を持つ異色の存在だ。
実業団に進んだからには、引退までにマラソンで2時間25分は切りたいとスタートしたルーキーイヤーに、指導に当たる河野監督も驚く快走で一気にスターダムにのし上がった。
「まだまだ他のトップの選手と比べても記録に精神面の成長が追いついていません。今後はメンタルの部分もトップ選手に並べるように鍛え、日本代表に入れるよう頑張りたい」と力を込める。
大学時代まで3000mで9分30秒台だったベストが、苦手と話すトラックの5000mで15分45秒68、10000mでも32分22秒98まで成長。独特のピッチ走法でなにわ路に大きな花を咲かせた。
文/花木 雫
女子マラソン日本歴代11傑をチェック!
2.18.59 前田穂南(天満屋) 2024. 1.28 2.19.12 野口みずき(グローバリー) 2005. 9.25 2.19.24 新谷仁美(積水化学) 2023. 1.15 2.19.41 渋井陽子(三井住友海上) 2004. 9.26 2.19.46 高橋尚子(積水化学) 2001. 9.30 2.20.29 一山麻緒(ワコール) 2020. 3. 8 2.20.31 細田あい(エディオン) 2024. 9.29 2.20.42 松田瑞生(ダイハツ) 2024. 9.29 2.21.18 安藤友香(ワコール) 2024. 3.10 2.21.19 小林香菜(大塚製薬) 2025. 1.26 <10> 2.21.33 鈴木亜由子(日本郵政グループ) 2024. 3.10 2.21.33 鈴木優花(第一生命グループ) 2025. 1.26
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