2025.01.26
◇第44回大阪国際女子マラソン(2025年1月26日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着)
ジャパンマラソングランドチャンピオンシップ(JMC)シリーズG1の大阪国際女子マラソンが行われ、ウォルケネシュ・エデサ(エチオピア)が2時間21分00秒で連覇を達成した。日本人トップの2位に入ったのが小林香菜(大塚製薬)。日本歴代10位となる2時間21分19秒をマークした。
残り800m。競技場に入る手前で小林が抜いたのは、昨年のパリ五輪6位入賞の鈴木優花(第一生命グループ)だった。記者室のあちらこちらでどよめきの声が起こる。
「だんだん前との距離が詰まっていて、ラスト1kmを切ってからは沿道からも『行けるよ』と言われて」力を振り絞った。持ち味の高速ピッチであっという間に2位に上がった。日本歴代10位の好記録に「実感が湧きません」と目を丸くした。
中、高と陸上部だが、早大では競走部などではなく「ホノルルマラソン完走会」というサークルに所属していた変わり種。「完走を目指すサークルなので、週1回、皇居を2周走るくらい」で、自身も「最初はマラソンを楽しく走りたいと思っていました」。だが、徐々に心に火がついていく。「高校では結果を出せずに終わっていたので心残りはずっとありました」。
23歳だが、初マラソンは2021年11月の富士山マラソン、今回は8レース目と経験は豊富。「1人でひたすらジョグをするのは好きで、ぼーっとしながら好きなだけ走っていました」。知人をつたって「実業団で競技をしたい」と自ら動いた。赤羽周平氏から河野匡監督へ「相談に乗ってあげて」と連絡が入り、話をするうちに小林から「大塚製薬でできませんか」と“ラブコール”。覚悟を感じた河野監督が「やってみれば」と実業団ランナーになることが決まった。
河野監督は「とにかく身体強く、練習ができる」と評す。4月以降も「粘りきれるだろう。マラソンを走れるスタミナはある」と見ていた。過去2度の大阪国際女子マラソンを見て力はわかっていたが、それでも河野監督も「驚いているのが正直なところ」。昨年12月には防府読売マラソンで2時間24分59秒の大会新記録で優勝。実はそのタイムも「実業団ランナーになったのだから、これくらいは出したいね、と最終目標に思っていた」(河野監督)くらい。
急成長に「今まで実業団選手と比べると遅かっただけで、自分なりに本格的な練習をするようになって、基礎が強くなったからかな」と小林ははにかむ。初めての高地トレーニングとなった「アルバカーキでの変化走は一番きつかったですし、それをやりきった達成感は自信になっていました」。
この日は25kmまで粘れれば「100点」と河野監督は送り出したが、ハーフ時点で先頭集団からは遅れた。15kmの給水地点で海外ランナーと接触する不運もあった。「ダメージはありました。一瞬、焦りましたがだからこそ落ち着けたというか…。きつさが痛みで和らいだ」と笑う。河野監督が「粘りは持ち味」というように、後半には驚異的な粘りで前を追いかけた。
これで今年9月の東京世界選手権の代表選考でも候補選手の1人に挙がる。「マラソンで世界の舞台を走りたいと言って入社しましたが、自分の成長に精神面が追いついていません」と言い、「トップ選手は見ているところが違う。もっと気持ちを強く持ちたいと思います」と小林。まだ23歳。しかも伸びしろたっぷりだ。
女子マラソン日本歴代11傑をチェック!
2.18.59 前田穂南(天満屋) 2024. 1.28 2.19.12 野口みずき(グローバリー) 2005. 9.25 2.19.24 新谷仁美(積水化学) 2023. 1.15 2.19.41 渋井陽子(三井住友海上) 2004. 9.26 2.19.46 高橋尚子(積水化学) 2001. 9.30 2.20.29 一山麻緒(ワコール) 2020. 3. 8 2.20.31 細田あい(エディオン) 2024. 9.29 2.20.42 松田瑞生(ダイハツ) 2024. 9.29 2.21.18 安藤友香(ワコール) 2024. 3.10 2.21.19 小林香菜(大塚製薬) 2025. 1.26 <10> 2.21.33 鈴木亜由子(日本郵政グループ) 2024. 3.10 2.21.33 鈴木優花(第一生命グループ) 2025. 1.26
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2025.01.29
世界陸上選考会の日本選手権、20年ぶり聖地・国立競技場に決定!新装後では初めて
2025.01.29
1956年メルボルン五輪走幅跳金メダリストのベル氏が死去 94歳
2025.01.29
延岡西日本マラソンの招待選手発表! NY駅伝で好走の湯浅仁や池田勘汰がエントリー
-
2025.01.29
-
2025.01.28
2025.01.26
箱根駅伝連覇の青学大が練習拠点の相模原市で優勝パレード 「すごい人の多さにビックリ」
2025.01.22
世界陸上代表の加世田梨花と1万m歴代10位の小林歩が結婚「お互い高め合って」
-
2025.01.26
-
2025.01.26
-
2025.01.26
-
2024.12.30
-
2025.01.14
-
2025.01.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.01.29
世界陸上選考会の日本選手権、20年ぶり聖地・国立競技場に決定!新装後では初めて
日本陸連は1月29日、第109回日本選手権の開催地が東京・国立競技場になると発表した。 今年9月に行われる東京世界選手権(9月13~21日)と同会場となり、世界選手権の代表選考会も兼ねる。なお、期日はすでに発表済みの通り […]
2025.01.29
1956年メルボルン五輪走幅跳金メダリストのベル氏が死去 94歳
1956年のメルボルン五輪の男子走幅跳で金メダルを獲得した米国のグレッグ・ベル氏が、1月25日に亡くなった。1930年生まれのベル氏は94歳だったが、陸上界で存命する最高齢の金メダリストでもあった。 ベル氏は朝鮮戦争中に […]
2025.01.29
延岡西日本マラソンの招待選手発表! NY駅伝で好走の湯浅仁や池田勘汰がエントリー
1月29日、日本陸連は2月9日に開催されるジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズG3の第63回延岡西日本マラソンの招待選手を発表した。 同大会は宮崎県延岡市をスタート、日向市を折り返して再び延岡に戻るコース […]
2025.01.29
女子100mインカレ優勝の石川優が北野建設に入社! 陸上とボブスレーで五輪代表目指す
2021東京五輪代表で、昨年の日本インカレ女子100m優勝者の石川優(青学大)が4月から北野建設に入社することが関係者への取材でわかった。 神奈川県出身の石川は、相洋高時代に全国高校陸上(インターハイ代替大会)の100m […]
2025.01.28
神戸マラソンのコースが変更 フィニッシュ地点が神戸ハーバーランドに移り、よりフラットなコースへ
神戸マラソン実行委員会は1月28日、今年11月16日に実施される2025年大会からコースを変更することを発表した。 神戸マラソンは2011年の第1回大会から、神戸市役所前をスタート、神戸市南部のポートアイランドをフィニッ […]
Latest Issue 最新号
2025年2月号 (1月14日発売)
駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝