2025.01.03
◇第101回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
第101回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間20分01秒で往路優勝を飾った。中大は1分47秒差の2位だった。
中大が箱根駅伝の1区を颯爽と、そして悠々と独走する姿は、3年前の第98回大会を思い起こさせるものだった。
エースの吉居駿恭(3年)は、そのレースで序盤から独走劇を演じ、箱根最古の記録だった1区の区間記録を15年ぶりに更新する1時間0分40秒を打ち立てた吉居大和(現・トヨタ自動車)の2つ下の弟だ。
昨年12月中旬に1区で行くと決まったとき、大和からは「1区が合っているよ」と言われたという。自身も「兄の走りをイメージしながらできたらいい」と思っていた。
ただ、兄のような“大逃げ”までは想像していなかった。「スタートからスローの展開になったら、前に行って最初はペースを作ろう」と考え、藤原正和駅伝監督からも「六郷橋で出ろ」という指示が出ていた。
ところが、スタート直後になりかけたスローペースを嫌った吉居がスッと集団の前に出ると、意外にも誰もついて来ない。「気がついたら後ろがいませんでした。少ししたら追いついてくるかなと思いましたが、どんどん開いているような感じがしたので、もう行くしかありませんでした」と覚悟を決めた。
自分で行く場合の設定は、1km2分48秒~50秒だったが、それよりも速く1kmを2分46秒で通過し、5km通過は13分56秒。区間記録を樹立した時の大和が1km2分50秒、5km通過が14分07秒だったことから、区間記録更新の思いも少しずつ吉居の脳裏に浮かび始める。
沿道からの「区間新を狙えるぞ」「兄を超えていけ」といった声援も吉居の背中を後押しした。
10km通過は28分06秒。区間記録ペースよりやや遅れ始めて、「区間新は難しいかなとなって、あとは後ろとの差をどれだけ広げるかだけ」に意識を切り替えた。15.2kmの蒲田で2位集団に1分58秒ものリードを奪う。
「ずっと1人の展開で、後ろから詰められないかとヒヤヒヤしていましたが、2分ぐらい開いているという声掛けがあったので、安心して走れた部分はあります」
「後半、結構きつくなってしまった」と話すように、六郷橋が始まる残り3kmほどは我慢のレースとなったものの、それまでの貯金が大きかった。
区間歴代4位の1時間1分07秒で走破した吉居は、前回の7区に続いて区間賞を獲得。中大は優勝候補に挙げられていた前回、体調不良者続出で本来の力を発揮できず、総合13位に終わっていた。今年度も全日本大学駅伝が12位、箱根予選会も6位通過。名門校としてのそうしたモヤモヤを吹き飛ばすような吉居の快走だった。
「ここ2年、チームとして1区から流れないことがあって、楽しい駅伝ができていなかった。こうやって先頭を走って、先頭で渡して、(みんなに)できるだけ多く先頭を走って楽しい駅伝にしてもらいたい気持ちがありました。1区の仕事を果たせて良かったです」
中大は2区以降の選手たちも力強い走りでタスキをつなぎ、5区で青学大に逆転を許したものの、往路を2年ぶりとなる2位でフィニッシュ。吉居の走りがチームメイトに大きな勇気をもたらしていたのは間違いない。
文/小野哲史
箱根駅伝1区 区間歴代10傑をチェック!
①1.00.40 吉居大和(中大2) 22年① ②1.01.02 篠原倖太朗(駒大3) 24年① ③1.01.06 佐藤悠基(東海大2) 07年① ④1.01.07 吉居駿恭(中大3) 25年① ⑤1.01.13 渡辺康幸(早大2) 94年① 〃1.01.13 米満怜(創価大4) 20年① ⑦1.01.18 藤木宏太(國學院大2) 20年② ⑧1.01.19 唐澤拓海(駒大2) 22年② ⑨1.01.21 池田耀平(日体大3) 20年③ ⑩1.01.22 久保田和真(青学大4) 16年①
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