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2025.01.02

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旭化成「チームワークの勝利」1区で流れを引き寄せ、アンカー勝負で26度目V/ニューイヤー駅伝
旭化成「チームワークの勝利」1区で流れを引き寄せ、アンカー勝負で26度目V/ニューイヤー駅伝

25年ニューイヤー駅伝で5年ぶり優勝を飾った旭化成

◇第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/1月1日、群馬県庁発着・7区間100km)

ニューイヤー駅伝が行われ、旭化成が4時間47分32秒で5年ぶりの優勝を飾った。

「僕、こういうレースは得意なんですよ。誰かの後ろについて走るのも、スピード勝負に持ち込むのも」

旭化成のアンカー・井川龍人は、平然とした顔でさらりと言ってのけた。

先頭を行くHondaの中山顕から12秒遅れの2位で伊勢崎市西久保町の第6中継所をスタートした7区(15.6km)の井川は、新春の陽光を遮るようにサングラス姿。一路西へ向かう国道50号線は、右前方から赤城おろしが吹きつけていた。

「風が強いので、早い段階で(先頭に)追いついて、余裕を持って走ろう」と考えた井川だが、実際に中山を捕らえたのは4.6km付近。思っていた以上にじっくりと時間をかけ、そこから10km余は中山の後ろで待機した。「何度も『前に出たい』と思ったんですけど、確実に優勝できるまで溜めようと、我慢しました」。

中山もHondaが2022、23年に連覇した時、連続6区で優勝に貢献したチームの中軸ランナー。だが、昨年11月末の八王子ロングディスタンス10000mで27分39秒05の自己新を出し、「スピードの切れ」を武器にしてアンカーに起用された入社2年目の井川に、ここは分があった。

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後ろにピタリとつかれた中山の心中は、穏やかではなかっただろう。それも延々10kmと、長い駆け引きだ。井川は「何度か中山さんが横に来たんですけど、自分も意地を張って『絶対に前へ出ないぞ』と思っていました」と明かす。

額に汗を滲ませ、苦悶の表情で前を走る中山と、後ろで「ついて行くのは楽でした」と言う井川。もっと早くに決着をつけることは可能だったろうが、時に勝負は非情な場面を映し出す。

井川が満を持して中山の前に出たのが、15km地点を過ぎて、残り600mを切ってから。真正面に群馬県庁のフィニッシュ地点を見ながら、あっという間に8秒の差をつけ、井川は4時間47分32秒で優勝テープを切った。旭化成にとって5年ぶり。最多優勝回数をまた1つ積み上げて「26」とした。

昨年は長嶋幸宝、葛西潤、井川とルーキー3人を起用して3位だった旭化成。人材豊富なチームの中で、今年もその「入社2年目トリオ」がメンバー入りを果たし、2年連続1区(12.3km)の長嶋が区間賞で流れを作った。

兵庫・西脇工高卒19歳で1区を任された昨年の長嶋は、終盤に転倒して13位。「この1年間、悔しい思いを晴らそうと、絶対に区間賞を取ることを頭に置いてやってきました」と力を込めて話す長嶋の有言実行だった。

2021年東京五輪10000m代表の相澤晃が脚の故障で補欠に回った中で、昨年のパリ五輪10000m代表の葛西もやはり脚の故障から復帰途上だったが、2区で4位へ下げた順位を3区(15.3km)でしっかりと2位へ押し戻し、後半へとつないだ。

旭化成、Honda、トヨタ自動車というトップ3のチームは昨年と変わらず。その中で今回、旭化成が勝てたのは、2年目トリオだけでなくメンバー全員がミスなく走ったからだろう。これが駅伝では難しい。体調不良の西村功監督に代わって優勝会見の場に臨んだ宗猛総監督は「チームワークの勝利です」と、極めてシンプルな言い方で勝因を挙げた。

昨年、優勝の立役者になった太田智樹が3区で首位に躍り出た時にはトヨタ自動車の連覇が見え、5年連続5区の青木涼真が勇躍トップに立った時にはHondaの2年ぶり優勝が見え始めた。

ところが、両チームとも流れが途切れる区間があり、アンカー勝負になることを見越して最終区に井川を置いた旭化成の区間配置が的中した。

宗総監督は「相澤抜きで勝ったことが大きい」と話し、「来年以降はもっとレベルの高いレースができるように、チーム内で切磋琢磨したい」と、古豪復活を高らかに宣言した。
 

◇第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/1月1日、群馬県庁発着・7区間100km) ニューイヤー駅伝が行われ、旭化成が4時間47分32秒で5年ぶりの優勝を飾った。 「僕、こういうレースは得意なんですよ。誰かの後ろについて走るのも、スピード勝負に持ち込むのも」 旭化成のアンカー・井川龍人は、平然とした顔でさらりと言ってのけた。 先頭を行くHondaの中山顕から12秒遅れの2位で伊勢崎市西久保町の第6中継所をスタートした7区(15.6km)の井川は、新春の陽光を遮るようにサングラス姿。一路西へ向かう国道50号線は、右前方から赤城おろしが吹きつけていた。 「風が強いので、早い段階で(先頭に)追いついて、余裕を持って走ろう」と考えた井川だが、実際に中山を捕らえたのは4.6km付近。思っていた以上にじっくりと時間をかけ、そこから10km余は中山の後ろで待機した。「何度も『前に出たい』と思ったんですけど、確実に優勝できるまで溜めようと、我慢しました」。 中山もHondaが2022、23年に連覇した時、連続6区で優勝に貢献したチームの中軸ランナー。だが、昨年11月末の八王子ロングディスタンス10000mで27分39秒05の自己新を出し、「スピードの切れ」を武器にしてアンカーに起用された入社2年目の井川に、ここは分があった。 後ろにピタリとつかれた中山の心中は、穏やかではなかっただろう。それも延々10kmと、長い駆け引きだ。井川は「何度か中山さんが横に来たんですけど、自分も意地を張って『絶対に前へ出ないぞ』と思っていました」と明かす。 額に汗を滲ませ、苦悶の表情で前を走る中山と、後ろで「ついて行くのは楽でした」と言う井川。もっと早くに決着をつけることは可能だったろうが、時に勝負は非情な場面を映し出す。 井川が満を持して中山の前に出たのが、15km地点を過ぎて、残り600mを切ってから。真正面に群馬県庁のフィニッシュ地点を見ながら、あっという間に8秒の差をつけ、井川は4時間47分32秒で優勝テープを切った。旭化成にとって5年ぶり。最多優勝回数をまた1つ積み上げて「26」とした。 昨年は長嶋幸宝、葛西潤、井川とルーキー3人を起用して3位だった旭化成。人材豊富なチームの中で、今年もその「入社2年目トリオ」がメンバー入りを果たし、2年連続1区(12.3km)の長嶋が区間賞で流れを作った。 兵庫・西脇工高卒19歳で1区を任された昨年の長嶋は、終盤に転倒して13位。「この1年間、悔しい思いを晴らそうと、絶対に区間賞を取ることを頭に置いてやってきました」と力を込めて話す長嶋の有言実行だった。 2021年東京五輪10000m代表の相澤晃が脚の故障で補欠に回った中で、昨年のパリ五輪10000m代表の葛西もやはり脚の故障から復帰途上だったが、2区で4位へ下げた順位を3区(15.3km)でしっかりと2位へ押し戻し、後半へとつないだ。 旭化成、Honda、トヨタ自動車というトップ3のチームは昨年と変わらず。その中で今回、旭化成が勝てたのは、2年目トリオだけでなくメンバー全員がミスなく走ったからだろう。これが駅伝では難しい。体調不良の西村功監督に代わって優勝会見の場に臨んだ宗猛総監督は「チームワークの勝利です」と、極めてシンプルな言い方で勝因を挙げた。 昨年、優勝の立役者になった太田智樹が3区で首位に躍り出た時にはトヨタ自動車の連覇が見え、5年連続5区の青木涼真が勇躍トップに立った時にはHondaの2年ぶり優勝が見え始めた。 ところが、両チームとも流れが途切れる区間があり、アンカー勝負になることを見越して最終区に井川を置いた旭化成の区間配置が的中した。 宗総監督は「相澤抜きで勝ったことが大きい」と話し、「来年以降はもっとレベルの高いレースができるように、チーム内で切磋琢磨したい」と、古豪復活を高らかに宣言した。  

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