HOME 国内、五輪

2024.11.20

「1964年東京五輪代表の集い」開催 陸上界のレジェンドたちが60年前の思い出に浸る
「1964年東京五輪代表の集い」開催 陸上界のレジェンドたちが60年前の思い出に浸る

「1964年東京オリンピック陸上代表の集い」の出席者。12名のオリンピアンと同伴者、来賓、ゲストが陸上談義に花を咲かせた

11月19日、「1964年東京オリンピック陸上代表の集い」が東京・新宿区のオリンピックスクエア内にある日本スポーツマンクラブで行われ、当時の代表選手12名が出席した。

60年前の東京五輪に向けて、アスリートが第一線を退いた後も長く健康でいられることを願った国際オリンピック委員会(IOC)の発案により、同大会のすべての競技の代表選手を対象にした体力測定が世界各国でスタート。しかし、五輪イヤーの4年ごとに行われ測定も10数年後には実施国が激減し、現在まで続いているのは日本だけだという。

この日は東京・北区の国立スポーツ科学センター(JISS)で体力測定を行い、陸上代表の有志が国立競技場近くの日本スポーツマンクラブへ移動して旧交を温めた。

五輪3大会連続出場のレジェンド
「東京には特別の思い入れがあった」

陸上代表が集まるのはロンドン五輪イヤーだった2012年以来12年ぶり。男子三段跳で1956年メルボルン、1960年ローマ、1964年東京と3大会連続出場の実績を誇る櫻井孝次さん(88歳)は、「3つの五輪の中でも東京は特別な思い入れがあったので、一緒に出場した仲間と再び当時の思い出に浸ることができてうれしい」と話していた。

また、男子マラソン代表の君原健二さん(83歳)は「初めて五輪に出場した東京ではいろんな有名選手にサインをもらって歩き、それが後にテレビ番組で100万円の値打ちがあると鑑定されたほど。試合前にそんなことをしていた覚悟の低さが、銅メダルを獲得した円谷(幸吉)さんと(8位だった)私との差だった」と言って出席者の笑いを誘った。その反省が次のメキシコ五輪の銀メダル、さらに4年後のミュンヘン五輪の5位入賞につながった。

この集いには、12年前も招かれていた元JOC専務理事の市原則之氏をはじめ、日本陸連の尾縣貢会長、風間明副会長が来賓として、女子100mハードルの寺田明日香(ジャパンクリエイトグループ)が現役アスリート代表で出席。

広告の下にコンテンツが続きます

コロナ禍の2021年、無観客の国立競技場で開催された東京五輪に出場した寺田は、「大会前に(1964年東京五輪女子80mハードル5位入賞の)依田郁子さんの甥からご連絡をいただいて激励を受け、それがすごく力になりました。皆さんがつないでくださった想いを、私たちも次の世代につなげていきたい」と述べていた。

日本陸上界は来年9月に控える東京世界選手権を盛り上げるためにさまざまな施策を練っており、往年のオリンピアンも大切な〝応援団〟という位置付け。最高峰の陸上イベントの魅力や熱気を直接感じられる貴重なチャンスで、出席者は窓越しに国立競技場を眺めながら「来年、再びここに来られるように健康でいよう」と互いに誓い合っていた。

11月19日、「1964年東京オリンピック陸上代表の集い」が東京・新宿区のオリンピックスクエア内にある日本スポーツマンクラブで行われ、当時の代表選手12名が出席した。 60年前の東京五輪に向けて、アスリートが第一線を退いた後も長く健康でいられることを願った国際オリンピック委員会(IOC)の発案により、同大会のすべての競技の代表選手を対象にした体力測定が世界各国でスタート。しかし、五輪イヤーの4年ごとに行われ測定も10数年後には実施国が激減し、現在まで続いているのは日本だけだという。 この日は東京・北区の国立スポーツ科学センター(JISS)で体力測定を行い、陸上代表の有志が国立競技場近くの日本スポーツマンクラブへ移動して旧交を温めた。

五輪3大会連続出場のレジェンド 「東京には特別の思い入れがあった」

陸上代表が集まるのはロンドン五輪イヤーだった2012年以来12年ぶり。男子三段跳で1956年メルボルン、1960年ローマ、1964年東京と3大会連続出場の実績を誇る櫻井孝次さん(88歳)は、「3つの五輪の中でも東京は特別な思い入れがあったので、一緒に出場した仲間と再び当時の思い出に浸ることができてうれしい」と話していた。 また、男子マラソン代表の君原健二さん(83歳)は「初めて五輪に出場した東京ではいろんな有名選手にサインをもらって歩き、それが後にテレビ番組で100万円の値打ちがあると鑑定されたほど。試合前にそんなことをしていた覚悟の低さが、銅メダルを獲得した円谷(幸吉)さんと(8位だった)私との差だった」と言って出席者の笑いを誘った。その反省が次のメキシコ五輪の銀メダル、さらに4年後のミュンヘン五輪の5位入賞につながった。 この集いには、12年前も招かれていた元JOC専務理事の市原則之氏をはじめ、日本陸連の尾縣貢会長、風間明副会長が来賓として、女子100mハードルの寺田明日香(ジャパンクリエイトグループ)が現役アスリート代表で出席。 コロナ禍の2021年、無観客の国立競技場で開催された東京五輪に出場した寺田は、「大会前に(1964年東京五輪女子80mハードル5位入賞の)依田郁子さんの甥からご連絡をいただいて激励を受け、それがすごく力になりました。皆さんがつないでくださった想いを、私たちも次の世代につなげていきたい」と述べていた。 日本陸上界は来年9月に控える東京世界選手権を盛り上げるためにさまざまな施策を練っており、往年のオリンピアンも大切な〝応援団〟という位置付け。最高峰の陸上イベントの魅力や熱気を直接感じられる貴重なチャンスで、出席者は窓越しに国立競技場を眺めながら「来年、再びここに来られるように健康でいよう」と互いに誓い合っていた。

懇親会に参加した1964年東京五輪陸上代表

男子4×400mR  誉田徹(日レ) 男子マラソン 君原健二(八幡製鉄) 男子20km競歩 内藤靖雄(東洋工業) 男子50km競歩 三輪寿美雄(旭化成) 男子三段跳  岡崎高之(八幡製鉄) 男子三段跳  櫻井孝次(日立) 男子棒高跳  盛田久生(日立) 男子十種競技 鈴木章介(大昭和) 女子4×100mR 松尾(旧姓井口)任子(リッカー) 女子400m   河田(旧姓小川)清子(長良高) 女子800m   藤本(旧姓木崎)正子(中大) 女子やり投  松井(旧姓片山)美佐子(帝人) ※右端は当時の所属

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.29

齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位

第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]

NEWS 久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

2025.03.29

久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

奈良市サーキットが3月29日、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で行われ、女子1000mで800m日本記録(1分59秒93)保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2)が2分40秒23をマークした。 この記録は日本歴代4位で、U20とU18 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

2025.03.28

【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]

NEWS 【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

2025.03.28

【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]

NEWS 3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

2025.03.28

3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top