◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)4日目
日本インカレの4日目が行われ、男子200mは鵜澤飛羽(筑波大)が20秒64(+0.6)で2年ぶり2回目の優勝を飾った。
「出るつもりだった」という4×400mリレーが前日の予選で敗退したため、これが最後のインカレ、そして学生最後のレース。フィニッシュした瞬間に「4年間、終わっちゃうんだな、とすごく感じた。いろいろなことがあったので、いろいろな感情がこみ上げてきました」と言う。
この日午前の準決勝で、後半に力を緩めてフィニッシュしようとした。その隙に2人にかわされ、3着で着順通過を逃す。プラス通過で事なきを得たが、「寿命が縮みました」と苦笑する。
決勝で1レーンに割り当てられたことは「自分のせい」と受け入れ、ウォーミングアップで「できるだけ小さく、小さくいって後半頑張る」動きを確認。「最後の1本でちょっとうまくいって」決勝の舞台を迎えた。
レースは、その言葉通りの展開で後半に抜け出したが「勝ちに行くだけで気持ちが前に行っていました」。5レーンの重谷大樹(東洋大)が「打倒・鵜澤でやってきました」と追いすがり、「遠かったので自分が前なのかわからなかった」と鵜澤は必死に胸を突き出す。自分の名前が一番上に出るまで、「祈っていました」と言うほど感情があふれ出た走りとなった。
重谷に0.07秒先着し、有終の美を飾った鵜澤。100m3本、4×100mリレー2本、そして200m3本を“完走”し、「充実した大会になりました」と笑顔で振り返る。
宮城・築館高2年でインターハイ100m、200m2冠に輝き、一躍注目を集める存在となった。だが、大学1年の関東インカレ100m決勝でレース中にハムストリングスを肉離れ。そこから、脚への負担を考慮しながらのトレーニング、レースを重ねることになった。
その中で、昨年は日本選手権を初制覇し、ブダペスト世界選手権にも出場。200mでセミファイナリストとなった。そして、今夏のパリ五輪でも、再び準決勝に進出。決勝への壁は大きかったが、そんな4年間の道のりを「言葉ではいい表せない」と鵜澤は語る。
「いろんなことがあって、いろんな感情が生まれて、本当に何て言えばいいのかわからないですが……本当にいい4年間でした」
特に、大学の仲間たちとともに戦うインカレへの思いを「チームで応援してもらえるのはインカレでしかないので。インカレでした味わえない、得られない栄養があります」と表現。同時に、少し寂し気な表情ものぞかせる。
紆余曲折あったが、それが成長につながっていることは間違いない。100mやリレーをこなすことも、「高校ではやっていたこと。もちろん、タイムのレベルや出力は別のものですが、これから世界と戦っていくためには、これを当たり前にしないといけない」と言葉に力を込める。
「世界の上の選手は100mも200mも出て、リレーもやっています。僕もそういう中でやっていかないと、世界では戦えないと身に染みてわかっています。それを肝に銘じて、頑張りたい」
学生陸上を卒業し、鵜澤はいよいよ世界との勝負へと飛び出す。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.30
関口絢太が10000m28分07秒46の自己新 石原とともに米国遠征The TEN出場
2025.03.30
優勝は自己新の小林航央 青学大・田中悠登はラストラン5位/ふくい桜マラソン
-
2025.03.30
-
2025.03.29
-
2025.03.29
-
2025.03.25
-
2025.03.23
-
2025.03.23
-
2025.03.19
-
2025.03.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.30
【世界陸上プレイバック】―87年ローマ―走高跳頂上決戦はコスタディノワが制す!やり投・溝口が日本初入賞
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]
2025.03.30
関口絢太が10000m28分07秒46の自己新 石原とともに米国遠征The TEN出場
The TENが3月29日に米国・カリフォルニア州で行われ、男子10000mに出場した関口絢太(SGホールディングス)が28分07秒46の組5着だった。 関口は立教大出身で、昨年の箱根駅伝は10区区間3位。卒業後にSGホ […]
2025.03.30
丸山竜也が銅メダル 女子は川村楓の5位が最上位/アジアマラソン選手権
アジアマラソン選手権が3月30日、中国・浙江省嘉興で行われ、男子は丸山竜也(トヨタ自動車)が2時間11分51秒の3位に入った。 丸山は10km付近でやや先頭集団から離されそうになるものの、すぐに追いつき、横田俊吾(JR東 […]
2025.03.29
青学大・若林宏樹の学生ラストランは2位!TBS感謝祭マラソン激走「箱根よりきつかった」
青学大の若林宏樹がTBSの「オールスター感謝祭2025春」に出演した。若林は番組恒例の赤坂ミニマラソンに出場して2位だった。 約5km、心臓破りの坂がランナーたちを苦しめる番組の人気企画。今年の箱根駅伝で5区区間新を出し […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報