2024.09.17
9月19日から4日間、天皇賜盃第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)が神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu(等々力陸上競技場)で行われる。
母校の威信を懸けて争う学校対抗、そして学生日本一を懸けた争い。男子トラック種目の注目選手を紹介する。
男子トラックは「パリ五輪代表対決」となる100mに注目だ。200mセミファイナリストの鵜澤飛羽(筑波大)と、4×100mリレー代表で前回覇者の栁田大輝(東洋大)が激突は、今大会最大の見どころとなるだろう。
鵜澤はこれまで脚への負担から複数種目をこなすのが難しかったが、200m、4×100mリレーを含め、最後のインカレでチームへの貢献を誓う。五輪を経て、走り方の感覚をつかみつつあるようで、後半に爆発的な追い上げを見せるだろう。記録面では公認ベストの10秒30はもちろん、1年時に出した“自己最速”の10秒07(追い風参考)も十分視野に入る。
もちろん、本職の200mは自己ベスト(20秒23)、来年の東京世界選手権参加標準記録(20秒16)、そして日本記録(20秒03)も狙って4日間を戦い抜く。
栁田は、パリ五輪4×100mリレーで決勝を走れなかった悔しさをぶつける舞台。6月の日本学生個人選手権では追い風参考ながら9秒97(+3.5)をマークしており、その後に崩れた走りの感覚を取り戻せれば“本命”となる。
そこに、4×100mリレー補欠の山本匠真(広島大)、関東インカレ1部1位、2位の守祐陽(大東大)、井上直紀(早大)、藤原寛人と黒木海翔の中大コンビ、世界リレー代表の三輪颯太(慶大)らも加わり、学生最速を決める争いは大熱戦の予感が漂う。
200mで鵜澤を追う勢力は、関西学生記録(20秒60)を持つ松井健斗(関大)、中大の植松康太とエケ・ジュニア瑠音、鈴木大河(日大)、重谷大樹(東洋大)ら混戦模様だ。
400mは昨年Vの眞々田洸大(早大)に連覇が懸かる。前回3位の林申雅(筑波大)、メルドラム・アラン(東農大)や木下祐一(法大)といった“復活組”も上位をうかがう。
近年、記録の底上げが激しい110mハードル。今季好調の阿部竜希(順大)は13秒32を持つ。来年の東京世界選手権の参加標準記録(13秒27)も視野に入る。泉谷駿介(住友電工)、村竹ラシッド(JAL)とつないできた“系譜”を初優勝で引き継げるか。
日本学生個人で優勝し、追い風参考ながら13秒41(+3.1)を出している樋口隼人(筑波大)も有力。小池綾(法大)、西徹朗(早大)、ケガから復活すれば藤原孝輝(東洋大)あたりが上位候補だ。
400mハードルには豊田兼(慶大)と小川大輝(東洋大)という前回同時Vの2人がエントリー。ともに今夏のパリ五輪にも出場した。豊田は6月の日本選手権で47秒99をマークして優勝したが、翌日の110mハードルで左ハムストリングスを故障。パリの合宿でも再発したというが状態はどうか。
小川はパリで予選、敗者復活ラウンドと2本走り経験を積んだ。ここに井之上駿太(法大)、前回3位の金本昌樹(早大)、高橋遼翔(法大)、栁田聖人(東洋大)らの争いだ。
800mは日本選手権5位、6位の鹿屋体大コンビ、岡村颯太と佐藤主理、2連覇を狙う北村魁士(山梨学大)、関東インカレ1部を制した石元潤樹(日大)らハイレベルのV争いとなりそう。1500mでは3分40秒切りのベストを持つ栗原直央(城西大)、安倍優紀(東海大)、U20世界選手権代表の寺田向希(中大)が牽引しそう。昨年のワールドユニバーシティゲームズ1500m代表の高村比呂飛(日体大)は800m、1500mに登録した。
5000mと10000mは留学生が中心。5000mは前回Vのリチャード・エティーリとアモス・ベットの東京国際大コンビが強力。13分28秒67を持つ伊藤大志)(早大)、復調してきた吉岡大翔(順大)がどれだけ食い下がるか。10000mは前回2位のシャドラック・キップケメイ(日大)、同4位のスティーブン・レマイヤン(駿河台大)がランキング上位を占める。エントリーの持ち記録日本人トップは小嶋郁依斗(京産大)の28分28秒40だ。
3000m障害は前回優勝の村尾雄己(順大)が力を発揮すれば連覇は濃厚か。10000m競歩は日本学生個人と関東インカレを制している近藤岬(明大)、U20世界選手権代表の吉迫大成(東学大)あたりが優勝候補に挙がる。
前回は東洋大が4×100mリレーの2冠。4×100mリレーは9月上旬には38秒92の大学新、学生歴代10位を叩き出している。関東インカレ上位の早大、中大、大東大、順大も候補挙がる。4×400mリレーは連覇を狙う東洋大を関東インカレで制した法大や、早大らによる争いとなりそうだ。
男子総合は順大が3連覇中。今年も関東インカレ総合Vを果たしており、4連覇へ突き進む。数々の名シーンを生んできた等々力陸上競技場も改修のため、大型大会は最後になるか。学生ナンバー1を決める熱き戦いは9月19日に幕を開ける。
【みどころ】
男子フィールド編
柄澤智哉の記録に期待! 今季好調の安立雄斗、80mスロワー清川裕哉も注目
女子トラック編
100mは甲南大旋風が再び吹くか!? 100mHは本田、髙橋の対決に注目 競歩に五輪代表・柳井綾音が登場
女子フィールド編
船田茜理3連覇挑戦 齋藤真希は円盤投60mなるか 学生記録保持者・村上来花も登場
大会関連記事はこちら
最新ランキングはこちら
柄澤智哉の記録に期待! 今季好調の安立雄斗、80mスロワー清川裕哉も注目 女子トラック編
100mは甲南大旋風が再び吹くか!? 100mHは本田、髙橋の対決に注目 競歩に五輪代表・柳井綾音が登場 女子フィールド編
船田茜理3連覇挑戦 齋藤真希は円盤投60mなるか 学生記録保持者・村上来花も登場 大会関連記事はこちら 最新ランキングはこちら
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.29
編集部コラム「いつのまにか700号超え」
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.29
編集部コラム「いつのまにか700号超え」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
2025.03.29
齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位
第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]
2025.03.28
【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ
今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]
2025.03.28
【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦
FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報