2024.09.05
英国の名門、オックスフォード大学とケンブリッジ大学の陸上競技部OB・OGからなる「アキレスクラブ」(1920年創立)と、日本の伝統4大学(東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学)の陸上競技部OB・OG、学生の有志が集って結成した「4 Wings Club」との交流競技会が9月1日、東大・駒場キャンパス第一グラウンドで開催された。
日本陸上界とアキレスクラブとの交流は1928年7月、アムステルダム五輪参加前に日本代表に選出された織田幹雄、南部忠平、西田修平らを中心とした早大チームが海外遠征を計画し、英国・ロンドンでアキレスクラブとの対抗戦に参加したことが始まり。その後、70年以上の年月を経て1999年9月、早慶対抗陸上にアキレスクラブが加わり、3クラブの対抗戦を東京・大井競技場で復活。さらに、2017年に開催されたロンドン世界選手権の際、東大、京大の現役とOBがケンブリッジ大学グラウンドでアキレスクラブ主催の競技会に参加して交流を拡げた。
〝台風にもめげず〟貴重な交流の機会
そして今年、アキレスクラブよりOB・OGをはじめとする多くの方々が来日を計画しているという連絡を受け、日本の伝統4校のOB・OGが「4 Wings Club」を結成して受け入れ体制を構築。パリでのオリンピックが終了し、パラリンピックが始まった8月末、アキレスクラブ一行は台風10号接近の最中に来日した。総勢90名のうちの多くは卒業して2~5年の若い選手で、半分以上が女性。ヨーロッパの〝ジェンダー・イクオリティ〟の姿が垣間見られるメンバー構成だった。4 Wings clubも同様に4大学の男女の担当者が大会を運営し、競技運営や補助員は学生、卒業生、大学系列高校生、各校OB・OG会員が担当。多様性のある体制で臨んだ。
対抗戦10種目(公認種目)以外にも、100m競歩や立五段跳、Kids100mなど子供から高齢者まで幅広い年齢層が参加。主催者、審判、補助員も競技に参加し、「いかに皆で楽しむか」がこの競技会のメインテーマだった。折からの台風で午前中は容赦ない風雨に見舞われ、競技運営は苦労の連続。特に投てき競技では大雨の中、ずぶ濡れになりながら実施され、審判や補助員は泥だらけで記録を計測していた。それでも各種目がほぼ予定通り行われ、参加者は審判や補助員に感謝しきりだった。

天候の許す限り種目ごとに集合写真を撮り、友好を深めた
対抗戦以外にもオープン枠で出場でき、混成競技者、中学生、系列校の高校生、マスターズ登録の方、関係者の子供、孫まで参加。天候の許す限り種目ごとに集合写真を撮り、友好を深めていた。競技結果はポイント制による総合で男女ともアキレスクラブが小差で上回り、総合優勝となった。

三段跳で1956年メルボルン、60年ローマ、64年東京と五輪3大会出場の実績を誇る早大OBの桜井孝次さんが立五段跳に参加。88歳とは思えない軽快な動きを見せた
懇親会も盛況、心温まる贈り物に感激
競技会後の懇親会では、競技の緊張から解放され、選手それぞれが自由に交流。司会進行を含めてすべて英語で行われ(日本語通訳なし)、世界陸連の理事カウンシルも担う日本陸連の有森裕子副会長によるゲストスピーチも英語だった。

懇親会でゲストスピーチをした日本陸連の有森裕子副会長(右から2人目)も参加者と積極的に交流していた
その懇親会でアキレスクラブのメンバーに贈呈された記念品には早稲田本庄学院高校の書道部を中心に作成された色紙があり、それにはメンバー個々の名前が四字熟語とともに漢字で書かれた。自分の名前が漢字に置き換えたものであることを知ったメンバーたちは大喜び。アキレスクラブ側は心温まるホスピタリティに対するお礼の言葉をスケッチブックにびっしりと記していた。
懇親会の後半には「4 Wings Club」4大学の校歌や応援歌、アキレスクラブは英国の第2国歌とも言える聖歌「エルサレム」を合唱。「エルサレム」は戦う者への聖なる応援歌であり、そのなかには1981年に公開された映画「炎のランナー」の原題である「Chariot of fire(炎の騎馬車)」の歌詞が入っていた。

「アキレスクラブ」のメンバーに贈呈された記念色紙には、各選手の名前が四字熟語とともに漢字で書かれていた
陸上競技を通じた国際交流、来年の東京世界陸上でも
スポーツの世界では大会の成績やメダルの数が重視されるが、今回のように純粋に競技を楽しみながら交流を深めることにも価値がある。来年9月には東京で34年ぶりに世界陸上が開催され、多くの陸上ファンが来日する見込み。陸上競技を通じた国際交流の輪が各方面で広がれば、それも大会のレガシーになるはずだ。

「アキレスクラブ」の選手たちは「4 Wings Club」や関係者の心温まるもてなしに感激していた
〝台風にもめげず〟貴重な交流の機会
そして今年、アキレスクラブよりOB・OGをはじめとする多くの方々が来日を計画しているという連絡を受け、日本の伝統4校のOB・OGが「4 Wings Club」を結成して受け入れ体制を構築。パリでのオリンピックが終了し、パラリンピックが始まった8月末、アキレスクラブ一行は台風10号接近の最中に来日した。総勢90名のうちの多くは卒業して2~5年の若い選手で、半分以上が女性。ヨーロッパの〝ジェンダー・イクオリティ〟の姿が垣間見られるメンバー構成だった。4 Wings clubも同様に4大学の男女の担当者が大会を運営し、競技運営や補助員は学生、卒業生、大学系列高校生、各校OB・OG会員が担当。多様性のある体制で臨んだ。 対抗戦10種目(公認種目)以外にも、100m競歩や立五段跳、Kids100mなど子供から高齢者まで幅広い年齢層が参加。主催者、審判、補助員も競技に参加し、「いかに皆で楽しむか」がこの競技会のメインテーマだった。折からの台風で午前中は容赦ない風雨に見舞われ、競技運営は苦労の連続。特に投てき競技では大雨の中、ずぶ濡れになりながら実施され、審判や補助員は泥だらけで記録を計測していた。それでも各種目がほぼ予定通り行われ、参加者は審判や補助員に感謝しきりだった。 [caption id="attachment_145842" align="alignnone" width="800"]

懇親会も盛況、心温まる贈り物に感激
競技会後の懇親会では、競技の緊張から解放され、選手それぞれが自由に交流。司会進行を含めてすべて英語で行われ(日本語通訳なし)、世界陸連の理事カウンシルも担う日本陸連の有森裕子副会長によるゲストスピーチも英語だった。 [caption id="attachment_145845" align="alignnone" width="800"]

陸上競技を通じた国際交流、来年の東京世界陸上でも
スポーツの世界では大会の成績やメダルの数が重視されるが、今回のように純粋に競技を楽しみながら交流を深めることにも価値がある。来年9月には東京で34年ぶりに世界陸上が開催され、多くの陸上ファンが来日する見込み。陸上競技を通じた国際交流の輪が各方面で広がれば、それも大会のレガシーになるはずだ。 [caption id="attachment_145847" align="alignnone" width="800"]
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