◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目
パリ五輪・陸上競技10日目は9種目で決勝が行われた。
モーニングセッションでは男子マラソン(パリ市庁舎前→ベルサイユ宮殿折り返し→アンヴァリッド前広場)が行われた。
28km付近で飛び出したタミラト・トーラ(エチオピア)がそのまま逃げ切り、2時間6分26秒で金メダル。2008年北京大会でサムエル・ワンジル(ケニア)がマークした五輪記録を16年ぶりに6秒更新した。バシル・アブディ(ベルギー)が2時間6分47秒で銀メダルを獲得し、前回の銅メダルに続いて2大会連続のメダル。銅メダルは2時間7分00秒でベンソン・キプルト(ケニア)が手にした。
日本勢では赤﨑暁(九電工)が25kmをトップで通過するなど、35km付近までメダル圏内でレースを展開。その後後退したが、2時間7分32秒の自己ベストで6位に入った。日本勢としては前回6位の大迫傑(Nike)に続く2大会連続入賞となった。
イブニングセッションでは8種目で決勝が行われた。
この日はトラック&フィールド最終日。男子800mは20歳のエマヌエル・ワニョニイ(ケニア)が400m50秒3の高速レースに持ち込むと、終盤はマルコ・アロプ(カナダ)が猛追。ふたりは競り合うようにゴールへ駆け込んだ。
勝ったのはワニョニイで自己ベストの1分41秒19(世界歴代3位)。ケニア勢はこの種目で五輪5連覇となった。アロプは0.01秒差で敗れたが、1分41秒20(世界歴代4位)の北中米カリブ記録を樹立。3位はジャメル・セジャティ(アルジェリア)で1分41秒50だった。
男子走高跳は2m36を1回でクリアしたハミッシュ・カー(ニュージーランド)と・シェルビー・マキューアン(米国)のジャンプオフとなり、カーが2m34を成功。ニュージーランド勢初のメダルを金で飾った。
五輪2連覇を目指したムタズ・エッサ・バルシム(カタール)は2m34で3位。赤松諒一(SEIBU PRINCE)は自己ベストを1cm更新する日本歴代5位タイの2m31を1回でクリアして、日本勢では88年ぶりの入賞となる5位に食い込んだ。
女子やり投は北口榛花(JAL)が1回目にシーズンベストの65m80をマークして首位に立った。ライバルたちが苦戦するなか、北口は5回目にも64m73を投げてプレッシャーをかける。他には65mラインを超える選手は現れず、北口がブダペスト世界選手権に続いて優勝。日本勢の五輪金メダルはアテネ大会以来20年ぶり、女子のフィールド種目では日本勢初めてだった。
2位は63m93でジョー・アン・ファン・ディク(南アフリカ)。3位は63m68でニコラ・オグロドニーコヴァ(チェコ)だった。
女子100mハードルは大混戦となり、今季世界最高の12秒25をマークしているマサイ・ラッセル(米国)が12秒33(-0.3)で優勝。地元の大声援に背中を押されたシレナ・サンバ・マエラ(フランス)が12秒34で銀メダルを獲得した。連覇を目指したジャスミン・カマチョ・クイン(プエルトリコ)は12秒36の3位だった。
男子5000mは残り600mでエチオピア勢がペースアップ。世界歴代2位の12分36秒73を持つH.ゲブルヒウェトが抜け出すも、世界選手権を連覇中のヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)が猛追する。ラスト1周53秒の強烈キックで逆転して、13分13秒66で金メダルに輝いた。
2位は13分15秒04でロナルド・ケモイ(ケニア)。ケモイはかつて小森コーポレーションに所属していた。グラント・フィッシャー(米国)が13分15秒13で3位に入り、10000mに続いてに銅メダルを獲得した。
女子1500mは9日間で6レース目となるグダフ・ツェガイ(エチオピア)が高速レースに持ち込んだが、ラストはフェイス・キピエゴン(ケニア)が強かった。残り200mで抜け出すと、五輪新なる3分51秒29でフィニッシュ。世界記録保持者が五輪3連覇を成し遂げた。
2位はジェシカ・ハル(豪州)で3分52秒56。3位のジョージア・ベル(英国)は3分52秒61のナショナルレコードを樹立した。ツェガイは最下位(12位)だった。
男子4×400mリレーはボツワナが前半リードしたが、3走のブライス・デッドモンで米国がトップに立った。最後は400mハードル王者のライ・ベンジャミンと200m覇者のレツィレ・テボゴが激突。終盤は両国が並ぶかたちになるも、米国が逃げ切った。タイムは米国の持つ世界記録2分54秒29(1993年)に次ぐ、パフォーマンス歴代2位の2分54秒43。五輪新記録をマークした
2位のボツワナは2分54秒53のアフリカ新記録、3位の英国で2分55秒83の欧州記録。日本は予選と同じ中島佑気ジョセフ(富士通)、川端魁人(中京大クラブ)、佐藤風雅(ミズノ)、佐藤拳太郎(富士通)のオーダーで臨み、2分58秒33のアジア新記録で6位入賞を果たした。この種目の入賞は20年ぶり。
フィナーレとなった女子4×400mリレーはタレントぞろいの米国が強かった。2走のシドニー・マクローリン・レヴロンで大量リードを奪うと、3走のガブリエル・トマス、4走のアレクシス・ホームズも快走。1988年ソウル大会でソ連が出した世界記録(3分15秒17)に0.10秒届かなかったが、3分15秒27(世界歴代2位)の北中米カリブ記録で8連覇を達成した。
2位は4走のフェムケ・ボルが最後の直線で2チームを抜いたオランダで3分19秒50。3位は英国で3分19秒72。4位のアイルランド、5位のフランスまでがナショナルレコードとなった。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.11.09
-
2024.11.08
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.11.06
-
2024.11.03
-
2024.11.03
-
2024.11.03
-
2024.11.03
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
-
2024.10.11
-
2024.10.27
-
2024.11.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.09
サニブラウンが渡米「今季の経験を次につなげるのが大事」精力的なオフに込めた陸上競技への思い
男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が拠点とする米国へ戻る前に報道陣の取材に応じた。 2024年シーズンはパリ五輪に出場し、100mでは準決勝にとどまったものの9秒96と5年ぶりに自己記録を更新した。4× […]
2024.11.09
久保凛 3000mで高校歴代8位の8分59秒74! 大幅自己新で自己初の9分切り達成/日体大NCG
11月9日、第317回日体大長距離競技会兼第12回NITTAIDAI Challenge Gamesが行われ、NCG女子3000mに出場した800m日本記録保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2大阪)が8分59秒74で5着に入 […]
2024.11.09
中国実業団駅伝オーダー発表 3連覇狙う中国電力は6区菊地駿弥、7区大森太楽 マツダの3区は向晃平 中電工のアンカーは二岡康平
来年元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の予選会を兼ねた第63回中国実業団対抗駅伝が11月10日に行われる。前日の9日は、出場チームのオーダーが発表された。 3連覇を狙う中国電力は、1区を城西大卒のルーキー・野 […]
2024.11.09
最後の東日本女子駅伝 区間エントリー発表!連覇懸かる東京は2区・道下美槻 千葉アンカーに鷲見梓沙 群馬・不破聖衣来は補欠登録
11月9日、東日本女子駅伝の主催者は、10日に開催される第39回大会(9区間42.195km/福島県福島市)の区間エントリーを発表した。 前回チャンピオンで、最多11度の優勝を誇る東京は全日本実業団選手権1500m5位の […]
2024.11.09
中部4区でトヨタ自動車・吉居大和、トヨタ紡織・羽生拓矢が対決! パリ五輪代表・太田智樹は6区/中部・北陸実業団対抗駅伝
中部実業団連盟ならびに北陸実業団連盟は、11月10日に愛知県田原市で開催される第64回中部・第54回北陸実業団対抗駅伝の区間エントリーを発表した。 今年の全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)では8年ぶり4度目の優勝を果た […]
Latest Issue 最新号
2024年11月号 (10月11日発売)
●ベルリンマラソン
●DLファイナル
●インカレ、実業団
●箱根駅伝予選会展望