HOME 海外、五輪

2024.08.10

女子七種競技・ティアム 前人未踏の五輪3連覇!「この勝利は自分自身の努力に捧げたい」/パリ五輪
女子七種競技・ティアム 前人未踏の五輪3連覇!「この勝利は自分自身の努力に捧げたい」/パリ五輪

女子七種競技で史上初の五輪3連覇を達成したティアム

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目

パリ五輪・陸上競技9日目のイブニングセッションが行われ、8日目に続いて実施された女子七種競技はナフィサトゥ・ティアム(ベルギー)が史上初となる五輪3連覇を達成した。

ティアムは1種目めの100mハードルを13秒56(±0)の16位で発進すると、続く走高跳で1m92を跳んで一気に2位に浮上。砲丸投の15m54でトップに立たつと、200mも24秒46(+0.2)でまとめ、初日を2位で折り返す。

昨年のブダペスト世界選手権金メダリストでライバルと目されているカタリナ・ジョンソン・トンプソン(英国)が5種目めまで首位を走ったものの、ティアムは6種目めのやり投で54m04の全体トップの好記録を放って逆転。ジョンソン・トンプソンに121点差をつけて最後の800mに臨んだ。

800mを得意とするジョンソン・トンプソンに対して、ティアムの800mのベストは2分11秒79。少しでも気を抜けば逆転されるポイント差だった。

ジョンソン・トンプソンが2番手でレースを進めるなか、ティアムは5番手を走行。徐々にその差は広がり、ライバルが2分04秒90の自己記録をマーク。ただ、ティアムも負けじと最後の力を振り絞って2分10秒62の自己ベストでフィニッシュラインを駆け抜ける。

結果として、ティアムが総合6880点を獲得して金メダルを獲得。ジョンソン・トンプソンはわずか36点差で2位に止まった。

ベルギー人の母とセネガル人の父を持つ29歳。7歳から陸上を始め、七種競技は15歳のときから始めた。2013年のU20欧州選手権で優勝。走高跳と投てき種目を武器に記録を伸ばし、16年リオ五輪では7種目中5種目で自己記録を更新。21歳での五輪七種競技制覇は史上最年少の快挙だった。

17年には7000点越えとなる7013点を叩きだし、名実ともにこの種目の第一人者に。19年は世界選手権こそ右ヒジのケガでジョンソン・トンプソンに金メダルを奪われたが、主要大会では勝利を重ねてきた。

栄光に彩られてきたティアムだが、その裏ではケガとの戦いも続いている。特に昨年はアキレス腱を負傷。選手生命も危ぶまれるものでブダペスト世界選手権を欠場した。20代で引退する選手も少なくない七種競技において、今月には30歳を迎え、『クイーン』の座に君臨しつづけるため、さまざまなことを犠牲にしてきたという。

「とても特別な気分。身体の痛みをこらえて努力してきたが、それらが報われた。この勝利は自分の努力に捧げたい」と語った女王。「ここ数日は心身ともに緊張していたが、すべてが終わって身体が『もう大丈夫だよ』と話しかけているみたい。今は話すのも辛いくらい疲れているし、限界に近い」と死力を尽くしての勝利だったことを明かした。

4年後のロス五輪に向けての質問にも「すべてはパリのために努力してきた。でも少し頑張り働き過ぎたかもしれない。4年後のことはまだ考えてないし、今はこの瞬間を楽しませてほしい」とやりきった表情で答えた。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目 パリ五輪・陸上競技9日目のイブニングセッションが行われ、8日目に続いて実施された女子七種競技はナフィサトゥ・ティアム(ベルギー)が史上初となる五輪3連覇を達成した。 ティアムは1種目めの100mハードルを13秒56(±0)の16位で発進すると、続く走高跳で1m92を跳んで一気に2位に浮上。砲丸投の15m54でトップに立たつと、200mも24秒46(+0.2)でまとめ、初日を2位で折り返す。 昨年のブダペスト世界選手権金メダリストでライバルと目されているカタリナ・ジョンソン・トンプソン(英国)が5種目めまで首位を走ったものの、ティアムは6種目めのやり投で54m04の全体トップの好記録を放って逆転。ジョンソン・トンプソンに121点差をつけて最後の800mに臨んだ。 800mを得意とするジョンソン・トンプソンに対して、ティアムの800mのベストは2分11秒79。少しでも気を抜けば逆転されるポイント差だった。 ジョンソン・トンプソンが2番手でレースを進めるなか、ティアムは5番手を走行。徐々にその差は広がり、ライバルが2分04秒90の自己記録をマーク。ただ、ティアムも負けじと最後の力を振り絞って2分10秒62の自己ベストでフィニッシュラインを駆け抜ける。 結果として、ティアムが総合6880点を獲得して金メダルを獲得。ジョンソン・トンプソンはわずか36点差で2位に止まった。 ベルギー人の母とセネガル人の父を持つ29歳。7歳から陸上を始め、七種競技は15歳のときから始めた。2013年のU20欧州選手権で優勝。走高跳と投てき種目を武器に記録を伸ばし、16年リオ五輪では7種目中5種目で自己記録を更新。21歳での五輪七種競技制覇は史上最年少の快挙だった。 17年には7000点越えとなる7013点を叩きだし、名実ともにこの種目の第一人者に。19年は世界選手権こそ右ヒジのケガでジョンソン・トンプソンに金メダルを奪われたが、主要大会では勝利を重ねてきた。 栄光に彩られてきたティアムだが、その裏ではケガとの戦いも続いている。特に昨年はアキレス腱を負傷。選手生命も危ぶまれるものでブダペスト世界選手権を欠場した。20代で引退する選手も少なくない七種競技において、今月には30歳を迎え、『クイーン』の座に君臨しつづけるため、さまざまなことを犠牲にしてきたという。 「とても特別な気分。身体の痛みをこらえて努力してきたが、それらが報われた。この勝利は自分の努力に捧げたい」と語った女王。「ここ数日は心身ともに緊張していたが、すべてが終わって身体が『もう大丈夫だよ』と話しかけているみたい。今は話すのも辛いくらい疲れているし、限界に近い」と死力を尽くしての勝利だったことを明かした。 4年後のロス五輪に向けての質問にも「すべてはパリのために努力してきた。でも少し頑張り働き過ぎたかもしれない。4年後のことはまだ考えてないし、今はこの瞬間を楽しませてほしい」とやりきった表情で答えた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

PR

2024.09.17

逆襲を期する駒澤大学 駅伝シーズンに向けて虎視眈々

強力な学年が卒業して〝危機感〟を共有 学生駅伝3冠を狙った昨シーズン、駒澤大学は出雲、全日本で優勝しながらも、最後の正月決戦では2位にとどまった。主軸をなしていた強力な学年が抜けて新チームは〝危機感〟を共有。今季は篠原倖 […]

NEWS 世界陸連会長・セバスチャン・コー氏がIOC会長選に立候補 現役時代に男子1500mで2度の金メダル

2024.09.17

世界陸連会長・セバスチャン・コー氏がIOC会長選に立候補 現役時代に男子1500mで2度の金メダル

9月16日、国際オリンピック委員会(IOC)はトーマス・バッハ会長の任期満了に伴って行われる次期会長選に立候補した7人を発表し、世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が立候補したことを明らかにした。 コー氏は67歳。現 […]

NEWS 世界女王・北口榛花に特製『やり投ハイチュウ』贈呈!「やりより重たい」

2024.09.16

世界女王・北口榛花に特製『やり投ハイチュウ』贈呈!「やりより重たい」

女子やり投でパリ五輪金メダルに輝いた北口榛花(JAL)が9月16日に帰国し、都内で会見を開いた。その席でサプライズが待っていた。 7月16日にサポート契約を結んだ森永製菓から、やり投を模したケースにハイチュウなど、お菓子 […]

NEWS やり投世界一・北口榛花「悩み、もがき続けた1年」五輪金メダルとDLトロフィーとともに凱旋帰国

2024.09.16

やり投世界一・北口榛花「悩み、もがき続けた1年」五輪金メダルとDLトロフィーとともに凱旋帰国

女子やり投の北口榛花(JAL)が9月16日に帰国し、都内で会見を開いた。 光り輝くパリ五輪金メダルとダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルを手に帰国した北口。冒頭で「オリンピックとダイヤモンドリーグ・ファイナルと重要な試合 […]

NEWS 女子やり投アジア選手権入賞の久世生宝が今季限りで引退 「感謝の気持ちでいっぱい」

2024.09.16

女子やり投アジア選手権入賞の久世生宝が今季限りで引退 「感謝の気持ちでいっぱい」

女子やり投の久世生宝(コンドーテック)が9月15日、10月の佐賀国民スポーツ大会を最後に現役引退することを明らかにした。 久世は岡山県出身の29歳。幼少期から陸上に親しみ、中学では短距離が専門。倉敷中央高校進学後、体力強 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年10月号 (9月13日発売)

2024年10月号 (9月13日発売)

●Paris 2024 Review
●別冊付録/学生駅伝ガイド 2024 秋
●福井全中Review
●東京世界選手権まであと1年
●落合晃の挑戦

page top