2024.07.30
いよいよ開幕したパリ五輪。陸上競技は8月1日から11日の日程で行われる。日本代表のユニフォームをまとうことができる総勢55名の精鋭たち。注目選手たちを紹介していく。
パリ五輪みどころ【男子トラック編】
パリ五輪みどころ【男子フィールド編】
パリ五輪みどころ【女子編】
陸上最初の種目で池田向希が世界一に挑戦
今や日本陸上界を牽引する存在となった競歩。男子20kmは“世界一熾烈”ともいわれる選考会を勝ち抜いた布陣で挑む。
前回の東京五輪で銀メダルを手にした池田向希(旭化成)には2大会連続のメダル、そして日本競歩陣として初の金メダルの期待が膨らんでいる。
池田は昨年の世界選手権ではまさかの15位と苦杯をなめたものの、今年2月の日本選手権で1時間16分51秒の世界歴代3位のタイムで優勝。持ちタイムでは現役選手中最速選手となった。
昨年の反省を生かし、今季はスタミナを鍛えてから、スピードを磨いてきたという。これまでの世界大会では世界選手権2連覇の山西利和(愛知製鋼)がレースを支配し、池田はそれについていくケースも多かったが、今年の日本選手権では自らハイペースをつくり、1km3分50秒を刻みながら好記録につなげることができた。
選考会で敗れた山西が出場しない今大会では、海外勢のマークや審判員の審査が一層きつくなることも予想される。それでも、「ペストな状態でスタートラインに立つ。その上で判断ミスをしなければ、メダルにも近づけるし、良い色のメダルに変わっていく」と自信を深めている。
自ら主導権を握りハイペースで進むのか、集団で控えてここぞという場面で仕掛けるのか、池田の動向がレースを大きく左右するだろう。
また、濱西諒(サンベルクス)と古賀友太(大塚製薬)は初の五輪。先頭集団のなかで着実に歩を進めていけば、入賞、さらにはメダルの可能性も高まっていくだろう。
男子20km競歩は8月1日14時30分(日本時間)。陸上競技最初の種目として行われる。幸先良いスタートを切れれば、日本陸上チーム全体が盛り上がる。
男子に続いて行われる女子20km競歩には藤井菜々子(エディオン)が出場。22年オレゴン世界選手権では暑さのなか6位入賞を果たした。厚底シューズにも適応を見せ、スピード強化にも自信をのぞかせる。入賞となれば日本勢では12年ぶりとなる。
今大会から初採用の男女混合リレーは層の厚い日本の総合力が生かせる種目となりそうだ。日本からは2組がエントリーし、川野将虎(旭化成)と岡田久美子(富士通)、髙橋和生(ADワークスグループ)と柳井綾音(立命大)のコンビがメダルを目指す。
レースは男子、女子、男子、女子の順に約10kmずつ、計42.195kmをリレー形式で実施。国際大会でこの種目が行われたのは4月の世界競歩チーム選手権のみということもあり、未知数な部分も多い。スペイン、中国、イタリアといった強豪国との競り合いが展開されるだろう。
小山直城、大迫傑、前田穂南は入賞なるか
マラソンは男子が8月10日、女子が最終日の8月11日に行われる。
男子は昨年のMGCで3位までに入った小山直城(Honda)、赤﨑暁(九電工)、大迫傑(Nike)の3人がエントリー。
MGC優勝の小山は今年2月の大阪で自己ベスト(2時間6分33秒)をマーク。その前にはパリのコースを下見し、「日本のコースにはない起伏」と警戒したが、その後は米国で高地合宿を敢行するなど、対策を練っている。
赤﨑は今年2月に坂の多い青梅マラソン(30km)で圧勝すると、5月の日本選手権10000mでは自己新で7位入賞。スタミナ、スピード両面での成長を見せる。
ともに入賞を目標に掲げており、後半にどこまで粘れるかがカギとなりそうだ。
前回6位からの連続入賞を目指す大迫は、4月のボストンで2時間11分44秒。状態も心配されたものの、6月には10000mで28分16秒00で走っている。トラックやロード、海外選手とのレース経験は3人のなかで最も豊富。持ちタイムだけでは測れない夏マラソンでの強さを見せたい。
女子は、1月の大阪国際女子で19年ぶり日本新となる2時間18分59秒をマークした前田穂南(天満屋)に期待が膨らんでいる。
前回の東京五輪では33位と奮わなかっただけにパリはリベンジの舞台。起伏への対応力は高いとされ、多くの五輪選手を育ててきた武冨豊コーチも「30km過ぎの坂を下って、残り10kmであきらめなければチャンス」と話している。
MGCで1位、2位となった鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)は早くに代表を決め、米国などでじっくりと調整を続けてきた。
東京五輪で8位入賞を果たしている一山はその走りが再現できるか。鈴木も同じようなレースプランで挑んでくるだろう。
今大会には2時間11分53秒の世界記録保持者・T.アセファ(エチオピア)もエントリーしているが、アフリカ勢はメダル争いからこぼれると、レースを止めるケースもあり、最後まであきらめずに走り切ることが大事だ。
陸上最初の種目で池田向希が世界一に挑戦
今や日本陸上界を牽引する存在となった競歩。男子20kmは“世界一熾烈”ともいわれる選考会を勝ち抜いた布陣で挑む。 前回の東京五輪で銀メダルを手にした池田向希(旭化成)には2大会連続のメダル、そして日本競歩陣として初の金メダルの期待が膨らんでいる。 池田は昨年の世界選手権ではまさかの15位と苦杯をなめたものの、今年2月の日本選手権で1時間16分51秒の世界歴代3位のタイムで優勝。持ちタイムでは現役選手中最速選手となった。 昨年の反省を生かし、今季はスタミナを鍛えてから、スピードを磨いてきたという。これまでの世界大会では世界選手権2連覇の山西利和(愛知製鋼)がレースを支配し、池田はそれについていくケースも多かったが、今年の日本選手権では自らハイペースをつくり、1km3分50秒を刻みながら好記録につなげることができた。 選考会で敗れた山西が出場しない今大会では、海外勢のマークや審判員の審査が一層きつくなることも予想される。それでも、「ペストな状態でスタートラインに立つ。その上で判断ミスをしなければ、メダルにも近づけるし、良い色のメダルに変わっていく」と自信を深めている。 自ら主導権を握りハイペースで進むのか、集団で控えてここぞという場面で仕掛けるのか、池田の動向がレースを大きく左右するだろう。 また、濱西諒(サンベルクス)と古賀友太(大塚製薬)は初の五輪。先頭集団のなかで着実に歩を進めていけば、入賞、さらにはメダルの可能性も高まっていくだろう。 男子20km競歩は8月1日14時30分(日本時間)。陸上競技最初の種目として行われる。幸先良いスタートを切れれば、日本陸上チーム全体が盛り上がる。 男子に続いて行われる女子20km競歩には藤井菜々子(エディオン)が出場。22年オレゴン世界選手権では暑さのなか6位入賞を果たした。厚底シューズにも適応を見せ、スピード強化にも自信をのぞかせる。入賞となれば日本勢では12年ぶりとなる。 今大会から初採用の男女混合リレーは層の厚い日本の総合力が生かせる種目となりそうだ。日本からは2組がエントリーし、川野将虎(旭化成)と岡田久美子(富士通)、髙橋和生(ADワークスグループ)と柳井綾音(立命大)のコンビがメダルを目指す。 レースは男子、女子、男子、女子の順に約10kmずつ、計42.195kmをリレー形式で実施。国際大会でこの種目が行われたのは4月の世界競歩チーム選手権のみということもあり、未知数な部分も多い。スペイン、中国、イタリアといった強豪国との競り合いが展開されるだろう。小山直城、大迫傑、前田穂南は入賞なるか
マラソンは男子が8月10日、女子が最終日の8月11日に行われる。 男子は昨年のMGCで3位までに入った小山直城(Honda)、赤﨑暁(九電工)、大迫傑(Nike)の3人がエントリー。 MGC優勝の小山は今年2月の大阪で自己ベスト(2時間6分33秒)をマーク。その前にはパリのコースを下見し、「日本のコースにはない起伏」と警戒したが、その後は米国で高地合宿を敢行するなど、対策を練っている。 赤﨑は今年2月に坂の多い青梅マラソン(30km)で圧勝すると、5月の日本選手権10000mでは自己新で7位入賞。スタミナ、スピード両面での成長を見せる。 ともに入賞を目標に掲げており、後半にどこまで粘れるかがカギとなりそうだ。 前回6位からの連続入賞を目指す大迫は、4月のボストンで2時間11分44秒。状態も心配されたものの、6月には10000mで28分16秒00で走っている。トラックやロード、海外選手とのレース経験は3人のなかで最も豊富。持ちタイムだけでは測れない夏マラソンでの強さを見せたい。 女子は、1月の大阪国際女子で19年ぶり日本新となる2時間18分59秒をマークした前田穂南(天満屋)に期待が膨らんでいる。 前回の東京五輪では33位と奮わなかっただけにパリはリベンジの舞台。起伏への対応力は高いとされ、多くの五輪選手を育ててきた武冨豊コーチも「30km過ぎの坂を下って、残り10kmであきらめなければチャンス」と話している。 MGCで1位、2位となった鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)は早くに代表を決め、米国などでじっくりと調整を続けてきた。 東京五輪で8位入賞を果たしている一山はその走りが再現できるか。鈴木も同じようなレースプランで挑んでくるだろう。 今大会には2時間11分53秒の世界記録保持者・T.アセファ(エチオピア)もエントリーしているが、アフリカ勢はメダル争いからこぼれると、レースを止めるケースもあり、最後まであきらめずに走り切ることが大事だ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.17
フレイザー・プライスが愛息子の前で激走!運動会の保護者レースで他を圧倒
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
-
2025.04.15
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.13
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.03.23
-
2025.04.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.17
フレイザー・プライスが愛息子の前で激走!運動会の保護者レースで他を圧倒
女子短距離のレジェンド、シェリー・アン・フレイザー・プライス(ジャマイカ)が愛する息子の前で激走した。 元世界女王であり五輪金メダリストのフレイザー・プライスが、17年に出産したジオン君の学校で行われた運動会での保護者レ […]
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
4月20日に行われる上海ハーフマラソン(4月20日)のエントリーが発表されており、プロランナーとなった青学大卒の太田蒼生(GMOインターネットグループ)が登録した。太田は青学大時代、4年連続で箱根駅伝に出走。3年時は3区 […]
2025.04.16
ダイヤモンドリーグ第1戦厦門に110mH泉谷駿介と村竹ラシッドが登録!サニブラウン、三浦龍司、豊田兼もエントリー
世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)第1戦となる厦門大会(中国/4月26日)のエントリーリストが発表された。 男子110mハードルには、ブダペスト世界選手権5位の泉谷駿介(住友電工)と、パリ五輪5位の村竹ラシッド(JA […]
2025.04.16
人間スポーツ科学科を持つ公立高校が「O2Room®」を導入、スポーツコンディショニングの授業に活用
全国区で活躍する部活動もサポート 2016年に創立100周年を迎えた大阪の伝統校でもある府立桜宮高等学校。1980年にこれまでの普通科に加え大阪府内では初めてとなる体育科を新設し、さらに1999年にはスポーツ健康科学科を […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)