2024.07.27
高校生アスリートによる真夏の祭典、全国高校総体(インターハイ)の陸上競技は7月28日~8月1日の5日間、福岡県福岡市の博多の森陸上競技場で開かれる。エントリーリストや持ち記録(7月24日時点)を中心に、男子種目を展望する。
トラック
100mは西岡を筆頭にハイレベル
400mは史上初の46秒台4人決着なるか
100mはかつてないハイレベルな争いとなる可能性が高い。優勝したU20日本選手権の予選で高校歴代3位を更新する10秒20(-0.2)をマークするなど、10秒2台で4度走っている西岡尚輝(東海大仰星3大阪)が大本命。持ち味のスタートダッシュと高速ピッチで序盤からリードする展開が得意だ。
ライバルたちも強力だ。10秒29の自己ベストを持つアブラハム光オシナチ(東大阪大柏原3大阪)は、後半で追い上げた大阪府大会で西岡に先着。昨年は秋の国体で2位、U18大会では優勝している。西岡と同じ前半が得意の小室歩久斗(つくば秀英3茨城)は、U20日本選手権で自己ベストの10秒31で2位。昨年も決勝に残っており、勝負強さが持ち味でもある。
7月に高1初の10秒2台となる10秒26(+1.9)の快記録を残した清水空跳(星稜1石川)も上位候補に浮上。昨年の全中では200mを制している。西岡、アブラハムに次ぐ近畿大会3位で、3年前の全中王者・年綱晃広(滝川二3兵庫)も昨年の決勝経験者。昨年のU18大会3位の山﨑天心(城西3東京)は、U20日本選手権では5位に入っており、10秒44を出している。
北九州大会覇者の宮脇英(佐伯鶴城3大分)、東海大会優勝の土屋太陽(富士見3静岡)らも10秒4台を持つなど、決勝進出ラインも高水準となりそう。条件次第ではあるが、2013年に桐生祥秀(洛南・京都/現・日本生命)が樹立した10秒19の大会記録にどこまで迫れるか注目だ。
200mは昨年のU20日本選手権を制している若菜敬(佐野3栃木)と、今年の同選手権で優勝している佐藤克樹(東京学館新潟2新潟)が軸となりそうだ。序盤から先行する佐藤と、後半型の若菜と互いの強みがぶつかる。100mでも上位候補に挙がる宮脇、年綱、山﨑に加え、榎陸斗(保土ケ谷3神奈川)や會田聖也(つくば秀英3茨城)による上位争いは混戦模様だ。
46秒台に5人が並ぶ400mは例年以上の大激戦が予想される。U20日本選手権で400mハードルとの2冠を果たし、前回2位の菊田響生(法政二3神奈川)がシーズン序盤から好調だ。後半は他の追随を許さない強さがあり、U20日本選手権では46秒52をマークしている。
菊田を追うのがU20日本選手権では46秒57で3位だった大石亮太(浜松開誠館3静岡)と近畿勢だ。大石は春先のケガで出遅れていたが、静岡県大会、東海大会と着実に調子を上げてきている印象だ。近畿大会では久保拓己(滝川二2兵庫)が46秒69、橋詰竜輝(社3兵庫)が46秒74、岸本恭汰(洛南3京都)が46秒88と高速レースを展開している。
同一レースで高校生3人が46秒台をマークしたのはインターハイでは過去に4度。4人以上が46秒台に突入すれば史上初で、博多の地で実現するかもしれない。
男子800mには日本選手権覇者となった落合晃(滋賀学園3滋賀)が登場する。U20アジア選手権で金メダルに輝くと、5月の静岡国際で高校新記録をマーク。6月の日本選手権ではシニア選手を相手に終始先頭を譲らず、高校記録を1分45秒82まで更新する日本歴代3位の快記録をたたき出した。今大会も圧倒的なパフォーマンスを披露するか。
後続も決してレベルは低くない。昨年のU18大会覇者で、6月のU20日本選手権で高校歴代4位の1分47秒80をマークした吉澤登吾(桐朋3東京)、南関東大会で1500mと2冠を果たしたフェリックス・ムティアニ(山梨学院2山梨)、400mのスピードもある山鹿快琉(前橋育英3群馬)らが落合のハイペースに対応できれば好記録が続出する可能性もある。
1500mでは5月の木南記念で3分37秒82の快記録を出したムティアニが優勝候補筆頭に挙がる。南関東大会でも自ら作ったハイペースで3分41秒93をマーク。流れに乗った阿部宥人(西武台千葉3千葉)や山田晃央(早稲田実3東京)ら5位までが3分46~47秒台だった。高校歴代6位の3分44秒38を持つ川口峻太朗(洛南3京都)、昨年4位の濵口大和(佐久長聖3長野)が追う。
ランキング上位10人を13分台が占める5000mは、留学生が優勝争いの中心。昨年3位のエリウッド・カヒガ(仙台育英3宮城)、同4位のジェームス・カルリ(青森山田2青森)、ガユ・サミュエル(札幌山の手2北海道)はいずれも13分30秒台の記録を持つ。
持ち記録では日本人選手も引けを取らない。4月に高2最高となる13分34秒60をマークした増子陽太(学法石川2福島)は、どれだけ状態を戻せているか。昨年8位で1500mのスパート力も兼ね備える濵口も昨年13分38秒4をマークしている。南関東大会を独走ながら13分52秒28で制した鈴木琉胤(八千代松陰3千葉)、井上朋哉(洛南3京都)も力がある。
110mハードルは下級生に勢いがある。優勝候補は南関東大会で高2最高を11年ぶりに0.01秒塗り替える13秒91(-0.4)をマークした古賀ジェレミー(東京2東京)だ。インターハイを連覇した古谷拓夢(相洋・神奈川)の記録を更新し、村竹ラシッド(松戸国際・千葉/現・JAL)の大会記録に並んでいる。古賀を上回る可能性を感じさせるのが、昨年の全中覇者の髙城昊紀(宮崎西1宮崎)。規格は異なるが、U20日本選手権で、古賀や大学生を抑えて優勝している。橋爪蓮翔(皇學館3三重)や、松前大雅(星陵3兵庫)は3年生の意地を見せたい。
高校生史上3人目となる49秒台突入を果たした菊田が大本命の400mハードル。400m同様に終盤での強さが際立っているが、逆に前半の走りは課題でもある。為末大(広島皆実)が持つ49秒09の高校記録にどこまで迫れるか。U20日本選手権で50秒49をマークした橋本悠(東農大二3群馬)、51秒17で南関東大会2位の葛西悠貴(国分寺3東京)、白髭怜士(北摂三田3兵庫)は今季に入って大きく記録を伸ばしている。2度目のインターハイとなる川上大智(観音寺総合3香川)ら51秒台でも選手が集まっており、入賞争いは熾烈となりそうだ。
昨年、永原颯磨(佐久長聖・長野/現・順大)が高校記録(8分32秒12)を樹立した3000m障害では、後輩の佐々木哲(3年)がその記録に挑む。長野県大会で8分50秒04、北信越大会では高校歴代2位の8分39秒15をマーク。U20日本選手権では大学生らを差し置いて快勝している。8分41秒21を持つキプゲノ・ケネス(札幌山の手3北海道)、北九州大会優勝の牟田颯太(鎮西学院3長崎)、近畿大会王者の加嶋翼(洛南3京都)が佐々木を追う構図が予想される。
5000m競歩は近畿勢に力がある。京都府大会で20km競歩世界選手権2連覇の山西利和(堀川高/現・愛知製鋼)が持つ大会記録を11年ぶりに更新した山口輝(洛南3京都)が20分32秒10でランキングトップ。西脇工(兵庫)コンビの山田大智(2年)と玉春汰造(3年)が20分30秒台の記録を持つ。昨年3位の楠岡史朗(慶誠3熊本)や、昨年の国体少年共通5位の中島壮一朗(舟入3広島)ら実績ある面々もおり、上位争いは混沌としている。
トラック 100mは西岡を筆頭にハイレベル 400mは史上初の46秒台4人決着なるか
100mはかつてないハイレベルな争いとなる可能性が高い。優勝したU20日本選手権の予選で高校歴代3位を更新する10秒20(-0.2)をマークするなど、10秒2台で4度走っている西岡尚輝(東海大仰星3大阪)が大本命。持ち味のスタートダッシュと高速ピッチで序盤からリードする展開が得意だ。 ライバルたちも強力だ。10秒29の自己ベストを持つアブラハム光オシナチ(東大阪大柏原3大阪)は、後半で追い上げた大阪府大会で西岡に先着。昨年は秋の国体で2位、U18大会では優勝している。西岡と同じ前半が得意の小室歩久斗(つくば秀英3茨城)は、U20日本選手権で自己ベストの10秒31で2位。昨年も決勝に残っており、勝負強さが持ち味でもある。 7月に高1初の10秒2台となる10秒26(+1.9)の快記録を残した清水空跳(星稜1石川)も上位候補に浮上。昨年の全中では200mを制している。西岡、アブラハムに次ぐ近畿大会3位で、3年前の全中王者・年綱晃広(滝川二3兵庫)も昨年の決勝経験者。昨年のU18大会3位の山﨑天心(城西3東京)は、U20日本選手権では5位に入っており、10秒44を出している。 北九州大会覇者の宮脇英(佐伯鶴城3大分)、東海大会優勝の土屋太陽(富士見3静岡)らも10秒4台を持つなど、決勝進出ラインも高水準となりそう。条件次第ではあるが、2013年に桐生祥秀(洛南・京都/現・日本生命)が樹立した10秒19の大会記録にどこまで迫れるか注目だ。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 男子100m高校歴代3位の西岡尚輝[/caption] 200mは昨年のU20日本選手権を制している若菜敬(佐野3栃木)と、今年の同選手権で優勝している佐藤克樹(東京学館新潟2新潟)が軸となりそうだ。序盤から先行する佐藤と、後半型の若菜と互いの強みがぶつかる。100mでも上位候補に挙がる宮脇、年綱、山﨑に加え、榎陸斗(保土ケ谷3神奈川)や會田聖也(つくば秀英3茨城)による上位争いは混戦模様だ。 46秒台に5人が並ぶ400mは例年以上の大激戦が予想される。U20日本選手権で400mハードルとの2冠を果たし、前回2位の菊田響生(法政二3神奈川)がシーズン序盤から好調だ。後半は他の追随を許さない強さがあり、U20日本選手権では46秒52をマークしている。 菊田を追うのがU20日本選手権では46秒57で3位だった大石亮太(浜松開誠館3静岡)と近畿勢だ。大石は春先のケガで出遅れていたが、静岡県大会、東海大会と着実に調子を上げてきている印象だ。近畿大会では久保拓己(滝川二2兵庫)が46秒69、橋詰竜輝(社3兵庫)が46秒74、岸本恭汰(洛南3京都)が46秒88と高速レースを展開している。 同一レースで高校生3人が46秒台をマークしたのはインターハイでは過去に4度。4人以上が46秒台に突入すれば史上初で、博多の地で実現するかもしれない。 男子800mには日本選手権覇者となった落合晃(滋賀学園3滋賀)が登場する。U20アジア選手権で金メダルに輝くと、5月の静岡国際で高校新記録をマーク。6月の日本選手権ではシニア選手を相手に終始先頭を譲らず、高校記録を1分45秒82まで更新する日本歴代3位の快記録をたたき出した。今大会も圧倒的なパフォーマンスを披露するか。 後続も決してレベルは低くない。昨年のU18大会覇者で、6月のU20日本選手権で高校歴代4位の1分47秒80をマークした吉澤登吾(桐朋3東京)、南関東大会で1500mと2冠を果たしたフェリックス・ムティアニ(山梨学院2山梨)、400mのスピードもある山鹿快琉(前橋育英3群馬)らが落合のハイペースに対応できれば好記録が続出する可能性もある。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 男子800mで日本選手権覇者の落合晃[/caption] 1500mでは5月の木南記念で3分37秒82の快記録を出したムティアニが優勝候補筆頭に挙がる。南関東大会でも自ら作ったハイペースで3分41秒93をマーク。流れに乗った阿部宥人(西武台千葉3千葉)や山田晃央(早稲田実3東京)ら5位までが3分46~47秒台だった。高校歴代6位の3分44秒38を持つ川口峻太朗(洛南3京都)、昨年4位の濵口大和(佐久長聖3長野)が追う。 ランキング上位10人を13分台が占める5000mは、留学生が優勝争いの中心。昨年3位のエリウッド・カヒガ(仙台育英3宮城)、同4位のジェームス・カルリ(青森山田2青森)、ガユ・サミュエル(札幌山の手2北海道)はいずれも13分30秒台の記録を持つ。 持ち記録では日本人選手も引けを取らない。4月に高2最高となる13分34秒60をマークした増子陽太(学法石川2福島)は、どれだけ状態を戻せているか。昨年8位で1500mのスパート力も兼ね備える濵口も昨年13分38秒4をマークしている。南関東大会を独走ながら13分52秒28で制した鈴木琉胤(八千代松陰3千葉)、井上朋哉(洛南3京都)も力がある。 110mハードルは下級生に勢いがある。優勝候補は南関東大会で高2最高を11年ぶりに0.01秒塗り替える13秒91(-0.4)をマークした古賀ジェレミー(東京2東京)だ。インターハイを連覇した古谷拓夢(相洋・神奈川)の記録を更新し、村竹ラシッド(松戸国際・千葉/現・JAL)の大会記録に並んでいる。古賀を上回る可能性を感じさせるのが、昨年の全中覇者の髙城昊紀(宮崎西1宮崎)。規格は異なるが、U20日本選手権で、古賀や大学生を抑えて優勝している。橋爪蓮翔(皇學館3三重)や、松前大雅(星陵3兵庫)は3年生の意地を見せたい。 高校生史上3人目となる49秒台突入を果たした菊田が大本命の400mハードル。400m同様に終盤での強さが際立っているが、逆に前半の走りは課題でもある。為末大(広島皆実)が持つ49秒09の高校記録にどこまで迫れるか。U20日本選手権で50秒49をマークした橋本悠(東農大二3群馬)、51秒17で南関東大会2位の葛西悠貴(国分寺3東京)、白髭怜士(北摂三田3兵庫)は今季に入って大きく記録を伸ばしている。2度目のインターハイとなる川上大智(観音寺総合3香川)ら51秒台でも選手が集まっており、入賞争いは熾烈となりそうだ。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 男子400mと400mHで2冠を狙う菊田響生[/caption] 昨年、永原颯磨(佐久長聖・長野/現・順大)が高校記録(8分32秒12)を樹立した3000m障害では、後輩の佐々木哲(3年)がその記録に挑む。長野県大会で8分50秒04、北信越大会では高校歴代2位の8分39秒15をマーク。U20日本選手権では大学生らを差し置いて快勝している。8分41秒21を持つキプゲノ・ケネス(札幌山の手3北海道)、北九州大会優勝の牟田颯太(鎮西学院3長崎)、近畿大会王者の加嶋翼(洛南3京都)が佐々木を追う構図が予想される。 5000m競歩は近畿勢に力がある。京都府大会で20km競歩世界選手権2連覇の山西利和(堀川高/現・愛知製鋼)が持つ大会記録を11年ぶりに更新した山口輝(洛南3京都)が20分32秒10でランキングトップ。西脇工(兵庫)コンビの山田大智(2年)と玉春汰造(3年)が20分30秒台の記録を持つ。昨年3位の楠岡史朗(慶誠3熊本)や、昨年の国体少年共通5位の中島壮一朗(舟入3広島)ら実績ある面々もおり、上位争いは混沌としている。フィールド 走高跳・中谷が最古の大会記録更新なるか アツオビンが投てき3冠に挑戦
走高跳では4月のU20アジア選手権銀メダル(2m19)の中谷魁聖(福岡第一3福岡)が地元Vを狙う。昨年は9位で入賞を逃した悔しさもある。2000年以降で2m19を越えているのは中谷を含めて6人だけ。1987年に吉田孝久(上郷・神奈川)、89年に海鋒佳輝(八千代松陰・千葉)がマークした2m20は、実施種目で大会最古の大会記録となっている。中谷が地元で歴史を塗り替えるか注目だ。 中谷を追うのは2m10を越えている面々だ。2m12の稲垣公生(金沢龍谷3石川)は、191cmの長身を生かした跳躍が持ち味。U20日本選手権では2m05で3位に入っている。同選手権で稲垣を上回る2位(2m09)に入っているのが、近畿大会優勝の中村佳吾(関大北陽2大阪)。2m10で四国大会を制している藤井優作(城南3徳島)も有力で、4人を中心とした上位争いとなりそうだ。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 男子走高跳で大会記録を狙う中谷魁聖[/caption] 本命不在で混戦模様なのが棒高跳だ。5m台が8人に上っているが、上位争いの軸となりそうなのが谷口海斗(中京大中京3愛知)だ。昨年は4位、U18大会優勝と実績面でリードしており、ランキングトップの5m11をクリアしている。U20日本選手権で5m10をマークした結城咲翔(宮崎一3宮崎)は、高さに余裕のある跳躍を見せている。身長163cmの小柄ながら技術力に長けた長野董也(王寺工3奈良)も近畿大会で5m10を成功させた。ただ、持ち記録は拮抗しており、いかに少ない試技数で跳んでいくかが最終的な順位を左右しそうだ。 走幅跳は東北大会で7m73(+1.1)のビッグジャンプを見せた土屋拓人(聖和学園3宮城)が優勝候補に浮上。力強い踏み切りからの高さのある跳躍が武器だ。だが、7m50台で4人が続いており、一筋縄ではいかない。U20日本選手権で土屋を1cm抑える7m58(+0.2)を跳んだ大森恵偉音(福岡第一2福岡)は勢いがあり、地元で戦えることも利点だ。奥澤真(浜松西3静岡)は4月に7m59(+1.7)をマークしており、藤本涼哉(小野3兵庫)は近畿大会の最終で7m54(+0.1)を跳んで逆転優勝。7m40台にも5人がつけており、数cmの差で順位変動が起こりうる。 15mジャンパーが7人を数える三段跳は混戦となりそうだ。記録面では井上敏志(玉野光南2岡山)が15m22(+1.6)で一歩リード。15m19(+1.8)を持つ西村快斗(四條畷学園3大阪)が続き、その西村をU20日本選手権で上回っている中村光希(名城大附3愛知)も15m13(+0.2)と僅差だ。昨年のU18大会優勝の水内琉偉(日根野3大阪)、同2位の丹野正知(盛岡一3岩手)は実力者で、走幅跳でも記録を伸ばしている地元の大森恵偉音(福岡第一2福岡)は波に乗っている。 砲丸投は高校歴代9位の17m53をプットしている田村凪(開志国際3新潟)が優勝争いの中心だ。身長170cmと小柄ながら、昨年から取り組む回転投法で記録を伸ばし、昨年のU18大会で2位。U20日本選手権では16m97で2位と安定感も高い。投てき3冠を狙う昨年3位のアツオビン・アンドリュウ(花園3京都)は16m84。優勝するには、少なくとも17mを超える必要があるだろう。16m73の永江翔太朗(紀央館3和歌山)、昨年のU18大会優勝の阿部佑樹(柴田3宮城)と実力者が続いており、上位争いは激戦だ。 上位陣の厚さが例年以上の円盤投。4月に50m25を投じた田窪一翔(FC今治明徳3愛媛)がただ一人50mを超えているが、飛び抜けてはいない。49m90で続く永江翔太朗(紀央館3和歌山)は、昨年は3本ともファウルで予選落ち。最終学年で期する思いがあるだろう。U20日本選手権で田窪を上回る3位(49m28)に入った小野大輝(日大東北3福島)、近畿大会で永江を抑えたアツオビン・アンドリュウ(花園3京都)も強力。予選突破、入賞ラインともに必然的に上がりそうだ。 ハンマー投は高校記録(68m99)更新も視野に捉えるアツオビン・アンドリュウ(花園3京都)が大本命だ。U20日本選手権で自らが持つ高校歴代7位の記録を67m52まで更新。初の全国タイトルも獲得し、勢いを加速させている。続くのが千葉勢で、U18大会優勝の鈴木駿星(長生3)と、U20日本選手権4位の米倉伸之助(成東3)。アツオビンの記録が低調であれば、十分逆転の可能性を秘めている。U18大会3位の白木康介(修文学院3愛知)も61m79を投じるなど力を伸ばしている。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 投てき3冠を狙うアツオビン・アンドリュウ[/caption] 飛び抜けた存在がおらず、大混戦となりそうなやり投。記録面ではU20日本選手権で65m92を投じた鈴木凰士朗(市岐阜商3岐阜)、7月に65m50をマークした赤嶺勝永(那覇西3沖縄)が65mオーバー。しかし、昨年6位で64m73の松月秀斗(伊勢学園3三重)や、U20日本選手権7位で64m63の嶋田昊(米沢中央3山形)を筆頭に64m台で5人が続いている状況だ。予選からの試合運びも上位進出の鍵となりそうだ。 八種競技は高校歴代6位(5996点)の石本澄空(鳥羽3京都)、同7位(5969点)の高橋駿士(会津学鳳3福島)を中心にハイレベルな争いが予想される。石本は得意のハードルで力を伸ばし、投てき種目次第では6000点超えも可能。高橋もハードルが得意だが、砲丸投でも13m超の記録を持つ。3年前の全中王者で、再び頂点を狙う。追いかける存在も5700点台で5人が固まる。昨年4位で5786点を持つ三森咲大朗(宮崎工3宮崎)、南関東大会で高2歴代4位の5768点をマークした宮下輝一(市船橋2千葉)らが上位進出を見据えている。
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