Honda陸上競技部は7月4日、先週の日本選手権の男子3000m障害で初優勝を飾り、この日にパリ五輪代表入りが発表された青木涼真の取材会を都内で開催した。
2021年の東京五輪、22年オレゴン、23年ブダペストの両世界選手権に出場している青木は、「4年連続で日本代表となり、まずはホッとしていますが、『安心した』と言うよりも『身が引き締まった』というのが正直な心境」と話した。
Hondaでは昨年10月のMGCで優勝し、いち早く五輪代表に内定していたマラソンの小山直城に次ぐパリ行きで、2016年リオ(マラソン・石川末廣、10000m・設楽悠太)、2021年東京(10000m・伊藤達彦、3000m障害・青木)に続く、3大会連続でのオリンピアン輩出。
ニューイヤー駅伝では2022年、23年と連覇し、今年も2位と上位で活躍しているHondaだが、個人でも着実に成果を挙げている。先週の日本選手権では青木だけでなく、5000mで伊藤と森凪也がワン・ツーフィニッシュ、小袖英人が7位。1500mでも荒井七海が2位を占めるなどHonda旋風を巻き起こした。
「チーム内で切磋琢磨していて、小山さんも達彦もいるので、ウチのチームでは世界が身近になっている。後輩たちも成長しているので、若手の目標になる“背中”を見せることでチームに貢献していきたい」と青木は話す。
青木がここまで世界を意識できるようになったのは、「2022年から米国のBTC(バウワーマン・トラッククラブ)の練習に加わって刺激を受けている影響が大きい」と小川智監督。コロナ禍で会社から海外合宿の承諾を得るのは大変だったそうだが、世界にチャレンジしたい強い意思をくみ取ってもらったという。
BTCには世界でメダルを狙うような選手がたくさんおり、3000m障害リオ五輪銀メダリストのエヴァン・ジャガーもその一人。スピード重視の練習やウエイトトレーニング、練習の組み立て方もさることながら、アスリートとしての心得までもがBTCの選手たちは非常に高く、「今まで僕がやっていたことは陸上競技ではなく、これが本当の陸上競技だ」(青木)と感じるほどレベルの違いを思い知らされた。
埼玉・春日部高時代の成績は学年トップクラス、法大では理系の生命科学部応用化学学科で学ぶほど、探究心が旺盛な青木。BTC入門当初は大変な面は多かったものの、ついていくのがやっとのトレーニングや英語でのコミュニケーションに四苦八苦しながらも、日々いろいろなものが吸収できるチームでの生活は「楽しくてたまらない」という。そんな中で今年2月にはボストンでの競技会で1マイルの室内日本新記録(3分54秒84)をマークした。
その後はオーバーワークで左のふくらはぎからアキレス腱にかけて痛みが生じ、5月中旬から調子を落としていた。しかし、じっくりと調整して間に合わせた6月下旬の日本選手権では、すでにパリ五輪代表を決めていた日本記録保持者・三浦龍司(SUBARU)が不在だったとはいえ、青木は危なげないレースで貫録勝ちして力の高さを示した。
昨年のブダペスト世界選手権では初めて決勝に進出し、地鳴りのような大歓声に身震いがするほどの感激を味わった。だが、14位という結果には悔しさが残った。それをきっかけに高校時代から持ち続けていた花形種目の5000mや1500mへの憧れを封印。「3000m障害から逃げずにやり続ける」覚悟を決めた。
3000m障害で高校時代からスター街道を突き進んでいる三浦とは対照的に、青木はインターハイではぎりぎり入賞の8位。その後、地道にコツコツと力をつけて世界大会の常連にまで登り詰めた。Hondaの企業スピリッツである「挑戦」という言葉がぴったりはまるアスリートだといえる。
「このところ日本では3000m障害をやり出す選手が増えているのはうれしいこと。世界のトップを目指す三浦君以外の選手でもやれるんだ、ということを見せていければ」(青木)
パリでの目標は「10位以内」。それをステップに、翌年の東京世界選手権で入賞することが当面の青写真だ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.16
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会