2024.06.30
男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が企画した100mの競技会「DAWN GAMES」の東日本予選が6月29日、東京・大井ふ頭中央海浜公園スポーツの森陸上競技場で行われた。
この大会は「陸上人口を増やし、層を厚くしたい」「子供たちがもっといろんなチャレンジする機会を増やしたい」という思いを持つサニブラウンが主宰。東日本地区(北海道・東北・関東・中部)に居住または在学が対象に小学校4~6年生、中学生の男女、高校生男子の100mが実施され、各カテゴリーの上位4人が10月開催予定の決勝大会への出場権を獲得できる。また、今大会は小学校1~3年生50mも設けられらた(決勝大会は実施せず)。
予選を経て行われた決勝では、各カテゴリーで熱戦が展開。高校男子は松丸孝之選手(目黒学院3東京)が10秒90(-2.6)で優勝し、「調子を合わせてきたけど、思ったように走れませんでした。決勝大会では自己新を出して優勝したいです」と振り返った。
中学の男子は橋本拓弥選手(二之江3東京)が11秒22(-1.2)で制し、女子は石井美泉奈選手(松江四3東京)が12秒50(-1.2)で1位。「もっといいタイムを出して、西日本の選手たちにも勝ちたいです」と橋本選手が言えば、石井選手も「12秒台前半を出したかったのでちょっと悔しいですが、楽しかったです。改善点を直して、自分の納得できる走りができるようになりたいです」と力強く話した。
小学生の男子は松井昴龍選手(LOVERSSPORTS)が13秒49(-1.6)、女子は東郷帆夏選手(ランベント)が13秒41(-1.4)でそれぞれ優勝した。
現役トップアスリートが企画した大会とあって、そのインパクトは大きかった様子。「父がネットニュースで見つけて参加することを決めました。陸上はマイナーというわけじゃないけど、もっと盛り上げられると思います。このような大会が開催されるのはすごくいいことだと感じました」(松井選手)、「クラブチームの仲間の家族がSNSで見つけて、あこがれのサニブラウン選手が開く大会なので出てみたいと思いました」(橋本)、「大会のことは母から教えてもらいました。サニブラウン選手が好きなので、出場を決めました」(東郷選手)。
新潟から家族で競技会を訪れた平原怜衣選手(小学5年)は「6年生と一緒に走ったのですが、やっぱり速かったです。決勝大会に進めなかったのは残念だけど、サニブラウン選手に会いたいので、来年も開催されるならまた出てみたいです」。父・康人さん、母・希さんも「地方から来るのは簡単でないですが、それでも来たいと思える大会。強い選手と走れる良い機会にもなりました」と笑顔で振り返った。
東京・目黒七中はチーム全員で参加。顧問の三條篤先生は、「サニブラウン選手の考えにすごく共感したので」とその理由を話す。部員が昨年は1人だったが、今年度は陸上初心者ながら1年生が多数入部。そこで、「陸上の楽しさを知ってほしい」と部員全員で参加したという。
1年間、1人で部活を続けた3年生キャプテンの土岐貫太選手は「いい経験になりました。陸上は1人での競技だけど、仲間と支え合ってともに高め合っていく競技なので、これからも続けたいです」。そう話す土岐選手の手には、参加者全員に贈られたサニブラウンのサインがあり、「トップ選手とのこういったつながりは、子供たちの励みになりますね」と三條先生は目を細めていた。
また、競技の合間には、カテゴリーごとに栄養セミナーと、トレーニングのクリニックも行われた。管理栄養士の吉村俊亮氏(株式会社AND-U)は1日の必要エネルギー量を把握し、それを確保することの重要性を説明。名和大輔トレーナー(シフススポーツアカデミー)は不安定の中で軸を作る意識や、股関節周辺との連動の大切さを伝えた。
高校生の部の栄養指導に参加した萩原みや子さんは、高校1年生と小学5年生の子供が2人とも陸上に取り組んでいるそうで、「現役のトップ選手が自分ががんばるだけではなく、子供たちに何かを伝えるという取り組みをしてくださるのはなかなかないこと。子供たちはサニブラウン選手にあこがれを持ってやっているので、本当にありがたいです」と話す。
さらに、サニブラウン選手と同じマネジメント会社契約アスリートで友人でもあるバドミントンの桃田賢斗選手が、小学生向けのスポーツプログラム「スポーツキッズトレーニングbyハナスポ」を実施。1~3年生、4~6年生の2部に別れ、遊びの中から素早く動く姿勢を伝えたり、スポーツチャンバラで動き回ったりと、子供たちと汗を流した。
桃田選手は「バドミントンだけでなく、どんなスポーツでも身体を動かすことの大切さを感じてほしいなと思って参加させてもらいました」。バドミントンの構えと陸上のスタンディングスタートの姿勢に共通点があることを伝えるなど「スポーツにおいて基礎となる部分はほとんど同じ。なぜ、こういう動きになるのか。それをもっと言語化できるように学んでいるところです」と、子供たちに“伝える”ことへの意欲を示した。
大会名の「DAWN」には、夜明けや黎明という意味があり、新しい時代や出発の始まりを象徴する言葉としてサニブラウン自らが命名した。サニブラウンの新たな試みが刺激を与え、子供たちに新たな発見や学びを与える大会となった。
◇DAWN GAMES東日本予選成績(主催者発表)
小学生低学年50m(女子):優勝 岩原ちなみ、2位 樋口実里、3位 榮 優良
小学生低学年50m(男子):優勝 河瀬挑吾、2位 奥見和昌、3位 青井順椰
小学生高学年100m(女子):優勝 東郷帆夏、2位 小林優空、3位 秋吉ひまり
小学生高学年100m(男子):優勝 松井昴龍、2位 原田光太、3位 金坂水翔
中学生(女子):優勝 石井美泉奈、2位 辻 彩希、3位 江花瑞穂
中学生(男子):優勝 橋本拓弥、2位 辻田矩理、3位 吉田光幸
高校生(男子):優勝 松丸孝之、2位 川内 凜、3位 柄澤修太
※10月の決勝大会には各カテゴリーの4位まで出場権獲得
【動画】子供たちが全力で駆け抜ける!サニブラウンの思いが込められたDAWN GAMES西日本予選の様子
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
-
2024.12.04
-
2024.12.03
-
2024.12.01
2024.11.10
全国高校駅伝の都道府県代表出そろう!男子前回Vの佐久長聖、2位・倉敷ら駒進める
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
2024.11.06
駅伝シーズンに向け、ナイキの「EKIDEN PACK」コレクションが登場!
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.04
やり投・北口榛花が日本陸連アスリート・オブ・ザ・イヤー!室伏広治に続き2人目の2年連続受賞
日本陸連は12月4日、日本陸連アスレティックス・アワード2024の受賞者を発表し、最優秀選手に当たる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に、女子やり投の北口榛花(JAL)が選ばれた。昨年に続いて2年連続は、2011、12年の […]
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
オムロン ヘルスケア株式会社は、女子中長距離の田中希実(New Balance)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。 1500m、5000mの日本記録保持者で、東京五輪・パリ五輪代表の田中。23年頃に股関節の繊細 […]
2024.12.04
富士通にブダペスト世界陸上代表・山本亜美と東京世界陸上標準突破の井之上駿太が加入!400mHホープが名門へ
12月4日、富士通はホームページで、来年4月1日付で男子400mハードルの井之上駿太(法大)と女子400mハードルの山本亜美(立命大)の2人が入社することを発表した。 井之上は大阪府出身。中学時代は100mや200mに取 […]
2024.12.04
アトランタ五輪女子円盤投金メダルのヴィルダ氏が死去 55歳 パラアスリートとしても活躍
1996年アトランタ五輪女子円盤投の金メダリスト、イルケ・ヴィルダ氏(ドイツ)が12月1日に亡くなった。55歳だった。 ヴィルダ氏はライプツィヒに生まれ、ドイツ統一前は東ドイツ代表として競技していた。1988年に投げた7 […]
2024.12.04
五輪代表・飯塚翔太が東ティモールで子どもと交流 3年連続JICA活動「スポーツは共通言語」
リオ五輪男子4×100mリレー銀メダリストで、今夏のパリ五輪200m代表の飯塚翔大(ミズノ)が12月4日、訪問先の東ティモールからオンラインで現地の活動について報告会見を行った。 独立行政法人国際協力機構(JICA)が主 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会