HOME 特集、箱根駅伝

2024.06.02

【ADIZERO ROAD TO RECORDS追跡】世界に挑んだ学生ランナーたちの声 青学大/創価大/東京国際大編

ADIZERO ROAD TO RECORDSに出場した青学大の選手たち。左から宇田川瞬矢、塩出翔太、野村昭夢、鳥井健太、若林宏樹

アディダス社が主催する「ADIZERO ROAD TO RECORDS」が4月27日、同社本社敷地内に特設された1周約1.3kmのコースで開催された。

10名が参加した日本勢のうち、國學院大に次ぐ位置でフィニッシュしたのが、5人が出場した青学大勢。塩出翔太(3年)が14分33秒で18位、野村昭夢(4年)が14分35秒で19位、宇田川瞬矢(3年)が14分38秒で20と続き、若林宏樹(4年)が14分42秒で22位、鳥井健太(2年)が15分24秒で24位だった。

また、そこに割って入る21位だったのが創価大3年の石丸惇那。さらに、5000m(13分00秒17)、10000m(27分06秒88)、ハーフマラソン(59分32秒)の学生記録を持つリチャード・エティーリ(東京国際大2)は10kmに出場し、27分47秒で13位だった。

青学大勢はそれぞれにタイムよりも、まずは「海外の選手にどれだけついていけるか」(塩出)を目指して挑戦。その中で最後まで、集団にくらいついたのが若林で、後半は暑さの影響もあって失速したものの「半分はつくことができたので、今後に生かせるのかなと思っています」。

トラックでは1500mを主戦場とする宇田川が「1500mのレースをやっているような感じ」と言うほどのスピード感。それに挑むべく、野村、宇田川、若林、鳥井は「ADIZERO TAKUMI SEN 10」を着用した。

「今年の箱根駅伝でも着用させていただきましたが、反発があって自分の走りにちょうどいい。ペースダウンした中でも、後半に脚を動かすことができました」(野村)

「練習などでも着用していますが、非常に感覚が良いです。地面をとらえやすくて、スピードも出るうえにクッション性もあります」(宇田川)

「履き心地が良くて、自分の思った位置に足を置けるイメージがあります」(若林)

「スピードに自身がないのですが、それでも最初の1kmをしっかりとついていくことができた。スピードを出せるシューズと感じました」(鳥井)

塩出は「普段の厚底の感覚」を大切にするために、「ADIZERO ADIOS PRO 3」を着用したが、「反発を感じやすく、後半の疲れもあまり感じませんでした」とその特性を生かした走りを見せて、チーム内トップを占めた。

レースだけではなく、大会3日前から本社敷地脇のホテルに滞在し、トップ選手たちと食事や生活を共にしたことも大きな経験だ。「意識の高さなど、今回経験したことをチームに伝えて、還元していきたい」と若林は言う。

また、塩出は「動き作りなどを間近で見れたので、吸収したい」と言えば、野村も「一番上のチームの設定よりも速いペースでいけるよう、少しずつ取り組んでいきたい」とモチベーションが高まった様子。

「前期に5000mのタイムを更新していきたい」(宇田川)、「ケガが続いているので、土台を作って夏をいいかたちで迎えられるようにしたい」(鳥井)と、それぞれのターゲットに向けても、貴重な一歩となった。

青学大の原晋監督は世界トップの水準を間近で見て、国内との差を強く感じた。

「世界のトップランナーたちのペース配分というのは、もう“マニュアル”ではないでしょう。暑さの中でもスタートと同時にダッシュし、ハイペースで入っていく。同じ13分台でも、その中身は国内のレースとはまったく違います。国内レースはイーブンペースから後半に上げるというような流れ。でも、自分からどんどん前へ行き、限界を超えるような走りを常日頃からややっていかないと、世界仕様にはかなわないんだろうなと感じました」

また、競技面だけでなく、語学面についても触れる。

「大学生として学習面で観点から話をすると、語学の壁をすごく感じます。やはり英語を話せる力を、アスリートも上げていく必要がある。(世界に対しての)精神的な壁を取り除くためにも重要な要素。大学の勉強の中でも、まじめに取り組んでいかないといけません」

そして、終始盛り上がった大会の雰囲気などについても、「日本の陸上界に取り入れるべき。大会運営のイロハを抜本的に見直さないと、魅力ある業界になっていかないと感じました」と語った。

[caption id="attachment_137161" align="alignnone" width="800"] ADIZERO ROAD TO RECORDSに出場した青学大の選手たち。左から宇田川瞬矢、塩出翔太、野村昭夢、鳥井健太、若林宏樹[/caption] アディダス社が主催する「ADIZERO ROAD TO RECORDS」が4月27日、同社本社敷地内に特設された1周約1.3kmのコースで開催された。 10名が参加した日本勢のうち、國學院大に次ぐ位置でフィニッシュしたのが、5人が出場した青学大勢。塩出翔太(3年)が14分33秒で18位、野村昭夢(4年)が14分35秒で19位、宇田川瞬矢(3年)が14分38秒で20と続き、若林宏樹(4年)が14分42秒で22位、鳥井健太(2年)が15分24秒で24位だった。 また、そこに割って入る21位だったのが創価大3年の石丸惇那。さらに、5000m(13分00秒17)、10000m(27分06秒88)、ハーフマラソン(59分32秒)の学生記録を持つリチャード・エティーリ(東京国際大2)は10kmに出場し、27分47秒で13位だった。 青学大勢はそれぞれにタイムよりも、まずは「海外の選手にどれだけついていけるか」(塩出)を目指して挑戦。その中で最後まで、集団にくらいついたのが若林で、後半は暑さの影響もあって失速したものの「半分はつくことができたので、今後に生かせるのかなと思っています」。 トラックでは1500mを主戦場とする宇田川が「1500mのレースをやっているような感じ」と言うほどのスピード感。それに挑むべく、野村、宇田川、若林、鳥井は「ADIZERO TAKUMI SEN 10」を着用した。 「今年の箱根駅伝でも着用させていただきましたが、反発があって自分の走りにちょうどいい。ペースダウンした中でも、後半に脚を動かすことができました」(野村) 「練習などでも着用していますが、非常に感覚が良いです。地面をとらえやすくて、スピードも出るうえにクッション性もあります」(宇田川) 「履き心地が良くて、自分の思った位置に足を置けるイメージがあります」(若林) 「スピードに自身がないのですが、それでも最初の1kmをしっかりとついていくことができた。スピードを出せるシューズと感じました」(鳥井) 塩出は「普段の厚底の感覚」を大切にするために、「ADIZERO ADIOS PRO 3」を着用したが、「反発を感じやすく、後半の疲れもあまり感じませんでした」とその特性を生かした走りを見せて、チーム内トップを占めた。 レースだけではなく、大会3日前から本社敷地脇のホテルに滞在し、トップ選手たちと食事や生活を共にしたことも大きな経験だ。「意識の高さなど、今回経験したことをチームに伝えて、還元していきたい」と若林は言う。 また、塩出は「動き作りなどを間近で見れたので、吸収したい」と言えば、野村も「一番上のチームの設定よりも速いペースでいけるよう、少しずつ取り組んでいきたい」とモチベーションが高まった様子。 「前期に5000mのタイムを更新していきたい」(宇田川)、「ケガが続いているので、土台を作って夏をいいかたちで迎えられるようにしたい」(鳥井)と、それぞれのターゲットに向けても、貴重な一歩となった。 青学大の原晋監督は世界トップの水準を間近で見て、国内との差を強く感じた。 「世界のトップランナーたちのペース配分というのは、もう“マニュアル”ではないでしょう。暑さの中でもスタートと同時にダッシュし、ハイペースで入っていく。同じ13分台でも、その中身は国内のレースとはまったく違います。国内レースはイーブンペースから後半に上げるというような流れ。でも、自分からどんどん前へ行き、限界を超えるような走りを常日頃からややっていかないと、世界仕様にはかなわないんだろうなと感じました」 また、競技面だけでなく、語学面についても触れる。 「大学生として学習面で観点から話をすると、語学の壁をすごく感じます。やはり英語を話せる力を、アスリートも上げていく必要がある。(世界に対しての)精神的な壁を取り除くためにも重要な要素。大学の勉強の中でも、まじめに取り組んでいかないといけません」 そして、終始盛り上がった大会の雰囲気などについても、「日本の陸上界に取り入れるべき。大会運営のイロハを抜本的に見直さないと、魅力ある業界になっていかないと感じました」と語った。

「日々の積み重ねで身体は作られている」

[caption id="attachment_137163" align="alignnone" width="800"] ADIZERO ROAD TO RECORDSに出場した創価大の石丸惇那[/caption] 世界トップランナーとの生活から学んだことについて、石丸は次のように語った。 「美味しいものがたくさんあるので、僕はソーセージだったり、甘いデザートだったり、やっぱり食べたいものを食べてしまいました。でも、海外の選手は野菜も果物も選んで取っていて、そういった日々の積み重ねで作られている身体なんだなと感じました」 レースについても、スタートからの勢い、ハイペースで入っても余裕度があり、最後に上がる。そういったことを見聞きはしていたが、実際に経験すると大きく違う。「こういう世界があるんだ、深く知ることができました」と語る表情に充実感が漂う。 前回大会では、創価大を卒業したばかりの葛西潤(旭化成)が10kmに出場。この経験を経て、今年5月3日の日本選手権10000mを日本歴代4位の27分17秒46で制し、パリ五輪出場が見える位置にまで来た先輩の後を、石丸も追いかけていく。 着用したシューズは「ADIZERO TAKUMI SEN 10」。よりスピードを発揮できるシューズを駆使して、世界に挑戦した。その経験を、「世界で戦うには1000m2分40秒を切ることは絶対的に必要。それを目指していきたい」という自身の目標達成につなげていく。 [caption id="attachment_137164" align="alignnone" width="800"] ADIZERO ROAD TO RECORDSに出場した東京国際大のエティーリ[/caption] すでに世界水準の実力を持ちつつあるエティーリは、「ADIZERO TAKUMI SEN 10」を履いて「27分切り」と世界トップランナーたちに挑戦。だが、今回は壁に跳ね返された。 それでも、「もっと速く走れる。こういうレースを何度か経験すれば、勝負できると思います」と力強い。パリ五輪出場を目指し、世界一熾烈なケニアの選考会にチャレンジするつもりだ。 文/小川雅生

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.06.29

110mH五輪出場圏内の高山峻野 体調不良も準決勝2着で決勝へ/日本選手権

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目 第108回日本選手権の3日目が行われ、男子110mハードルでパリ五輪のターゲットナンバーに入っている高山峻野(ゼンリン)は予選を13 […]

NEWS 110mH村竹ラシッドが準決勝13秒14!決勝は「やるべきことやるだけ」優勝すればパリ内定/日本選手権

2024.06.29

110mH村竹ラシッドが準決勝13秒14!決勝は「やるべきことやるだけ」優勝すればパリ内定/日本選手権

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目 パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の3日目に男子110mハードルの準決勝が行われ、村竹ラシッド(JAL)が向かい風1.0mで13秒 […]

NEWS 100m栁田大輝は2着で通過 決勝で「盛り上がりを見せたい」/日本選手権

2024.06.29

100m栁田大輝は2着で通過 決勝で「盛り上がりを見せたい」/日本選手権

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目 パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の3日目に男子100m準決勝が行われ、ブダペスト世界選手権代表の栁田大輝(東洋大)は10秒20( […]

NEWS 高校女子は仙台育英ワン・ツー 区間賞3つのAチームが制しBチームが2位 前回Vの立命館宇治が3位/全国男鹿駅伝

2024.06.29

高校女子は仙台育英ワン・ツー 区間賞3つのAチームが制しBチームが2位 前回Vの立命館宇治が3位/全国男鹿駅伝

全国男鹿駅伝は6月28日、秋田県男鹿市の男鹿総合運動公園を発着点に行われ、5区間21.3kmで争った高校女子は仙台育英A(宮城)が1時間8分56秒で制した。 仙台育英Aは1区こそ3位スタートだったが、2区(2.6km)の […]

NEWS 男子100m小池祐貴は準決勝1組5着で決勝逃す 「やりたいことがうまくできていない」/日本選手権

2024.06.29

男子100m小池祐貴は準決勝1組5着で決勝逃す 「やりたいことがうまくできていない」/日本選手権

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)3日目 第108回日本選手権の3日目が行われ、男子100m準決勝1組で東京五輪代表の小池祐貴(住友電工)が10秒34(-0.2)で5着にとど […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年7月号 (6月14日発売)

2024年7月号 (6月14日発売)

パリ五輪への道、最終局面
インターハイ都府県大会ハイライト

page top