パリ五輪女子マラソン代表の前田穂南(天満屋)の記者会見が、岡山陸協主催で6月1日に岡山市内のホテルで行われた。
山口衛里監督、武冨豊専任コーチとともに壇上で集まったメディアの質問に応じた前田は、「これからアメリカで集中して練習をやっていくことになるので、しっかりと準備して走りたい、という思いがあります。すごく楽しみな気持ちです」と語った。
午前中の公開練習で、米国ニューメキシコ州アルバカーキでの本格的なマラソン練習を前にした現状を「徐々に継続して練習ができている状態なので、レースに向けてピークに持っていくにはいい流れになっていると思います」と語っていた前田。広島でのクロカンコースを使った合宿では、30km走を3本こなしており、「そのたびに記録も伸びていますし、記録の対しての対応力も脚もできています」と武冨監督が補足する。このあと、広島で再度の合宿を行ったあと、渡米する予定だ。
代表内定後に行った本番コースの視察では、「上り下りがすごいと聞いていたけど、実際にコースを見た時に予想以上に起伏が大きかった」と感じ、前田は「しっかりと継続して練習に取り組み、起伏を使ったコースを取り入れていきたい」と最終段階に入る準備のポイントを挙げた。
天満屋としては2大会連続6度目の女子マラソン五輪挑戦で、前田はチーム初の同種目連続出場となる。その最初の選手だったのが2000年シドニー大会7位入賞の山口監督で、「初めての五輪で、私自身としては国内レースと同じような感覚で取り組んでいたつもりですが、現地に入って雰囲気を味わうと緊張や不安がありました」と当時の心境を明かす。
ただ、「スタートしたらどんなレースになるかわからなかったので、自分自身を信じて積極的なレースをしました」とも。前田については前回の東京大会を経験していることで、「国内と海外で環境は違えど、(五輪という)大会の雰囲気はたぶん同じ」と心配はしていない。本番に向けては「日本新記録(2時間18分59秒)を出した今年1月の大阪の時のように、ワクワクした状態でスタートラインに立てればおもしろいかなと思っています」と期待を寄せる。
3月末付で監督を山口氏に譲り、専任コーチとして前田の指導に当たる武冨氏も、「経験」を強調する。
「1回目の時には私自身もすごく緊張したし、山口監督も近寄れないぐらいに緊張していました。でも、5回経験させていただいて、冷静に五輪を見られるようになりました。そういう意味では、1回目の大会よりは、前田自身がすごく楽しみにできるような心境になってくれていると思います。私としても1回目よりも2回目と考えていたので、楽しむ気持ちで、スタートラインに向かってくれれば」
3年前の東京五輪では、MGC圧勝で日本のエースという立ち位置で迎えたが、コロナ禍で大会が1年延期になった影響などから万全の状態で臨めず、33位という結果に。その後も、「(2023年3月の)名古屋でMGC出場権を獲得するまで、故障が多かったり、体調を崩したりがすごく多かった。気持ち的にもすごく苦しかっただろうし、走れない悔しさがあったでしょう」と山口監督。
だが、それを乗り越えたことで「もともと気持ちの強い選手ですが、それまで以上に競技に対するエネルギーが高くなったような気がします」。武冨コーチもそれに同意し、「余分なものを抱えるというkとをしなくなったのが一番。それによって心にゆとりが持てるようになりました」と前田の成長に目を細める。
アルバカーキ合宿では、「日本記録を出した大阪の前の練習を参考に、それを追うのではなく、パリに向けた起伏の強いコースに合わせた練習ができればと思っています」と武冨監督。これまでの経験を総動員しながらも、「今の前田の状況を常に考えながら」アップデートしていく構えだ。
前田がパリ五輪で目指すのは、「自分のパフォーマンスが最大限発揮できるように、いい状態になってスタートラインに立ちたい」ということ。世界のトップランナーたちとの真剣勝負を「すごく楽しみ」と心待ちにしている。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
-
2024.12.04
-
2024.12.03
-
2024.12.01
2024.11.10
全国高校駅伝の都道府県代表出そろう!男子前回Vの佐久長聖、2位・倉敷ら駒進める
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
2024.11.06
駅伝シーズンに向け、ナイキの「EKIDEN PACK」コレクションが登場!
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.04
やり投・北口榛花が日本陸連アスリート・オブ・ザ・イヤー!室伏広治に続き2人目の2年連続受賞
日本陸連は12月4日、日本陸連アスレティックス・アワード2024の受賞者を発表し、最優秀選手に当たる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に、女子やり投の北口榛花(JAL)が選ばれた。昨年に続いて2年連続は、2011、12年の […]
2024.12.04
田中希実がオムロンとパートナーシップ契約締結 23年からセルフケアで機器を愛用
オムロン ヘルスケア株式会社は、女子中長距離の田中希実(New Balance)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。 1500m、5000mの日本記録保持者で、東京五輪・パリ五輪代表の田中。23年頃に股関節の繊細 […]
2024.12.04
富士通にブダペスト世界陸上代表・山本亜美と東京世界陸上標準突破の井之上駿太が加入!400mHホープが名門へ
12月4日、富士通はホームページで、来年4月1日付で男子400mハードルの井之上駿太(法大)と女子400mハードルの山本亜美(立命大)の2人が入社することを発表した。 井之上は大阪府出身。中学時代は100mや200mに取 […]
2024.12.04
アトランタ五輪女子円盤投金メダルのヴィルダ氏が死去 55歳 パラアスリートとしても活躍
1996年アトランタ五輪女子円盤投の金メダリスト、イルケ・ヴィルダ氏(ドイツ)が12月1日に亡くなった。55歳だった。 ヴィルダ氏はライプツィヒに生まれ、ドイツ統一前は東ドイツ代表として競技していた。1988年に投げた7 […]
2024.12.04
五輪代表・飯塚翔太が東ティモールで子どもと交流 3年連続JICA活動「スポーツは共通言語」
リオ五輪男子4×100mリレー銀メダリストで、今夏のパリ五輪200m代表の飯塚翔大(ミズノ)が12月4日、訪問先の東ティモールからオンラインで現地の活動について報告会見を行った。 独立行政法人国際協力機構(JICA)が主 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会