2024.05.19
5月18日に世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドの第37回ラ・コルーニャ国際グランプリ(スペイン)が行われ、男子20km競歩の山西利和(愛知製鋼)が1時間17分47秒で5年ぶり2回目の優勝を飾った。
同大会はゴールドラベルの大会の中でも最もランクの高い「GL」大会に指定されており、昨年の世界選手権で20km、35kmの2冠に輝いたアルバロ・マルティン(スペイン)を筆頭に、メダリストのカイオ・ボンフィム(ブラジル)、 ダニエル・ピンタド(エクアドル)など世界のトップが集結。日本からもパリ五輪代表の池田向希(旭化成)をはじめ7人の選手がエントリーし、五輪前哨戦のような争いが展開された。
レースは5kmが19分44秒、10kmが39分33秒と静かな立ち上がりとなり、中間点を過ぎても日本人7人を含む27人の大集団を形成しながら進んだ。
最初に仕掛けたのが今夏の五輪でも優勝候補に上げられるマルティン。12km手前でペースを上げると、集団は13kmまでに半分ほどに絞られていく。この時点で日本人では山西と池田、萬壽春輝(自衛隊体育学校)が先頭に食らいついていた。
その後、ピンタドや張俊(中国)といった実力者が入れ替わり立ち替わり、先頭を引っ張りペースはさらにアップ。残り2kmでは池田と山西を含む6人の争いにとなった。
そしてラスト1.5kmで満を持して仕掛けたのが山西だった。後半には口を開ける表情を見せるなど苦しい場面もあったものの、得意のスパートを放つと、これに食らいついたのはマルティンだけ。残り500m地点までは山西とマルティンが抜きつ抜かれつの競り合いとなったものの、山西が最終折り返し後に突き抜けた。最後は両手を1回叩きながらフィニッシュしたあとに、コースに向かって一礼。マルティンから健闘を称えられると、ようやく笑顔を見せた。
山西は19年東京五輪銅メダリスト。19年ドーハ、22年オレゴンと世界選手権連覇と世界のトップとして君臨してきた。しかし、23年以降はケガや技術の修正に苦しみ、また海外勢が取り入れていた厚底シューズを試すなどしたが、適応が上手くいかず、本来の歩きを見失いつつあった。
昨年のブダペスト世界選手権では24位と惨敗。さらにパリ五輪選考会となった今年2月の日本選手権では歩型違反で失格の屈辱も味わい、パリも逃した。以前、「1回でも代表から漏れたら辞めるぐらいの気持ちでずっとやってきた」と語ってきた山西は、選考会後に「あの頃の自分に嘘をつきたくない気持ちはある」としつつ、「今ここで辞めるのもな、という気持ちも……」と今後についての去就にも言及していた。
しかし、春から再び歩き出した競歩界のレジェンドは、4月に競技会に復帰すると、5月5日のコルゼニフスキ・ワルシャワ競歩カップで1時間19分37秒の3位と徐々に自身の歩きを取り戻していた。そして今回の優勝での復活劇。日本の競歩界になくてはならない存在が戻ってきた。
パリ五輪は逃したが、来年には東京で世界選手権が行われる。再び世界の舞台で輝く日は遠くないだろう。
また、パリ五輪代表に内定している池田は1時間17分59秒の5位でフィニッシュ。同じく五輪代表の髙橋和生(ADワークスグループ)は1時間19分17秒で12位に入った。
このほか女子でただ一人日本から出場した柳井綾音(立命大)は自己記録を1分以上更新する1時間29分44秒の日本歴代7位の好タイムで15位に入っている。
【動画】白熱の接戦!前王者・山西利和と現王者・マルティンとの一騎打ちをチェック
第37回ラ・コルーニャ国際グランプリ 上位&日本人成績
男子 1位 山西利和(愛知製鋼) 1時間17分47秒 2位 A.マルティン(スペイン) 1時間17分49秒 3位 C.ボンフィム(ブラジル) 1時間17分52秒 5位 池田向希(旭化成) 1時間17分59秒 12位 髙橋和生(ADワークスグループ)1時間19分17秒 16位 野田明宏(自衛隊体育学校) 1時間19分26秒 21位 萬壽春輝(自衛隊体育学校) 1時間19分56秒 23位 村山裕太郎(富士通) 1時間20分16秒 40位 諏方元郁(愛知製鋼) 1時間21分49秒女子
1位 K.ガルシアレオン(ペルー) 1時間26分41秒 2位 A.ゴンザレス(メキシコ) 1時間26分57秒 3位 劉虹(中国) 1時間27分11秒 15位 柳井綾音(立命大) 1時間29分44秒
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