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2020.10.02

編集部コラム「たかが2cm、されど2cm」
編集部コラム「たかが2cm、されど2cm」

毎週金曜日更新!?

★月陸編集部★

攻め(?)のアンダーハンド

リレーコラム🔥

毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第62回「たかが2cm、されど2cm(松永貴允)

昨日より新潟で日本選手権が開催されています。Youtubeのライブ配信やテレビ放送などがあったため、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

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ちなみに私は東京でお留守番だったので、ライブ配信などの映像を観ながら、当コラムを書き進めています。
(ちゃんと仕事もしていますよ)

さて、せっかく大会期間中に週替わりの当番が回ってきたので、今大会のこれまでの結果を見て思ったことを綴っていきます。

陸上は「100分の1秒」、「1cm」という、ミクロの世界で競われる競技です。実際にこれまでの大会取材でも、そうした僅差で涙を流す選手たちを何度も見てきました。

今回の日本選手権ではたった「2cm」で大きな差がついてしまったケースが2つもありました。

1つは初日の女子やり投。5投目まで59m30でトップに立っていた北口榛花選手(JAL)を、佐藤友佳選手(ニコニコのり)が最終投てきで「2cm」逆転。2日目の女子ハンマー投も8位の選手と9位の選手との差がわずか「2cm」でした。

60m近くも投げて「2cm」しか違わないのですから、もはや〝誤差〟のようなものですよね。それで優勝や入賞が決まるのですから、非常にシビアな世界で争われていることがわかります
※ちなみに「2cm」がどれほどの長さなのか測ってみたところ、手の親指の横幅と同じくらいでした。

さらに、男子110mハードルの準決勝でも「同タイム着差あり」という判定があり、ともに13秒61だった3着の石田トーマス東選手(勝浦ゴルフ倶楽部)と4着の村竹ラシッド選手(順大)との間で、決勝進出の明暗が分かれてしまいました。陸上では1000分の1の位を切り上げるのですが、正式結果は「13秒605」と「13秒609」。距離にして約4cmの攻防でした。

こうした僅差で敗れた選手のことを思うと無念でたまりません。。。

昨年の日本選手権男子110mハードルは同タイム着差ありでの日本タイ決着という名勝負でした

実は私も陸上(長距離)をやっていた高校時代に、一度僅差のレースを経験したことがありました。

4着まで着順で決勝に進めるレース(1500m)で、余裕を持って3着フィニッシュ。しかし、後ろから猛追されていることに気づかず、4着との差はわずか0.01秒、5着との差も0.20秒(距離にして1mほど?)と、ヒヤヒヤの予選通過でした。この時、顧問の先生から「最後まで気を緩めるな!」とお叱りを受けたことは今でも忘れられません。

私のような低次元の選手でもこうした経験があるので、トップ選手はより「0.01秒」「1cm」の意識を持って戦わなくてはいけません。あらためてアスリートへのリスペクトの念を強く抱きました。

日本選手権も残り1日。ここまで中学最高や高校新が誕生して大盛り上がりですが、やはり日本新記録の誕生を期待せずにはいられません。

選手、メディア、陸上ファン。みんなで大会を、そして陸上界を盛り上げていきましょう!

松永貴允(まつなが・たかよし)
月刊陸上競技編集部 最年少編集部員(唯一の平成生まれ)
1991年生まれ。171cm、70kg、東京都三鷹市出身。小学生時代はプロを夢見る野球少年だったが、6年生の時に世界陸上パリ大会をテレビで観て陸上競技に興味を持ち、中学・高校と陸上部(長距離)に所属する。5000mの自己ベストは15分43秒67(2009年9月の日体大長距離競技会)。大学ではラクロス部の主将を務め、その後、紆余曲折を経て2015年からライターとして活動。2018年9月より月陸編集部員に転身した。飯塚翔太選手や大迫傑選手らと同い年の〝プラチナ世代〟でもある。

 
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

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第62回「たかが2cm、されど2cm(松永貴允)

昨日より新潟で日本選手権が開催されています。Youtubeのライブ配信やテレビ放送などがあったため、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。 ちなみに私は東京でお留守番だったので、ライブ配信などの映像を観ながら、当コラムを書き進めています。 (ちゃんと仕事もしていますよ) さて、せっかく大会期間中に週替わりの当番が回ってきたので、今大会のこれまでの結果を見て思ったことを綴っていきます。 陸上は「100分の1秒」、「1cm」という、ミクロの世界で競われる競技です。実際にこれまでの大会取材でも、そうした僅差で涙を流す選手たちを何度も見てきました。 今回の日本選手権ではたった「2cm」で大きな差がついてしまったケースが2つもありました。 1つは初日の女子やり投。5投目まで59m30でトップに立っていた北口榛花選手(JAL)を、佐藤友佳選手(ニコニコのり)が最終投てきで「2cm」逆転。2日目の女子ハンマー投も8位の選手と9位の選手との差がわずか「2cm」でした。 60m近くも投げて「2cm」しか違わないのですから、もはや〝誤差〟のようなものですよね。それで優勝や入賞が決まるのですから、非常にシビアな世界で争われていることがわかります ※ちなみに「2cm」がどれほどの長さなのか測ってみたところ、手の親指の横幅と同じくらいでした。 さらに、男子110mハードルの準決勝でも「同タイム着差あり」という判定があり、ともに13秒61だった3着の石田トーマス東選手(勝浦ゴルフ倶楽部)と4着の村竹ラシッド選手(順大)との間で、決勝進出の明暗が分かれてしまいました。陸上では1000分の1の位を切り上げるのですが、正式結果は「13秒605」と「13秒609」。距離にして約4cmの攻防でした。 こうした僅差で敗れた選手のことを思うと無念でたまりません。。。 昨年の日本選手権男子110mハードルは同タイム着差ありでの日本タイ決着という名勝負でした 実は私も陸上(長距離)をやっていた高校時代に、一度僅差のレースを経験したことがありました。 4着まで着順で決勝に進めるレース(1500m)で、余裕を持って3着フィニッシュ。しかし、後ろから猛追されていることに気づかず、4着との差はわずか0.01秒、5着との差も0.20秒(距離にして1mほど?)と、ヒヤヒヤの予選通過でした。この時、顧問の先生から「最後まで気を緩めるな!」とお叱りを受けたことは今でも忘れられません。 私のような低次元の選手でもこうした経験があるので、トップ選手はより「0.01秒」「1cm」の意識を持って戦わなくてはいけません。あらためてアスリートへのリスペクトの念を強く抱きました。 日本選手権も残り1日。ここまで中学最高や高校新が誕生して大盛り上がりですが、やはり日本新記録の誕生を期待せずにはいられません。 選手、メディア、陸上ファン。みんなで大会を、そして陸上界を盛り上げていきましょう!
松永貴允(まつなが・たかよし) 月刊陸上競技編集部 最年少編集部員(唯一の平成生まれ) 1991年生まれ。171cm、70kg、東京都三鷹市出身。小学生時代はプロを夢見る野球少年だったが、6年生の時に世界陸上パリ大会をテレビで観て陸上競技に興味を持ち、中学・高校と陸上部(長距離)に所属する。5000mの自己ベストは15分43秒67(2009年9月の日体大長距離競技会)。大学ではラクロス部の主将を務め、その後、紆余曲折を経て2015年からライターとして活動。2018年9月より月陸編集部員に転身した。飯塚翔太選手や大迫傑選手らと同い年の〝プラチナ世代〟でもある。
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