HOME 国内

2024.03.04

西山雄介 パリ五輪に41秒届かず「本当に悔しい」日本歴代9位の日本人トップも涙でフィニッシュ/東京マラソン
西山雄介 パリ五輪に41秒届かず「本当に悔しい」日本歴代9位の日本人トップも涙でフィニッシュ/東京マラソン

東京マラソン2024で日本人トップだった西山雄介

◇東京マラソン2024(3月3日/東京・東京都庁~東京駅前)

アボット・ワールドマラソンメジャーズの一つ、東京マラソン2024が3月3日に行われ、B.キプルト(ケニア)が世界歴代5位の2時間2分16秒で優勝した。この記録はコースレコードで、国内最高記録となる。

国内組にとっては、パリ五輪代表選考会マラソングランドチャピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジの最終戦。オレゴン世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)が最後の1枠を目指して、激走した。日本人トップ(9位)に輝くも、タイムは2時間6分31秒。MGCファイナルチャレンジ設定記録の2時間5分50秒に41秒届かず、フィニッシュ後は涙が止まらなかった。

昨年9月のMGCは46位に沈んだが、今大会に向けては、「本当に練習もできましたし、自分のコンディションも良かった。2時間5分50秒を切る自信はありました」とパリ五輪代表をつかむ気持ちで一杯だった。

日本人有力選手たちの集団は10kmを29分45秒で通過。予定より少し遅い入りになった。西山は19km過ぎで木村慎(Honda)らと転倒するも、「ここで気持ちを切らしてしまったら、今までやってきたことが無駄になる」と冷静に対応。ほどなく集団に復帰した。

その後はリズムを立て直して、転倒の影響を感じさせない走りを見せる。中間点は1時間2分55秒、30kmは1時間29分15秒で通過した。

広告の下にコンテンツが続きます

ペースメーカーが離脱した後は、浦野雄平(富士通)が日本人トップに浮上するも、西山が33.3㎞過ぎの銀座交差点付近で逆転。34.5㎞では失速してきた五輪を連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)も抜き去った。

「30kmで一度きつくなったんですけど、自分のベースで落ち着いて走りました。そこから少しずつ動いてきて、浦野選手を抜いた後が大事だなと思っていたんです。そこからどれだけ押せるかが勝負でした」

西山は30kmからの5kmを15分03秒でカバー。このままのペースを維持できれば設定記録の突破は十分に可能だった。例年、向かい風になることの多い終盤4kmほども風はない。しかし、西山に余力はなかった。35kmからの5kmは15分31秒にペースダウン。最終的にはパリ行きのチケットに41秒届かなかった。

「オリンピックに行きたかった、その一言です」と涙がこぼれた。

「今までで一番いい状態でスタートラインに立ちましたし、オリンピックを決める、その一心で最後まで走りました。でも35kmから大きく崩れてしまった。結果的には全然ダメだったので非常に悔しいですし、弱さを感じましたね。今回が最後のオリンピック挑戦だと思っていたので、今後のことはわかりません。これからどうするのか考えたいです」

2022年2月の別府大分毎日で2時間7分47秒の大会新Vを飾ると、同年7月のオレゴン世界選手権は世界大会で日本人最高タイムとなる2時間8分35秒で13位。そして今回の東京で日本歴代9位の2時間6分31秒を叩き出した。まだマラソンは4レース目。29歳の西山はまだまだ強くなれる──。

文/酒井政人

◇東京マラソン2024(3月3日/東京・東京都庁~東京駅前) アボット・ワールドマラソンメジャーズの一つ、東京マラソン2024が3月3日に行われ、B.キプルト(ケニア)が世界歴代5位の2時間2分16秒で優勝した。この記録はコースレコードで、国内最高記録となる。 国内組にとっては、パリ五輪代表選考会マラソングランドチャピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジの最終戦。オレゴン世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)が最後の1枠を目指して、激走した。日本人トップ(9位)に輝くも、タイムは2時間6分31秒。MGCファイナルチャレンジ設定記録の2時間5分50秒に41秒届かず、フィニッシュ後は涙が止まらなかった。 昨年9月のMGCは46位に沈んだが、今大会に向けては、「本当に練習もできましたし、自分のコンディションも良かった。2時間5分50秒を切る自信はありました」とパリ五輪代表をつかむ気持ちで一杯だった。 日本人有力選手たちの集団は10kmを29分45秒で通過。予定より少し遅い入りになった。西山は19km過ぎで木村慎(Honda)らと転倒するも、「ここで気持ちを切らしてしまったら、今までやってきたことが無駄になる」と冷静に対応。ほどなく集団に復帰した。 その後はリズムを立て直して、転倒の影響を感じさせない走りを見せる。中間点は1時間2分55秒、30kmは1時間29分15秒で通過した。 ペースメーカーが離脱した後は、浦野雄平(富士通)が日本人トップに浮上するも、西山が33.3㎞過ぎの銀座交差点付近で逆転。34.5㎞では失速してきた五輪を連覇中のエリウド・キプチョゲ(ケニア)も抜き去った。 「30kmで一度きつくなったんですけど、自分のベースで落ち着いて走りました。そこから少しずつ動いてきて、浦野選手を抜いた後が大事だなと思っていたんです。そこからどれだけ押せるかが勝負でした」 西山は30kmからの5kmを15分03秒でカバー。このままのペースを維持できれば設定記録の突破は十分に可能だった。例年、向かい風になることの多い終盤4kmほども風はない。しかし、西山に余力はなかった。35kmからの5kmは15分31秒にペースダウン。最終的にはパリ行きのチケットに41秒届かなかった。 「オリンピックに行きたかった、その一言です」と涙がこぼれた。 「今までで一番いい状態でスタートラインに立ちましたし、オリンピックを決める、その一心で最後まで走りました。でも35kmから大きく崩れてしまった。結果的には全然ダメだったので非常に悔しいですし、弱さを感じましたね。今回が最後のオリンピック挑戦だと思っていたので、今後のことはわかりません。これからどうするのか考えたいです」 2022年2月の別府大分毎日で2時間7分47秒の大会新Vを飾ると、同年7月のオレゴン世界選手権は世界大会で日本人最高タイムとなる2時間8分35秒で13位。そして今回の東京で日本歴代9位の2時間6分31秒を叩き出した。まだマラソンは4レース目。29歳の西山はまだまだ強くなれる──。 文/酒井政人

男子マラソン日本歴代10傑をチェック!

2.04.56 鈴木健吾(富士通)   2021. 2.28 2.05.29 大迫傑(Nike)    2020. 3. 1 2.05.51 山下一貴(三菱重工)  2023. 3. 5 2.05.59 其田健也(JR東日本)  2023. 3. 5 2.06.11 設楽悠太(Honda)   2018. 2.25 2.06.16 高岡寿成(カネボウ)  2002.10.13 2.06.18 平林清澄(國學院大3)  2024. 2.25 2.06.26 土方英和(Honda)   2021. 2.28 2.06.31 西山雄介(トヨタ自動車) 2024. 3. 3 2.06.33 小山直城(Honda)   2024. 2.25

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.29

青学大・若林宏樹の学生ラストランは2位!TBS感謝祭マラソン激走「箱根よりきつかった」

青学大の若林宏樹がTBSの「オールスター感謝祭2025春」に出演した。若林は番組恒例の赤坂ミニマラソンに出場して2位だった。 約5km、心臓破りの坂がランナーたちを苦しめる番組の人気企画。今年の箱根駅伝で5区区間新を出し […]

NEWS 女子やり投で16歳・嚴子怡が64m83 自身のU20世界記録を42cm塗り替え3度目の更新

2025.03.29

女子やり投で16歳・嚴子怡が64m83 自身のU20世界記録を42cm塗り替え3度目の更新

3月28日に中国・成都で行われた投てきの招待競技会女子やり投で、16歳の嚴子怡が自身の持つU20世界記録を42cm更新する64m83を放った。 嚴は2008年5月生まれ。2023年に国際学校スポーツ連盟が主催するU15世 […]

NEWS 鈴木琉胤5000mで高校歴代2位13分25秒59 “世界”のレースを体感して日本人トップ 4月から早大へ/WAコンチネンタルツアー

2025.03.29

鈴木琉胤5000mで高校歴代2位13分25秒59 “世界”のレースを体感して日本人トップ 4月から早大へ/WAコンチネンタルツアー

2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 男子5000mには4月から早大に進学する鈴木琉胤(八千代松陰高3千葉)が出場。高校歴 […]

NEWS 走高跳で男女上位 真野友博1位、髙橋渚1m86で2位 100mH田中佑美Vで3位まで日本勢/WAコンチネンタルツアー

2025.03.29

走高跳で男女上位 真野友博1位、髙橋渚1m86で2位 100mH田中佑美Vで3位まで日本勢/WAコンチネンタルツアー

2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 日本からは22名が出場し、2種目で優勝。走高跳では男子が昨年のパリ五輪代表で22年世 […]

NEWS 編集部コラム「いつのまにか700号超え」

2025.03.29

編集部コラム「いつのまにか700号超え」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top