HOME 駅伝、箱根駅伝

2024.01.04

28年ぶり総合V目指した中大は13位 7区・吉居駿恭が区間賞もコンディション不良に泣く/箱根駅伝
28年ぶり総合V目指した中大は13位 7区・吉居駿恭が区間賞もコンディション不良に泣く/箱根駅伝

アクシデントに見舞われた中大は6区・浦田優斗、7区吉居駿恭の快走も実らず13位でレースを終えた

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km)

前回2位に入った名門・中大だが、第100回大会は“悪夢”が待っていた。12月21~23日の千葉・富津合宿までは順調だったという。しかし、12月24日にひとりの選手が発熱したのをきっかけに体調不良者が続出。27日には一気に5人が発熱するなど、湯浅仁(4年)と吉居駿恭(2年)以外のメンバー14人が体調不良に陥り、「棄権」を本気で考えたという。

総合優勝を目指してきたチームは方向転換を余儀なくされる。「往路で後手にまわっても6、7、8区で盛り返したいという思いでオーダーを組みました」と藤原正和駅伝監督。シード権狙いの戦いに切り替えたが、13位に終わった往路に続いて、復路もちぐはぐなレースになった。

狙い通り6区の浦田優斗(3年)が区間5位と好走してシード圏内の総合10位に浮上する。続く7区の吉居駿恭(2年)も奮起し、持ち味のスピードを生かして、区間歴代3位の1時間02分27秒で走破。総合順位は変わらなかったが、時差スタート組の國學院大、創価大、東洋大までもかわし、見た目では4番目で戸塚中継所に飛び込んだ。

学生駅伝では初の区間賞となった吉居駿は、「前半少し速く入った分、動きが崩れてしまったんですけど、なんとか区間賞を獲得できました。結果的には良かったかなと思います」と自身の走りに及第点をつける。

だが、8区に入った阿部陽樹(3年)は元日に発熱した影響が大きく響き、区間22位と大苦戦。12位に下がると、9区でもさらに順位を1つ落とした。

広告の下にコンテンツが続きます

「阿部は体調が良くなかったので、無理はさせずに、自分のペースで行きなさいということは事前に伝えていました。本当に10人ギリギリでしたので、まずはタスキをつなぐこと。それしかやりようがありませんでした」

藤原監督は直前のアクシデントを嘆く。

前回は2区・吉居大和、3区・中野翔太という現4年生2人が連続区間賞。今回も4区湯浅が区間3位と奮闘した。4年生世代を軸に28年ぶりの総合優勝を狙える戦力がありながら、そのチャンスを生かすことができなかった。

「4年生はチームを立て直して、期待に応えてくれた世代でした。それだけにこういうかたちで終わらせてしまったのは指導者として非常に情けないです」と悔しさを隠しきれなかった藤原監督。チームは再び予選会からの再出発を余儀なくされる。

一方で、体調に問題のなかった吉居駿恭が区間賞を獲得。湯浅も好走しており、藤原監督も「やろうとしてきた強化のかたちは間違っていなかったんじゃないのかなと感じています」と、箱根までの取り組みが結果につながっていたことを強調する。

吉居大和らが届かなかった箱根駅伝の総合優勝と五輪・世界選手権の出場へ。今度は吉居駿恭らの世代に“名門復活”のタスキ託された。

文/酒井政人

◇第100回箱根駅伝(東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 前回2位に入った名門・中大だが、第100回大会は“悪夢”が待っていた。12月21~23日の千葉・富津合宿までは順調だったという。しかし、12月24日にひとりの選手が発熱したのをきっかけに体調不良者が続出。27日には一気に5人が発熱するなど、湯浅仁(4年)と吉居駿恭(2年)以外のメンバー14人が体調不良に陥り、「棄権」を本気で考えたという。 総合優勝を目指してきたチームは方向転換を余儀なくされる。「往路で後手にまわっても6、7、8区で盛り返したいという思いでオーダーを組みました」と藤原正和駅伝監督。シード権狙いの戦いに切り替えたが、13位に終わった往路に続いて、復路もちぐはぐなレースになった。 狙い通り6区の浦田優斗(3年)が区間5位と好走してシード圏内の総合10位に浮上する。続く7区の吉居駿恭(2年)も奮起し、持ち味のスピードを生かして、区間歴代3位の1時間02分27秒で走破。総合順位は変わらなかったが、時差スタート組の國學院大、創価大、東洋大までもかわし、見た目では4番目で戸塚中継所に飛び込んだ。 学生駅伝では初の区間賞となった吉居駿は、「前半少し速く入った分、動きが崩れてしまったんですけど、なんとか区間賞を獲得できました。結果的には良かったかなと思います」と自身の走りに及第点をつける。 だが、8区に入った阿部陽樹(3年)は元日に発熱した影響が大きく響き、区間22位と大苦戦。12位に下がると、9区でもさらに順位を1つ落とした。 「阿部は体調が良くなかったので、無理はさせずに、自分のペースで行きなさいということは事前に伝えていました。本当に10人ギリギリでしたので、まずはタスキをつなぐこと。それしかやりようがありませんでした」 藤原監督は直前のアクシデントを嘆く。 前回は2区・吉居大和、3区・中野翔太という現4年生2人が連続区間賞。今回も4区湯浅が区間3位と奮闘した。4年生世代を軸に28年ぶりの総合優勝を狙える戦力がありながら、そのチャンスを生かすことができなかった。 「4年生はチームを立て直して、期待に応えてくれた世代でした。それだけにこういうかたちで終わらせてしまったのは指導者として非常に情けないです」と悔しさを隠しきれなかった藤原監督。チームは再び予選会からの再出発を余儀なくされる。 一方で、体調に問題のなかった吉居駿恭が区間賞を獲得。湯浅も好走しており、藤原監督も「やろうとしてきた強化のかたちは間違っていなかったんじゃないのかなと感じています」と、箱根までの取り組みが結果につながっていたことを強調する。 吉居大和らが届かなかった箱根駅伝の総合優勝と五輪・世界選手権の出場へ。今度は吉居駿恭らの世代に“名門復活”のタスキ託された。 文/酒井政人

第100回箱根駅伝13位の中大メンバー

1区 溜池一太(2年) 区間19位 2区 吉居大和(4年) 区間15位 3区 中野翔太(4年) 区間20位 4区 湯浅仁(4年)  区間3位 5区 山﨑草太(1年) 区間14位 6区 浦田優斗(3年) 区間5位 7区 吉居駿恭(2年) 区間1位 8区 阿部陽樹(3年) 区間22位 9区 白川陽大(2年) 区間16位 10区 柴田大地(1年) 区間9位 ◎補員 園木大斗(4年) 山平怜生(3年) 伊東夢翔(2年) 吉中祐太(2年) 佐藤蓮(1年) 本間颯(1年)

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.31

SUBARUの真船恭輔が現役引退「本当に楽しい陸上人生」小山司、小林光二コーチも社業に専念

SUBARUは3月31日付で引退選手と退部者を発表した。 真船恭輔、小山司の2名が現役を引退する。真船は1997年生まれの27歳。学法石川高(福島)時代には2年連続で全国高校駅伝に出場。相澤晃(旭化成)、阿部弘輝(住友電 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】―91年東京―国立競技場がルイスに熱狂!マラソン谷口が殊勲の金メダル

2025.03.31

【世界陸上プレイバック】―91年東京―国立競技場がルイスに熱狂!マラソン谷口が殊勲の金メダル

今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]

NEWS 京セラの白井明衣が引退 22年にはプリンセス駅伝に出走

2025.03.31

京セラの白井明衣が引退 22年にはプリンセス駅伝に出走

京セラの白井明衣が、3月23日に行われた鹿児島県実業団陸上競技記録会の女子3000mに出場。このレースをもって競技生活を引退することが公式Instagramで伝えられた。 白井は山口・中村女高を卒業後、2020年より京セ […]

NEWS NDソフト ニューイヤー駅伝出場の大倉秀太とケニアと2拠点活動の鈴木太基が退部

2025.03.31

NDソフト ニューイヤー駅伝出場の大倉秀太とケニアと2拠点活動の鈴木太基が退部

NDソフトは2024年度で大倉秀太、鈴木太基の2選手が退部すると発表した。 鈴木は愛知・豊川工高を経て大東大に進学。4年時には全日本大学駅伝で7区4位、箱根駅伝7区9位と3大駅伝に出走している。卒業後はラフィネで活動し、 […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第55回「努力でコンパスを大きくする~マラソン強化のDNAを引き継ぐ~」

2025.03.31

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第55回「努力でコンパスを大きくする~マラソン強化のDNAを引き継ぐ~」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第55回「努力でコンパスを大きくする~マラソン強化のDNAを引き継ぐ~」 彼はゴール後のインタ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top