HOME 学生長距離

2023.12.10

【Playback箱根駅伝】第22回/“戦勝祈願”の靖国-箱根往復 戦時下で3年ぶり開催 青学大が初出場
【Playback箱根駅伝】第22回/“戦勝祈願”の靖国-箱根往復 戦時下で3年ぶり開催 青学大が初出場

第22回箱根駅伝・往路は慶大が優勝。5区の岡博治が箱根神社にフィニッシュした

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第22回(1943年/昭和18年)
日大が区間賞なしで栄冠 アンカー・永野が法大、慶大かわして逆転V

1941年12月8日に太平洋戦争が勃発。国中が戦時色を強める中、あらゆる娯楽、スポーツなどが制限されていた。多くの学生が戦地に赴き、箱根駅伝も1941年、1942年と開催できず、代わりに「東京青梅間往復大学専門学校鍛錬継走大会」という大会名で代替レースを行っていた。

しかしながら、駅伝を走りたいという学生たちは軍や文部省などに掛け合い、3年ぶりに「紀元二千六百年靖国神社-箱根神社間往復関東学徒鍛錬継走大会」と銘打って開催されることになった。

大会はあくまで「戦勝祈願」を目的に実施することを条件に許可が下りたとされている。名目上は大日本学徒体育振興会の主催で行われたが、実際の大会運営に当たったのはあくまで関東学連。優勝盾には関東学連のマークが刻まれた。

初出場の青学大を含む11校が参加。靖国神社の大鳥居前をスタートしたレースは1区で立大の伊藤彦一が区間賞を獲得して、2区まで先頭を走った。

3年前の優勝校である日大は3区で先頭に立つも4区で区間9位とブレーキして6位に後退する。変わりに慶大が4区で首位を奪うと、5区の岡博治も区間3位と力走して往路優勝。2位の日大に5分45秒差をつけた。

広告の下にコンテンツが続きます

復路は目まぐるしく先頭が変わる。6区では慶大が区間8位とブレーキして3位に後退。3位スタートの法大が6分2秒差を逆転して首位に立った。

それでも慶大は7区で落合静雄が区間賞の走りで再びトップへ。9区では法大が慶大をとらえ、4秒差で最終区に勝負はもつれ込んだ。

法大と慶大はデッドヒートを繰り広げる中、割って入ったのが日大。法大と2分10秒差でスタートした10区の永野常平は八ッ山橋手前で法大と慶大をとらえる。そのまま2校を引き離して靖国神社へ真っ先にゴール。2大会連続で総合優勝を果たした。

復路優勝は総合8位の専大。4区終了時で2位だったが、5区で2時間42分14秒を要して9位に下がったのが誤算だった。

参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの)

第22回(1943年/昭和18年) 日大が区間賞なしで栄冠 アンカー・永野が法大、慶大かわして逆転V

1941年12月8日に太平洋戦争が勃発。国中が戦時色を強める中、あらゆる娯楽、スポーツなどが制限されていた。多くの学生が戦地に赴き、箱根駅伝も1941年、1942年と開催できず、代わりに「東京青梅間往復大学専門学校鍛錬継走大会」という大会名で代替レースを行っていた。 しかしながら、駅伝を走りたいという学生たちは軍や文部省などに掛け合い、3年ぶりに「紀元二千六百年靖国神社-箱根神社間往復関東学徒鍛錬継走大会」と銘打って開催されることになった。 大会はあくまで「戦勝祈願」を目的に実施することを条件に許可が下りたとされている。名目上は大日本学徒体育振興会の主催で行われたが、実際の大会運営に当たったのはあくまで関東学連。優勝盾には関東学連のマークが刻まれた。 初出場の青学大を含む11校が参加。靖国神社の大鳥居前をスタートしたレースは1区で立大の伊藤彦一が区間賞を獲得して、2区まで先頭を走った。 3年前の優勝校である日大は3区で先頭に立つも4区で区間9位とブレーキして6位に後退する。変わりに慶大が4区で首位を奪うと、5区の岡博治も区間3位と力走して往路優勝。2位の日大に5分45秒差をつけた。 復路は目まぐるしく先頭が変わる。6区では慶大が区間8位とブレーキして3位に後退。3位スタートの法大が6分2秒差を逆転して首位に立った。 それでも慶大は7区で落合静雄が区間賞の走りで再びトップへ。9区では法大が慶大をとらえ、4秒差で最終区に勝負はもつれ込んだ。 法大と慶大はデッドヒートを繰り広げる中、割って入ったのが日大。法大と2分10秒差でスタートした10区の永野常平は八ッ山橋手前で法大と慶大をとらえる。そのまま2校を引き離して靖国神社へ真っ先にゴール。2大会連続で総合優勝を果たした。 復路優勝は総合8位の専大。4区終了時で2位だったが、5区で2時間42分14秒を要して9位に下がったのが誤算だった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)

第22回箱根駅伝総合成績をチェック

●総合成績 1位 日大  13時間45分05秒 2位 慶大  13時間47分51秒 3位 法大  13時間50分55秒 4位 中大  13時間54分46秒 5位 東京文理科大 14時間15分11秒 6位 立教大 14時間35分12秒 7位 早大  14時間37分24秒 8位 専大  14時間45分05秒 9位 東農大 15時間45分49秒 10位 拓大  16時間16分57秒 11位 青学大 16時間41分59秒 ●区間賞 1区 伊藤彦一(立大)1時間25分04秒 2区 徳山英雄(専大)1時間14分03秒 3区 狩野英常(慶大)1時間16分59秒 4区 福士英雄(専大)1時間16分39秒 5区 末永包徳(中大)1時間28分50秒 6区 佐藤忠司(専大)1時間14分23秒 7区 落合静雄(慶大)1時間18分18秒 8区 金嶋達洙(専大)1時間19分28秒 9区 増田博(中大)1時間16分29秒 10区 平井文夫(中大)1時間25分21秒

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.26

豊田兼が300mHで34秒22の日本新! 初挑戦のDLで大健闘 サニブラウンは10位/DL厦門

4月26日、ダイヤモンドリーグ(DL)の25年開幕戦となる厦門大会(中国)が行われ、男子300mハードルで豊田兼(トヨタ自動車)が34秒22の日本新記録で3位に入った。 世界のトップだけが出場できるDLに初挑戦となった豊 […]

NEWS 男子3000m障害・三浦龍司も東京世界陸上代表内定!! サードベスト8分10秒11で標準突破/DL厦門

2025.04.26

男子3000m障害・三浦龍司も東京世界陸上代表内定!! サードベスト8分10秒11で標準突破/DL厦門

4月26日、ダイヤモンドリーグ(DL)の25年開幕戦となる厦門大会(中国)が行われ、男子3000m障害で三浦龍司(SUBARU)が8分10秒11で6位に入った。この結果、三浦は日本陸連が定めた東京世界選手権の代表内定基準 […]

NEWS 男子110mH村竹ラシッドが13秒14で2位! 標準突破で東京世界陸上代表内定!/DL厦門

2025.04.26

男子110mH村竹ラシッドが13秒14で2位! 標準突破で東京世界陸上代表内定!/DL厦門

4月26日、ダイヤモンドリーグ(DL)の25年開幕戦となる厦門大会(中国)が行われ、男子110mハードルで村竹ラシッド(JAL)が13秒14(+0.3)で2位に入賞。昨年のパリ五輪で5位に入賞している村竹は、今年9月の東 […]

NEWS 男子5kmは創価大・織橋巧が13分45秒で日本人トップ 浦野雄平、黒田朝日が13分台フィニッシュ/ADIZERO ROAD TO RECORDS

2025.04.26

男子5kmは創価大・織橋巧が13分45秒で日本人トップ 浦野雄平、黒田朝日が13分台フィニッシュ/ADIZERO ROAD TO RECORDS

4月26日、アディダスの独自ロードレース「ADIZERO: ROAD TO RECORDS 2025」がアディダス本社のあるドイツ・ヘルツォーゲンアウラハで行われ、男子5kmは織橋巧(創価大)が13分45秒で日本人最上位 […]

NEWS 女子走高跳・伊藤楓が1m81の大会タイ記録V 3年ぶり自己ベスト「もっと行ける」/日本学生個人

2025.04.26

女子走高跳・伊藤楓が1m81の大会タイ記録V 3年ぶり自己ベスト「もっと行ける」/日本学生個人

◇日本学生個人選手権(4月25日~27日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)2日目 ワールドユニバーシティゲームズ代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権が行われ、女子走高跳は伊藤楓(日体大)が1m81の大会タイ記録で優勝し […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top