HOME 国内

2023.10.01

走高跳・戸邉直人がアキレス腱断裂から1年5ヵ月ぶり復帰戦!2m15で5位も「たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱい」/新潟ACC
走高跳・戸邉直人がアキレス腱断裂から1年5ヵ月ぶり復帰戦!2m15で5位も「たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱい」/新潟ACC

アキレス腱断裂から復帰した男子走高跳の戸邉直人

◇アスレチックスチャレンジカップ(9月30日~10月1日/新潟市・デンカビッグスワンススタジアム)

日本グランプリシリーズ新潟大会のアスレチックスチャレンジカップ(新潟ACC)の2日目が行われ、男子走高跳の戸邉直人(JAL)は2m15で5位ながら約1年5ヵ月ぶりの競技会復帰を果たした。

「とりあえず、ここに戻ってきて安心。記録や順位はまだまだだけど、ケガなく終えられて大満足です。ドクター、トレーナー、家族、たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいです」。戸邉はそう笑顔で振り返った。

跳び始めの高さが2m10。「とにかく記録を残そうと思ってやってきた」と言う戸邉は「試合に戻ってきて感慨深い思いがあるのかなと思ったけど、ただただ緊張していました」。それでも2回目にバーを越え、22年5月8日のセイコーゴールデングランプリ(2m24/4位)以来の公式記録を残した。続く2m15も2回目でクリア。2m20は3回ともクリアできなかったが、戸邉にとって大きな一歩となった。

昨年6月9日の日本選手権のウォーミングアップで、踏み切り脚の左足アキレス腱を断裂。2021年の東京五輪では日本勢49年ぶりの決勝進出を果たしたが(決勝は13位)、その予選でアキレス腱に痛みが出て、翌年に断裂という結果になってしまった。

それでも、「現役に復帰するつもりでした」。車椅子で病院に行く時に、集まってくれたチームメイトに「復帰するよ」と伝えたという。

広告の下にコンテンツが続きます

とはいえ、その後の道のりは簡単なものではない。「手術が終わって装具をつけている時は思うように歩けず、一番きつかった」。だが、2ヵ月後に歩行を始め、さらに2ヵ月後にジョギングを開始。そこからはスプリントなど本格的なトレーニングができるようになり、今年2月から跳躍練習を再開した。そこまでの期間、「あきらめずにやってこられました」と戸邉は振り返る。

「来年のオリンピックの舞台には立ちたい」と、きっぱりと語る。パリ五輪の参加標準記録は2m33。世界選手権では22年オレゴン大会で真野友博(九電工)、今年のブダペスト大会で赤松諒一(アワーズ)がいずれも8位と、自身がまだ成し遂げていない世界大会入賞を果たしており、代表争いを勝ち抜くのは簡単なことではないだろう。

それでも、2019年に出した自身の日本記録は2m35。「期間は限られていますが」と言いつつ、自身のパフォーマンスを信じて、あきらめずに突き進むつもりだ。

1991年3月生まれの32歳。世界を見ると、同年代の選手たちが活躍している。東京五輪で同時優勝を果たしたムタズ・エッサ・バルシム(カタール)は同学年で、ジャンマルコ・タンベリ(イタリア)は同じ92年生まれ。ダイヤモンドリーグなど彼らと同じ土俵で戦ってきた経験は、まだ自身の中で生きている。

日本陸連アスリート委員会委員長を務め、25年東京世界選手権の大会組織委員会の理事を務めるなど、競技外での活動も積極的にこなす。大会前には中国・杭州で開催中のアジア大会を視察し、2日後には再び中国に渡るという。地元世界選手権に向けて、「さまざまな知見からより良い大会を目指していきたい」と語った。

◇アスレチックスチャレンジカップ(9月30日~10月1日/新潟市・デンカビッグスワンススタジアム) 日本グランプリシリーズ新潟大会のアスレチックスチャレンジカップ(新潟ACC)の2日目が行われ、男子走高跳の戸邉直人(JAL)は2m15で5位ながら約1年5ヵ月ぶりの競技会復帰を果たした。 「とりあえず、ここに戻ってきて安心。記録や順位はまだまだだけど、ケガなく終えられて大満足です。ドクター、トレーナー、家族、たくさんの人に感謝の気持ちでいっぱいです」。戸邉はそう笑顔で振り返った。 跳び始めの高さが2m10。「とにかく記録を残そうと思ってやってきた」と言う戸邉は「試合に戻ってきて感慨深い思いがあるのかなと思ったけど、ただただ緊張していました」。それでも2回目にバーを越え、22年5月8日のセイコーゴールデングランプリ(2m24/4位)以来の公式記録を残した。続く2m15も2回目でクリア。2m20は3回ともクリアできなかったが、戸邉にとって大きな一歩となった。 昨年6月9日の日本選手権のウォーミングアップで、踏み切り脚の左足アキレス腱を断裂。2021年の東京五輪では日本勢49年ぶりの決勝進出を果たしたが(決勝は13位)、その予選でアキレス腱に痛みが出て、翌年に断裂という結果になってしまった。 それでも、「現役に復帰するつもりでした」。車椅子で病院に行く時に、集まってくれたチームメイトに「復帰するよ」と伝えたという。 とはいえ、その後の道のりは簡単なものではない。「手術が終わって装具をつけている時は思うように歩けず、一番きつかった」。だが、2ヵ月後に歩行を始め、さらに2ヵ月後にジョギングを開始。そこからはスプリントなど本格的なトレーニングができるようになり、今年2月から跳躍練習を再開した。そこまでの期間、「あきらめずにやってこられました」と戸邉は振り返る。 「来年のオリンピックの舞台には立ちたい」と、きっぱりと語る。パリ五輪の参加標準記録は2m33。世界選手権では22年オレゴン大会で真野友博(九電工)、今年のブダペスト大会で赤松諒一(アワーズ)がいずれも8位と、自身がまだ成し遂げていない世界大会入賞を果たしており、代表争いを勝ち抜くのは簡単なことではないだろう。 それでも、2019年に出した自身の日本記録は2m35。「期間は限られていますが」と言いつつ、自身のパフォーマンスを信じて、あきらめずに突き進むつもりだ。 1991年3月生まれの32歳。世界を見ると、同年代の選手たちが活躍している。東京五輪で同時優勝を果たしたムタズ・エッサ・バルシム(カタール)は同学年で、ジャンマルコ・タンベリ(イタリア)は同じ92年生まれ。ダイヤモンドリーグなど彼らと同じ土俵で戦ってきた経験は、まだ自身の中で生きている。 日本陸連アスリート委員会委員長を務め、25年東京世界選手権の大会組織委員会の理事を務めるなど、競技外での活動も積極的にこなす。大会前には中国・杭州で開催中のアジア大会を視察し、2日後には再び中国に渡るという。地元世界選手権に向けて、「さまざまな知見からより良い大会を目指していきたい」と語った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.29

久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!高校最高記録も更新、日本歴代でも4位

奈良市サーキットが3月29日、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で行われ、女子1000mで800m日本記録(1分59秒93)保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2)が2分40秒23をマークした。 この記録は日本歴代4位で、U20とU18 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

2025.03.28

【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]

NEWS 【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

2025.03.28

【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]

NEWS 3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

2025.03.28

3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]

NEWS 資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」

2025.03.28

資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」

旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。 男子20km競歩で東京五輪銀メダリスト […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top