HOME 国内、大学

2023.09.17

臙脂をまとって駆け抜けた2人が有終の美 200m西裕大、400mH川村優佳がV/日本IC
臙脂をまとって駆け抜けた2人が有終の美 200m西裕大、400mH川村優佳がV/日本IC

早大の西と川村

◇第92回日本インカレ(9月14日~17日/埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)4日目

日本インカレの4日目に行われた男子200mで西裕大(早大)が20秒75(-0.5)をマークして優勝。最後のインカレで日本一に輝いた。

持ち味のラストの強さを見せた西。前回100mVの宇野勝翔(順大)、4×400mリレー東京五輪代表の鈴木碧斗(東洋大)との競り合いの中でスッと抜け出した。

「自分のやりたい動きはできました」と笑顔の西。ただ、「理想を言えば、大前(祐介)監督の持つ早大記録の20秒29を目標にしていたので少し悔しいですが、優勝できて満足です」と胸を張った。

早大競走部だった父の影響で幼い頃から「臙脂(えんじ)にあこがれていました」。埼玉・栄東高時代は200mでインターハイ準決勝進出。1浪して一般入試で早大に進学した。

浪人生活の1年、そして入学してすぐのコロナ禍でほぼ練習ができなかった。2年時の関東学生新人で20秒76をマーク。今季は日本学生個人選手権、関東インカレを制し、ワールドユニバーシティゲームズで日の丸も背負った。早大勢の200m優勝は1980年の山崎博仁以来、実に43年ぶりだった。

広告の下にコンテンツが続きます

一般就職も決まり、競技は大学までと決めていたが、一つだけ心残りがある。

「鵜澤(飛羽、筑波大)君ともう一度、今の自分で勝負をしたい。彼は日本人で初めて200m19秒台に入る選手、オリンピックのファイナルに行く選手だと僕は思っています。最後にもう一回本気で勝負したいので、フルタイムでやれるかどうかわかりませんが、日本選手権を目指してみようかなと思っています」

臙脂をまとった学生生活は「人生最高の4年間でした。きっと20年後、30年後もこの景色は忘れないと思います」。最高のライバル、最高の仲間と出会えた。「高校で陸上を選んだ自分を褒めてあげたい」。そう言って満面に笑みを浮かべた。

女子400mハードルは川村優佳(早大)が58秒33で2年ぶりに制覇。こちらも最後のインカレで輝きを放った。2位に後輩の大川寿美香、7位に同期の津川瑠衣と3人で決勝を駆け抜けた。

4年前、川村、津川、清水羽菜とインターハイ入賞の3人が早大へ進学して大きな注目を集めた。3人は、5年前に制した小山佳奈、2つ上の関本萌香、村上夏美ら、あこがれの先輩たち追いかけ、切磋琢磨して成長してきた。

「2年前の優勝は、関本さんのほうが実力は上でしたし、優勝したけど大学の中で一番悔しい試合でした」

競技は大学で終えて就職も決まっている。最終学年の今年は「背負うものがたくさんあった」。女子主将として「優勝を持って帰りたい」という気持ち、そして2年前の雪辱。「このレースに懸ける思いは一番強かった」。先輩と成し遂げたように、「絶対に(決勝に)3枚残しをするって決めてみんなで一緒に練習してきました。この舞台で早大3人で一緒に走れてすごく幸せでした」と語った。

2位の大川はそんな偉大な先輩の背中を追いかけ、「技術面だけじゃなく、人間性も素晴らしい3人で、自分もついていきたい、勝ちたいと思わせてくれる方々。またら来年も後輩と一緒に臙脂色に染められるように頑張ります」。

伝統の臙脂をまとって走った4年間。その思いは熊谷での4日間を通してしっかり継承されたことだろう。

◇第92回日本インカレ(9月14日~17日/埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)4日目 日本インカレの4日目に行われた男子200mで西裕大(早大)が20秒75(-0.5)をマークして優勝。最後のインカレで日本一に輝いた。 持ち味のラストの強さを見せた西。前回100mVの宇野勝翔(順大)、4×400mリレー東京五輪代表の鈴木碧斗(東洋大)との競り合いの中でスッと抜け出した。 「自分のやりたい動きはできました」と笑顔の西。ただ、「理想を言えば、大前(祐介)監督の持つ早大記録の20秒29を目標にしていたので少し悔しいですが、優勝できて満足です」と胸を張った。 早大競走部だった父の影響で幼い頃から「臙脂(えんじ)にあこがれていました」。埼玉・栄東高時代は200mでインターハイ準決勝進出。1浪して一般入試で早大に進学した。 浪人生活の1年、そして入学してすぐのコロナ禍でほぼ練習ができなかった。2年時の関東学生新人で20秒76をマーク。今季は日本学生個人選手権、関東インカレを制し、ワールドユニバーシティゲームズで日の丸も背負った。早大勢の200m優勝は1980年の山崎博仁以来、実に43年ぶりだった。 一般就職も決まり、競技は大学までと決めていたが、一つだけ心残りがある。 「鵜澤(飛羽、筑波大)君ともう一度、今の自分で勝負をしたい。彼は日本人で初めて200m19秒台に入る選手、オリンピックのファイナルに行く選手だと僕は思っています。最後にもう一回本気で勝負したいので、フルタイムでやれるかどうかわかりませんが、日本選手権を目指してみようかなと思っています」 臙脂をまとった学生生活は「人生最高の4年間でした。きっと20年後、30年後もこの景色は忘れないと思います」。最高のライバル、最高の仲間と出会えた。「高校で陸上を選んだ自分を褒めてあげたい」。そう言って満面に笑みを浮かべた。 女子400mハードルは川村優佳(早大)が58秒33で2年ぶりに制覇。こちらも最後のインカレで輝きを放った。2位に後輩の大川寿美香、7位に同期の津川瑠衣と3人で決勝を駆け抜けた。 4年前、川村、津川、清水羽菜とインターハイ入賞の3人が早大へ進学して大きな注目を集めた。3人は、5年前に制した小山佳奈、2つ上の関本萌香、村上夏美ら、あこがれの先輩たち追いかけ、切磋琢磨して成長してきた。 「2年前の優勝は、関本さんのほうが実力は上でしたし、優勝したけど大学の中で一番悔しい試合でした」 競技は大学で終えて就職も決まっている。最終学年の今年は「背負うものがたくさんあった」。女子主将として「優勝を持って帰りたい」という気持ち、そして2年前の雪辱。「このレースに懸ける思いは一番強かった」。先輩と成し遂げたように、「絶対に(決勝に)3枚残しをするって決めてみんなで一緒に練習してきました。この舞台で早大3人で一緒に走れてすごく幸せでした」と語った。 2位の大川はそんな偉大な先輩の背中を追いかけ、「技術面だけじゃなく、人間性も素晴らしい3人で、自分もついていきたい、勝ちたいと思わせてくれる方々。またら来年も後輩と一緒に臙脂色に染められるように頑張ります」。 伝統の臙脂をまとって走った4年間。その思いは熊谷での4日間を通してしっかり継承されたことだろう。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.29

編集部コラム「いつのまにか700号超え」

攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]

NEWS 齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位

2025.03.29

齋藤みう3000m障害で9分41秒57 自己ベスト4秒以上更新して日本歴代6位、学生歴代2位

第319回日体大長距離競技会初日が3月29日、神奈川・横浜市の同大学健志台キャンパス競技場で行われ、女子3000m障害で齋藤みう(日体大4)が日本歴代6位、学生歴代2位の9分41秒57をマークした。 齋藤のこれまでのベス […]

NEWS 久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

2025.03.29

久保凛1000mで2分40秒23 U20&U18日本新記録!従来の記録を大幅更新、日本歴代でも4位

奈良市サーキットが3月29日、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で行われ、女子1000mで800m日本記録(1分59秒93)保持者の久保凛(東大阪大敬愛高2)が2分40秒23をマークした。 この記録は日本歴代4位で、U20とU18 […]

NEWS 【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

2025.03.28

【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]

NEWS 【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

2025.03.28

【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top