◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)5日目
ブダペスト世界選手権5日目が行われ、男子1500mは東京五輪3位のジョシュ・カー(英国)が3分29秒38で優勝した。今季、ダイヤモンドリーグ(DL)で4戦4勝と優勝候補筆頭だったヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)は0.17秒差で2位に敗れた。
12人によって行われた1500m決勝。レースの主導権を握ったのは5000mとの2冠を目指すインゲブリグトセンだった。
いつものように集団を引っ張るフロントランを見せ、前回7位のアベル・キプサング(ケニア)が競りかけるも、その都度突き放して1000mを2分22秒で通過し、トップでラスト1周に入った。
だが、逃げるインゲブリグトセンに対し待ったを掛けたのが25歳のカーだった。1100m地点では1秒近いリードがあったが、鐘とともに切り替えるとバックストレートで一気に並びかける。第3コーナーでは粘るインゲブリグトセンをアウトレーンから追い抜き、ラストの直線では身体1つ前に出た。
真っ先にフィニッシュラインを駆け抜けたカーは大喜び。これまで世界大会では入賞の常連だったが、インゲブリグトセンに勝った経験はなく、今回も伏兵的な存在と見られていた。
殊勲の優勝となったカーは「残り200メートルに、これまで打ち込んできたの16年のすべてを懸けた。最後まで最後まであきらめなかったのが良かった」と興奮気味に話した。
前回のオレゴン大会でも英国のジェイク・ワイトマンが優勝。実は2人は同じクラブチーム「エディンバラAC」の出身。ワイトマンはケガで今大会を欠場しているが、カーは4歳上のワイトマンの背中を見て育ってきたと明かす。
「栄養、睡眠、トレーニング、レースレビュー、すべてにおいて全力を尽くした。もし今日が金メダルでなかったとしても、それがベストだった」とカー。レースプランについては前回ワイトマンが優勝したオレゴンのレースを参考にしたという。
悲願の世界一となり、「長い間待ち望んでいた。自分を誇りに思う」と噛みしめるように語った。
一方、前回に続き、またも世界選手権で不覚をとってしまったインゲブリグトセンは「ジョシュはいいレースをした。でも、僕がシーズン中にずっとやってきたことが、ここでできなかったのは、ちょっと不運だったと思う」とコメント。数日前から体調を崩しており、「喉が少し乾いていて、この2日間でさらにひどくなった。体調が100%ではなかったと思う」と敗戦の要因をして上げると、レース後には涙を流す場面も見せた。
また、3位にはN.G.ノルドス(ノルウェー)が入り、ノルウェー勢が2位、3位。この結果、アフリカ勢が大会史上初めてメダルを逃すことになった。
男子400mハードルでは世界記録保持者のカールステン・ワルホルム(ノルウェー)が強さを見せて圧勝。途中でライ・ベンジャミン(米国)が競りかけて慌てさせる場面もあったが、ラストの直線で力強く抜け出してただ一人46秒台となる46秒89で快勝。2大会ぶりの優勝を勝ち取った。
女子400mはマリレイディ・パウリノ(ドミニカ共和国)が48秒76の自国新。2位に0.81秒の大差での優勝となった。
また、女子棒高跳はニーナ・ケネディ(豪州)とケイト・ムーン(米国)が4m90で並び、無効試技数も同じだったため、両者協議の上、2人が金メダルを獲得することになった。
日本勢では女子5000m予選で田中希実(New Balance)で14分37秒98の衝撃的な日本記録を樹立。女子やり投でも北口榛花(JAL)が悠々と予選を通過している。
6日目はモーニングセッションで男女の35km競歩。午後には男子走幅跳、男子400mなど合計7種目で決勝が行われる。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.29
青学大・若林宏樹の学生ラストランは2位!TBS感謝祭マラソン激走「箱根よりきつかった」
-
2025.03.29
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.29
青学大・若林宏樹の学生ラストランは2位!TBS感謝祭マラソン激走「箱根よりきつかった」
青学大の若林宏樹がTBSの「オールスター感謝祭2025春」に出演した。若林は番組恒例の赤坂ミニマラソンに出場して2位だった。 約5km、心臓破りの坂がランナーたちを苦しめる番組の人気企画。今年の箱根駅伝で5区区間新を出し […]
2025.03.29
女子やり投で16歳・嚴子怡が64m83 自身のU20世界記録を42cm塗り替え3度目の更新
3月28日に中国・成都で行われた投てきの招待競技会女子やり投で、16歳の嚴子怡が自身の持つU20世界記録を42cm更新する64m83を放った。 嚴は2008年5月生まれ。2023年に国際学校スポーツ連盟が主催するU15世 […]
2025.03.29
鈴木琉胤5000mで高校歴代2位13分25秒59 “世界”のレースを体感して日本人トップ 4月から早大へ/WAコンチネンタルツアー
2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 男子5000mには4月から早大に進学する鈴木琉胤(八千代松陰高3千葉)が出場。高校歴 […]
2025.03.29
走高跳で男女上位 真野友博1位、髙橋渚1m86で2位 100mH田中佑美Vで3位まで日本勢/WAコンチネンタルツアー
2025年の世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールド初戦となるモーリー・プラント競技会が3月29日、豪州・メルボルンで行われた。 日本からは22名が出場し、2種目で優勝。走高跳では男子が昨年のパリ五輪代表で22年世 […]
2025.03.29
編集部コラム「いつのまにか700号超え」
攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム?? 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報