2023.08.17
8月19日から始まるブダペスト世界陸上のみどころをチェック! ここでは男女のロード種目を紹介する。
女子トラックには7種目に12人が出場。最も注目を集めるのが21年東京五輪1500m8位の実績を持つ田中希実(New Balance)だろう。1500mと5000mに出場する。
今春、プロに転向。6月上旬の日本選手権で1500mと5000mの2種目制覇を果たすと、ケニアで17日間の合宿を行った。7月上旬に渡欧し、フィンランドでは5000mで日本歴代3位の14分53秒60をマーク。その4日後のアジア選手権1500mでは、序盤のスローな展開から、ペースアップしてシーズンベストの4分06秒75で金メダルを獲得している。
レースを経るごとに、力強くなっているスパート力がどこまで通じるか。2種目で世界記録(1500m3分49秒11、5000m14分05秒20)を持つF.キピエゴン(ケニア)ら強力なアフリカ勢に最後まで食らいつきたいところだ。
持ち味が発揮できれば、1500mで3分台をマークした2年前の五輪のように記録と順位もついてくるはず。1500mで入賞となると、男女通じて世界選手権初。5000mでは97年アテネ大会で8位に入った弘山晴美(資生堂)以来26年ぶりとなる。
なお、1500mには田中と兵庫・西脇工高時代の同級生で、卒業後も今年春まで所属先が一緒だった後藤夢(ユニクロ)も登場。中学時代から全国入賞を持つランナーが、田中と切磋琢磨しながら、実績を重ねて世界選手権に初出場する。昨年出した自己ベスト4分09秒41を更新して、予選を突破できるか。
5000mには田中に加え、山本有真(積水化学)と廣中璃梨佳(日本郵政グループ)の2000年生まれの2人が代表に選出され、15年北京大会以来のフルエントリーとなる。山本は名城大時代、学生駅伝で頭角を現わすと、昨年の栃木国体では5000m15分16秒71の自己新で優勝。社会人1年目の今季はアジア選手権で金メダルを獲得した。初出場の世界選手権で力を出し切りたいところだ。
廣中は参加標準記録を突破した10000mで代表に選ばれていたが、世界陸連からの出場資格者の追加を受けて5000mでも出場権を得た。田中と同じく2種目での出場となる。今季はアキレス腱を痛めた影響で、序盤は不調だったが、7月に入り5000mで15分18秒77をマークして調子を取り戻してきた。
タイムテーブルでは、初日に10000m決勝、5日目に5000m予選、8日目に5000m決勝が行われる。廣中にとっては昨年のオレゴン大会で自己ベスト(30分39秒71/日本歴代2位、レースは12位)を出した10000mでしっかりと走れるかが、ポイントとなりそうだ。そこで勢いを得て5000mでも食らいつけるか。
10000mにはオレゴン大会に続いて五島莉乃(資生堂)も選出された。今季の10000mは5月上旬のゴールデンゲームズinのべおか(2位/31分59秒00)のみ。自己記録31分10秒02(21年)に迫りたいところだ。
昨年、世界選手権参加標準記録(12秒78)を上回る日本記録12秒73が生まれるなど、近年活況の100mハードルには、寺田明日香(ジャパンクリエイト)、青木益未(七十七銀行)、田中佑美(富士通)の3人が参戦。初のフルエントリーとなる。
東京五輪で準決勝に進んだ寺田は今季、日本選手権を2年ぶりに制し、アジア選手権では銀メダルを獲得。記録でも2年ぶりに自己記録を0.01秒更新する12秒86(日本歴代2位タイ)をマークした。集大成とするパリ五輪を見据え、大事な国際舞台となる。
昨年4月に当時の日本記録となる12秒86をマークした青木は、持ち味のスタートで流れを作り、中盤での走りがポイントとなりそう。オレゴンでは準決勝に進んでいるだけに、万全な状態で臨めば、2年連続のセミファイナリストもあり得る。
田中は4月に日本人4人目の12秒台(12秒97)をマークした後、5月には木南記念で12秒91、セイコーゴールデングランプリでは12秒89と短縮。日本選手権で3位に入ったあと、欧州でも12秒91をマークして初の世界選手権代表をつかんだ。高校、大学と注目を集めたハードラーが世界を相手にどんなレースを見せるか。
日本記録保持者で、オレゴンのセミファイナリスト・福部真子(日本建設工業)が代表に入れなかったほどハイレベルな争いを経て代表となった3人。日本女子100mハードルの実力を大舞台で発揮してほしい。
100mには11秒36(日本歴代4位タイ)の自己ベストを持つ君嶋愛梨紗(土木管理総合)が、4×100mリレーで出場したオレゴン大会に続く2大会連続の代表となった。また、200mには23秒17(日本歴代3位)の鶴田玲美(南九州ファミリーマート)が初出場する。この2種目での代表は2015年の北京大会で100mと200mに出場した福島千里(北海道ハイテクAC)以来となる。世界の牙城は厚いが、収穫のあるレースにしたいところだ。
このほか、400mハードルには日本選手権を日本歴代5位の56秒06をマークして優勝した山本亜美(立命大)と、56秒50(日本歴代8位タイ)の自己ベストを持つ宇都宮絵莉(長谷川体育施設)がそろって初出場する。この種目では、モスクワ大会の久保倉里美(新潟アルビレックスRC)以来10年ぶりの派遣。まずは自己ベストを塗り替えて次への弾みとしてほしいところだ。
世界の超人たちが集う世界陸上は、8月19日から27日までの9日間、“東欧のパリ”と称される美しき街・ブダペストを舞台に行われる。
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