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2023.08.17

【世界陸上みどころ/ロード】男子20km競歩で山西利和が3連覇に挑戦 最大のライバルはオレゴン銀の池田向希 男女マラソンは入賞を目指す
【世界陸上みどころ/ロード】男子20km競歩で山西利和が3連覇に挑戦 最大のライバルはオレゴン銀の池田向希 男女マラソンは入賞を目指す

世界トップを実力を誇る競歩勢。川野将虎、山西利和、池田向希は連続メダルなるか。マラソンは女子の松田瑞生に期待が集まる

8月19日から始まるブダペスト世界陸上のみどころをチェック! ここでは男女のロード種目を紹介する。

大会のオープニングを飾る男子20km競歩では2連覇中の王者・山西利和(愛知製鋼)が登場。史上2人目のV3を目指す。

昨秋に35km競歩に出場した山西は、例年に比べてゆっくりと冬季練習に突入。2月から4月に国内で行われた競技会には出場せず、5月にポルトガルで行われた国際競技会に出場というスケジュールとなった。

その競技会でも珍しく歩型違反を取られたことが影響して3位に敗れ、「勝ちに行った試合でしたし、警告が2つついたことも反省点」と振り返る。

ただ、敗戦の原因がはっきりしているだけに山西自身も「ここから経験値と冬季練習でやってきたことを照らし合わせて調整していきたい」と前を向いている。

19年のドーハ大会で優勝して以降、レースでは常にマークされる存在となった山西。前回のオレゴン大会のように、自らペースを握りライバルを振り落とすレースができれば、同種目ではJ.ペレス(エクアドル)以来の3連覇に近づく。

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山西の最大のライバルとなるのが、東京五輪、オレゴン世界陸上と連続で銀メダルを獲得している池田向希(旭化成)だ。山西が不在だった2月の日本選手権では自らレースを引っ張り初優勝と新境地も見せた。

初の頂点に向けては「山西さんのレースに乗るだけで上に行けない」と対策も練っている。持ち味の高速ピッチで歩を刻めば、チャンスは巡ってきそうだ。

同種目には髙橋英輝(富士通)、古賀友太(大塚製薬)も出場。前回は住所大翔(順大院)が8位となり日本勢がトリプル入賞を果たしているが、先陣を務める男子20kmで好成績を残せば、チームジャパンの弾みとなるだろう。

男子35㎞競歩は、前回1秒差で銀メダルだった川野将虎(旭化成)がメダルの最有力候補。春先は体調不良で4月の日本選手権では3位に甘んじたが、夏の本番に向けて徐々に調子を上げつつある。

日本選手権で川野に先着した野田明宏(自衛隊体育学校)は、同大会で2時間23分13秒の日本記録を樹立。このタイムは今季世界2位につけており、当然メダル候補に名前が挙がる。また、東京五輪代表の丸尾知司(愛知製鋼)もベテランらしい歩きで上位の可能性も秘める。

21年の東京五輪を最後に世界大会での実施距離が50kmから35kmへと短縮されているこの種目。まだ、国際大会の開催頻度も乏しく、レースパターンが定まらず、展開の予想も難しくなっている。海外の実力者も顔を揃えており、混戦必至のレースとなりそうだ。

一方、女子の競歩陣も20km、35kmともにフルエントリーとなった。20kmではドーハ7位、オレゴン6位の藤井菜々子(エディオン)が登場。海外勢の速い流れに食らいつけば、過去最高の順位が臨めそうだ。

藤井の高校の後輩で今月上旬のユニバーシティゲームズにも出場した柳井綾音(立命大)、秋のアジア大会の代表でもある梅野倖子(順大)も含めて全員が福岡県出身。初の世界陸上で経験を重ね、来年のパリ五輪、25年の東京世界陸上につなげたい。

前回20kmに出場した岡田久美子(富士通)が、4月の日本選手権35km競歩で2時間44分11秒の日本記録を樹立しており、この種目での日本人初入賞を目指す。前回9位の園田世玲奈(NTN)も入賞候補。渕瀬真寿美(建装工業)は今大会日本人最多となる6回目の世界陸上で、入賞すれば09年ベルリン大会(20km6位)以来14年ぶりとなる。

注目のマラソンは女子が大会8日目の8月26日、男子が最終日の8月27日に行われる。いずれもスタートは現地時間の午前7時(日本時間14時)。

今回は10月にパリ五輪選考レースのMGCが控えていることから、6人中5人が初の世界陸上というフレッシュな陣容に。

ただ一人経験者なのが、オレゴン大会9位の松田瑞生(ダイハツだ)。前回は体調不良で一山麻緒(資生堂)、新谷仁美(積水化学)が欠場するなかで気を吐き、入賞まであと一歩のところまで迫った。

3月の東京マラソンではセカンドベストの2時間21分44秒で6位と日本人最上位を占め、日本のエースとしての力を見せた。MGCにも挑戦するハードスケジュールとなるが、ブダペストには「ベストなコンディションで臨みたい」と語っている。

加世田梨花(ダイハツ)と佐藤早也伽(積水化学)は昨年のベルリンで好走。いずれもトラックでのスピードを持ち、世界に挑む。

男子は其田健也(JR東日本)、山下一貴(三菱重工)、西山和弥(トヨタ自動車)の3人が代表。いずれも今季2時間5分~6分台の自己ベストをマークし、その勢いでブダペストに乗り込む。世界は夏のマラソンでも高速化が進んでいるが、後半に追い上げるレースでモスクワ大会以来の入賞を目指す。

世界の超人たちが集う世界陸上は、8月19日から27日までの9日間、“東欧のパリ”と称される美しき街・ブダペストを舞台に行われる。

8月19日から始まるブダペスト世界陸上のみどころをチェック! ここでは男女のロード種目を紹介する。 大会のオープニングを飾る男子20km競歩では2連覇中の王者・山西利和(愛知製鋼)が登場。史上2人目のV3を目指す。 昨秋に35km競歩に出場した山西は、例年に比べてゆっくりと冬季練習に突入。2月から4月に国内で行われた競技会には出場せず、5月にポルトガルで行われた国際競技会に出場というスケジュールとなった。 その競技会でも珍しく歩型違反を取られたことが影響して3位に敗れ、「勝ちに行った試合でしたし、警告が2つついたことも反省点」と振り返る。 ただ、敗戦の原因がはっきりしているだけに山西自身も「ここから経験値と冬季練習でやってきたことを照らし合わせて調整していきたい」と前を向いている。 19年のドーハ大会で優勝して以降、レースでは常にマークされる存在となった山西。前回のオレゴン大会のように、自らペースを握りライバルを振り落とすレースができれば、同種目ではJ.ペレス(エクアドル)以来の3連覇に近づく。 山西の最大のライバルとなるのが、東京五輪、オレゴン世界陸上と連続で銀メダルを獲得している池田向希(旭化成)だ。山西が不在だった2月の日本選手権では自らレースを引っ張り初優勝と新境地も見せた。 初の頂点に向けては「山西さんのレースに乗るだけで上に行けない」と対策も練っている。持ち味の高速ピッチで歩を刻めば、チャンスは巡ってきそうだ。 同種目には髙橋英輝(富士通)、古賀友太(大塚製薬)も出場。前回は住所大翔(順大院)が8位となり日本勢がトリプル入賞を果たしているが、先陣を務める男子20kmで好成績を残せば、チームジャパンの弾みとなるだろう。 男子35㎞競歩は、前回1秒差で銀メダルだった川野将虎(旭化成)がメダルの最有力候補。春先は体調不良で4月の日本選手権では3位に甘んじたが、夏の本番に向けて徐々に調子を上げつつある。 日本選手権で川野に先着した野田明宏(自衛隊体育学校)は、同大会で2時間23分13秒の日本記録を樹立。このタイムは今季世界2位につけており、当然メダル候補に名前が挙がる。また、東京五輪代表の丸尾知司(愛知製鋼)もベテランらしい歩きで上位の可能性も秘める。 21年の東京五輪を最後に世界大会での実施距離が50kmから35kmへと短縮されているこの種目。まだ、国際大会の開催頻度も乏しく、レースパターンが定まらず、展開の予想も難しくなっている。海外の実力者も顔を揃えており、混戦必至のレースとなりそうだ。 一方、女子の競歩陣も20km、35kmともにフルエントリーとなった。20kmではドーハ7位、オレゴン6位の藤井菜々子(エディオン)が登場。海外勢の速い流れに食らいつけば、過去最高の順位が臨めそうだ。 藤井の高校の後輩で今月上旬のユニバーシティゲームズにも出場した柳井綾音(立命大)、秋のアジア大会の代表でもある梅野倖子(順大)も含めて全員が福岡県出身。初の世界陸上で経験を重ね、来年のパリ五輪、25年の東京世界陸上につなげたい。 前回20kmに出場した岡田久美子(富士通)が、4月の日本選手権35km競歩で2時間44分11秒の日本記録を樹立しており、この種目での日本人初入賞を目指す。前回9位の園田世玲奈(NTN)も入賞候補。渕瀬真寿美(建装工業)は今大会日本人最多となる6回目の世界陸上で、入賞すれば09年ベルリン大会(20km6位)以来14年ぶりとなる。 注目のマラソンは女子が大会8日目の8月26日、男子が最終日の8月27日に行われる。いずれもスタートは現地時間の午前7時(日本時間14時)。 今回は10月にパリ五輪選考レースのMGCが控えていることから、6人中5人が初の世界陸上というフレッシュな陣容に。 ただ一人経験者なのが、オレゴン大会9位の松田瑞生(ダイハツだ)。前回は体調不良で一山麻緒(資生堂)、新谷仁美(積水化学)が欠場するなかで気を吐き、入賞まであと一歩のところまで迫った。 3月の東京マラソンではセカンドベストの2時間21分44秒で6位と日本人最上位を占め、日本のエースとしての力を見せた。MGCにも挑戦するハードスケジュールとなるが、ブダペストには「ベストなコンディションで臨みたい」と語っている。 加世田梨花(ダイハツ)と佐藤早也伽(積水化学)は昨年のベルリンで好走。いずれもトラックでのスピードを持ち、世界に挑む。 男子は其田健也(JR東日本)、山下一貴(三菱重工)、西山和弥(トヨタ自動車)の3人が代表。いずれも今季2時間5分~6分台の自己ベストをマークし、その勢いでブダペストに乗り込む。世界は夏のマラソンでも高速化が進んでいるが、後半に追い上げるレースでモスクワ大会以来の入賞を目指す。 世界の超人たちが集う世界陸上は、8月19日から27日までの9日間、“東欧のパリ”と称される美しき街・ブダペストを舞台に行われる。

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