◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)5日目
アジア選手権の最終日がタイ・バンコクで行われ、日本勢は5つの金を含む8個のメダルを獲得した。
午前中に行われた男女20km競歩。男子の村山裕太郎(富士通)は1時間24分41秒で優勝。5km付近から抜け出すと、中国勢などを追い上げを許さなかった。
大学時代に両膝を疲労骨折。一時は練習からも遠ざかったが、ケガが癒えると徐々に実力を発揮。今年2月の全日本競歩能美大会で2位に入り、アジア選手権代表の座をつかんだ。世界一とも言われる“日本の競歩”の看板を背負って臨んだ初の代表レースで見事に結果を残した。
一方の学生の2人で挑んだ女子は梅野倖子(順大)が1時間36分18秒で銅メダルを獲得。内藤未唯(神奈川大)も粘りを見せて1時間37分35秒の4位となり、貴重な経験を積むことができた。
午後は11種目で決勝が行われ、男子200mでは鵜澤飛羽(筑波大)が20秒23(-0.4)の大会新記録で優勝を飾った。「タイムにこだわらず勝ちを狙って臨みました」と話すが、優勝タイムは日本歴代8位タイ、日本学生歴代2位の好タイム。アジア記録保持者の謝震業(中国)や大会記録保持者のフェミ・オグノデ(カタール)を抑えての優勝となり、世界に挑む準備は整った。
また、3位には上山紘輝(住友電工)が入り、世界選手権出場に一歩前進している。
男子5000mは遠藤日向(住友電工)が大会記録まで0.47秒と迫る13分34秒94で優勝。4200mまで塩尻和也(富士通)とのマッチレースとなったが、ラスト2周でスパートを仕掛けて抜け出した。それでも「まだ強さが足りない」と満足はしない。
13分43秒92で2位に入った塩尻とともに、ワールドランキングは上昇する見込みだが、この種目は参加標準記録突破者が増えており、まだ確定とは言い切れない状況。世界と戦うには一層のレベルアップが求められる。
女子5000mの山本有真(積水化学)は15分51秒16で、この種目では日本勢初優勝を飾った。格上の選手を相手に自ら仕掛けての優勝には価値があり、本人も「90点くらい」と笑顔で及第点を付けた。来月の世界選手権に向けては「出るだけじゃなく、しっかり戦えるように挑戦していきたい」と、アジアでの勝利をステップに、さらなる躍進を誓った。
また、男子やり投ではオレゴン世界選手権9位のディーン元気(ミズノ)が実力を発揮。4投目に83m15のシーズンベストも「ピークは世界選手権」とさらなる上積みを目指す。また同期の新井涼平(スズキ)は72m43で5位だった。
このほか、男子棒高跳では柄澤智哉(日体大)が5m51で4位。女子200mでは鶴田玲美(南九州ファミリーマート)が23秒48(+0.1)で4位入賞を果たし、君嶋愛梨沙(土木管理総合)はコーナーでアクシデントが発生し、減速して28秒00の8位に終わった。
女子800mは池崎愛里(ダイソー)が2分04秒21で4位、塩見綾乃(岩谷産業)が2分04秒25で5位とメダルに惜しくも届かず。女子砲丸投では郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が16m02で7位。男子800mは日本記録保持者の川元奨(スズキ)が1分49秒59で8位となった。日本勢の最後の種目となった女子4×400mリレーは久保山晴菜(今村病院)、松本奈菜子(東邦銀行)、青野朱李(NDソフト)、山本亜美(立命大)とつなぎ、3分35秒26で4位に入っている。
5日間の大会がすべて終わり、日本は46種目のうち金メダル16個、銀メダル11個、銅メダル10個の計37個のメダルを獲得。金メダルと総メダル獲得数は参加国中トップに輝いた。メダルテーブルで日本がトップに立つのは1981年の第4回東京大会以来42年ぶりとなる。
日本はアジア選手権を重要視しなかった時期もあったが、世界選手権や五輪への出場要件にワールドランキングが用いられることから方針を転換。トップ選手を積極的に派遣し、選手たちも結果で応えた。
高温多湿、日本と比べて柔らかいトラックなど条件は決して良いとは言えないなかで、各種目でハイレベルな記録が誕生。今大会で得たポイントは今年のブダペスト世界選手権だけでなく、来年のパリ五輪に向けても有効となる。また、学生など若手選手が活躍したことは25年の東京世界選手権に向けても明るい材料となった。
アジアで大きく飛躍した日本が、いよいよ世界に挑戦する。
なお、次回のアジア選手権は25年に韓国・亀尾(クミ)で行われる。
【動画】鵜澤飛羽が金メダル、上山紘輝が銅メダルを獲得した男子200m
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