◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)3日目
アジア選手権の3日目午後セッションが行われ、女子走幅跳で秦澄美鈴(シバタ工業)が6m97(+0.5)の日本新で金メダルに輝いた。
ついに、その瞬間が訪れた。2位でトップ8に入り、4回目の6m74(+1.7)で首位に。迎えた最終跳躍は、「助走も良くて、踏み切り板も遠くも近くもなくて、パコーンと」踏み切りが決まった。
弾けるように空中へ跳び出すと、今までよりも一段大きな放物線を描き、「7m」の表示付近に着地した。今季、ここまでに同じシーンが2度あったが、いずれもファウルの赤旗が上がっている。しかし、今回は白旗が上がった。そして、記録が表示される。「6m97」――。
何度もガッツポーズを繰り返し、飛び上がって歓喜を爆発させた秦。2006年に池田久美子(スズキ)が作った日本記録を17年ぶりに更新。日本女子走幅跳待望の大台にあと3cmと迫る大ジャンプは、ブダペスト世界陸上参加標準記録(6m85)を軽々と突破し、パリ五輪の同記録(6m86)をもクリアした。今季世界リストでは4位、昨年のオレゴン世界選手権では3位に相当する大飛躍だ。
「今までは高く浮くだけ、前に抜けるだけという跳躍が多かった」と言うが、「それが両方できた感じ」とその跳躍を振り返り、「まだ信じられません」。
これで、2大会連続の世界陸上は決定的に。初出場だった昨年のオレゴン世界陸上では、力を発揮し切れずに予選敗退に終わった。世界での経験不足を痛感し、今年は冬から積極的に国内外の試合をこなしてきた。
2月のアジア室内選手権では6m62の室内日本新で金メダルを獲得し、その後は豪州やシンガポールなどの遠征もこなす。国内では5月3日の静岡国際で、日本歴代4位だった当時自己記録を8cm更新する6m75をジャンプ。4月の兵庫リレーカーニバルや、5月のセイコーゴールデングランプリでは、ファウルながら7m付近に着地するジャンプを繰り出していた。
ただ、日本選手権は3連覇を飾ったものの、「記録を意識し過ぎて」走りのタイミングやリズムを崩していたという。今大会までに技術的な修正と、冷静に臨むことを確認。アジアの舞台で、「自分の跳躍だけに集中できました」と胸を張る。
それでも、改めて「これで世界と戦うスタートライン」と足元を確認する。この日も3回目を終えて2位だったように、「まだ3回目までに記録を残せていない」と反省。そのうえで、「6m70~80を安定させた」と課題を口にした。
1年かけてスケールアップし、再び世界の舞台へと戻る。目指すはファイナル。この日のように「自分の跳躍」をすれば、おのずと道は開けるはずだ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.31
京セラの白井明衣が引退 22年にはプリンセス駅伝に出走
-
2025.03.31
-
2025.03.31
-
2025.03.31
-
2025.03.31
-
2025.03.25
-
2025.03.31
-
2025.03.26
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.31
【世界陸上プレイバック】―91年東京―国立競技場がルイスに熱狂!マラソン谷口が殊勲の金メダル
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]
2025.03.31
京セラの白井明衣が引退 22年にはプリンセス駅伝に出走
京セラの白井明衣が、3月23日に行われた鹿児島県実業団陸上競技記録会の女子3000mに出場。このレースをもって競技生活を引退することが公式Instagramで伝えられた。 白井は山口・中村女高を卒業後、2020年より京セ […]
2025.03.31
NDソフト ニューイヤー駅伝出場の大倉秀太とケニアと2拠点活動の鈴木太基が退部
NDソフトは2024年度で大倉秀太、鈴木太基の2選手が退部すると発表した。 鈴木は愛知・豊川工高を経て大東大に進学。4年時には全日本大学駅伝で7区4位、箱根駅伝7区9位と3大駅伝に出走している。卒業後はラフィネで活動し、 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報