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2023.07.07

Onのトップ層向け新作シューズが一気に3モデル登場!オン・ジャパン アスリートストラテジーアドバイザー横田真人がその魅力を語る
Onのトップ層向け新作シューズが一気に3モデル登場!オン・ジャパン アスリートストラテジーアドバイザー横田真人がその魅力を語る

7月6日に発売されたオンのトップ層向け新作シューズ3モデルについて解説してくれた横田真人さん

世界中にファンを増やしつつあるOnが日本人アスリートのハートをつかもうとしている。すでにタウンシューズやランニングシューズでは国内人気を集めているが、オン・ジャパンのアスリートストラテジーアドバイザーに横田真人氏が就任。トラック種目でも新たな取り組みを行っているからだ。7月6日には進化したエリートモデルと、初の中長距離用スパイクも2モデルが発売。Onが日本の陸上界にも熱狂を巻き起こす──。

Onと横田真人がタッグを組んだ

スイスのスポーツブランドOnが日本の陸上界に〝新たな風〟を吹かせている。合同会社TWOLAPSが運営する「今年、一番強い中距離走者を決める大会:TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT」 と2023年度のパートナーシップ契約を締結。TWOLAPS代表で、男子800m元日本記録保持者・横田真人氏がオン・ジャパンのアスリートストラテジー アドバイザーに就任したこともあり、国内のメジャー大会でOnのシューズやウエアをよく見かけるようになったのだ。

世界を知る横田氏は、「シンプルにデザインがカッコいい」という印象をOnに持っていたという。さらに、「この数年でOAC(オンアスレチックスクラブ/拠点:米国コロラド州ボルダー他)の選手たちが履き始めているのですごく興味がありました。どんな感覚のシューズなのか、履いてみたいな思っていたんです」と独創性のあるシューズについても気になっていた。

2010年に誕生したOnは、「世界で最も成長スピードの速いスポーツブランド」と呼ばれている。現役時代から〝速さ〟と〝強さ〟を求めてきた横田氏は、美しいブランドストーリーを持つOnに親近感と情景の念を抱いているようだ。

「急成長中のOnですけど、シューズ業界としてはベンチャーだと思うんですよ。僕らもやっぱり陸上界のベンチャー。決めるスピード感、会社の空気感みたいなのがすごく似ている。同じカルチャーを持つブランドと組むことが僕自身にとってもプラスになると思ったので、僕の方から何か一緒にできないかお願いしたんです。実際、プロダクトを履かせてもらって、走るのが楽しいなと感じています」

人気のCloudmonsterに加えて
進化したエリートモデルが登場!『Cloudboom Echo 3』

TWOLAPSで活動する選手たちのペースメーカーを務めることもある横田氏は現在でもトレーニングを継続しているが、普段からOnのシューズを愛用。その履き心地に魅了されているという。

「最初は『Cloudstratus』にハマりました。硬さもあるので、速いジョグとか、良いリズムで走るときにぴったりなんです。『Cloudsurfer』は自然な接地感で、ソールが柔らかく感じる。ロングジョグ、リカバリージョグをするときに履いています。最近は『Cloudmonster』が好きですね。しっかりしたクッション性と反発力があるので、ウォーミングアップで使用することが多いです。足を守ってくれながらスピードを上げて走れるのはすごく良いなと思っています」

昨年3月に発売された『Cloudmonster』は、On史上最超ド級のクッショニングとエネルギーリターンを誇る人気モデルだ。見た目は重厚感があるものの、重さは275g(26.5㎝)しかなく、レースで使用している市民ランナーも少なくない。

雲の上を走っているような履き心地を誇るOnのシューズはファンを着々と増やしているが、7月6日にはエリートモデルである『Cloudboom Echo 3』が発売された。 『Cloudboom Echo 3』は2021年に発売された『Cloudboom Echo』から大きく進化。

高剛性のフルレングスカーボンプレートを搭載しており、爆発的な推進力を生み出す超軽量モデル(215g / 26.5cm)だ。マイクロファイバー製アッパーは抜群なフィット感があるだけでなく、通気性を高めるとともに余分な水分をシャットアウト。独自配合のラバー素材を使用したアウトソールはどんな路面でも高いトラクションを発揮してくれる。

前作よりスピードも、エネルギーリターンも、そして履き心地もさらに進化した『Cloudboom Echo 3』

今年4月のボストンマラソンで2時間21分38秒で女王に輝いたヘレン・オビリ(ケニア)などOACのランナーたちが、テストを繰り返して開発しただけに〝勝者のためのシューズ〟と言えそうだ。

横田氏も新モデルを絶賛している。「いわゆる厚底シューズになると思うんですけど、まず軽い。スピードも出るのでポイント練習やロードレースなど幅広く使えると思います。ソールは若干、硬く感じますが、自然に走れるかなという印象がありますね。沈みすぎない、という表現が良いと思います。僕はソールが沈みすぎることで蹴り出しのタイミングが変わるのが嫌なんですよ。できればアップシューズからスパイクに履き替えても、同じ感覚で走りたい。どのスピード領域でも同じ動き、同じメカニズムでやりたいというのが僕のなかにあるんです」

横田氏は現役時代からトレーニング時の感覚やフォームにこだわりを持って取り組んできた。近年、シューズは大きく進化している。なかにはシューズの特性に合わせた走り方を求められるケースもあるが、「靴に走らされているみたいな状態はあまり良くない」と横田氏は疑問を感じている。

「シューズを替える度に、新たな動きを作るのは非効率的です。でも、Onは履き替えても、走りの感覚がさほど変わらない。特に『Cloudmonster』と『Cloudboom Echo 3』、そして新スパイクはつながりがあるモデルかなと思っています」

『Cloudboom Echo 3』はカーボンシューズでも沈みすぎず、薄底シューズやスパイクシューズのような感覚で走れるのが横田さんの好みという



クールな中長距離用スパイクも登場
『Cloudspike 10000m』『Cloudspike 1500m』

横田氏が口にしている中長距離用スパイクも7月6日に発売された。OACのアスリートたちが米国・ボルダーやスイス・サンモリッツでテストを繰り返し開発されたOn初のスパイクで、『Cloudspike 10000m』と『Cloudspike 1500m』というモデルだ。種目名が入っている通り、前者は長距離用、後者が中距離用となる。具体的にどこが違うのか。両モデルを着用した横田氏はこう説明する。

「プレートの素材が異なり、10000mは硬いけど、ソールが厚い。若干、接地が長く、プレートのたわみをうまく使って跳ねるような走り方になります。スピードは出しやすいんですけど、きつくなってくると抑えるのが大変なので筋力が必要かなという印象です。反対に1500mの方が自然な接地感があるので、終盤も脚を残せる感覚がありますね」

オンから初登場したスパイクシューズも横田さんのお気に入り。『Cloudspike 1500m』(写真)はプレートが柔らかめだが、ソールが薄いため、地面からの反発をしっかりもらえる感覚があるという

プレートは、『Cloudspike 10000m』がグラスファイバーとナイロンの混合物、『Cloudspike 1500m』がカーボンファイバー製。靴底は『Cloudspike 10000m』が前足部の24.5mmが最大で、重さは162g(26.5cm)。『Cloudspike 1500m』は前足部の20.0mmが 最 大 で、 重 さ は138g(26.5cm)になる。いずれも46%がトウゴマから得たバイオベースの素材で作られたヘリオンHFハイパーフォームを使用している。前足部にはOn独自技術のクラウドテックを搭載。6つの取り外し可能なピンもついている。

現在、世界陸連の規定ではトラック種目の800m以上は靴底が「25mm」までとなっているが、両モデルは世界陸連承認済。すでに佐藤圭汰(駒大)はOnのスパイクを着用。『Cloudspike 10000m』を履いて日本選手権5000mで4位に入っている。TWOLAPS所属の選手では薄田健太郎(DeNA)が使用。800mをメインにする選手だが、『Cloudspike 10000m』でレースに出場しているという。

「シーズン前半は『Cloudspike 10000m』を使っていたんですけど、次は『Cloudspike 1500m』を履こうかなと思っています。『Cloudspike 10000m』は重心の真下にポンッ、ポンッと脚を落として、中間走をすごく意識したスパイクだなと思うんですけど、スピードを上げたいときは、プレートが硬い分、蹴り出すタイミングが少しズレるんです。一方、『Cloudspike 1500m』の方がプレートは柔らかく感じるけれども、ソールが薄いので、しっかりと地面から反発をパンッともらえる感覚が強い。見た目は似ていますが、感覚は異なりますね」

中距離ランナーでもソールが厚めでプレートが硬めな『Cloudspike 10000m』にマッチする選手がおり、スパイクの選択は「各選手の好み」と横田さんは話す

両スパイクとも白ベースに黒字のブランドロゴが非常にクールだ。前足部のアウトソールは『Cloudspike 10000m』が黒で、『Cloudspike 1500m』は緑。また『Cloudspike 10000m』は左シューズの内側にブランドロゴが入っている。今夏のブタペスト世界選手権ではOnの新スパイクに熱視線が集まりそうだ。

「陸上競技場の風景を変える」挑戦

マラソンのトップシーンを飾るシューズに加えて、中長距離用の新スパイクもラインナップに入ったOnは、グローバルの取り組みとして、「On Track Nights」という陸上競技場を舞台にしたレースを世界5ヵ国で行っている。日本ではまだ開催してないが、横田氏は、「Onとともに陸上競技場の景色を変えるチャレンジをしたい」と日本版の「On Track Nights」を模索している。

今年4月に駒沢で開催されたTWOLAPS TC主催、オンジャパン特別協賛の中距離特化レース「THE MIDDLE」。日本中距離界のトップ選手たちが集結した

そのひとつが日本グランプリシリーズ グレード3となる「TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in TOKYO 2023」で、10月21日に東京・駒沢陸上競技場での開催を予定している。

「今までの陸上競技は良いパフォーマンスを見てもらって、良い記録が出ると盛り上がるというロジックだったと思うんですけど、その場でまずは楽しんでもらえる空間を演出するのが大事です。市民ランナーに中距離を走る機会を作りながら、いかに多くのお客さんに来てもらえるのか。まずは3000~4000人を呼び込んで、Onが持っているノウハウなどを生かしながらスタジアムに熱狂を作っていきたい」

横田氏はグラウンドレベルにDJブースを作ることも考えており、これまで日本になかったフェスのような楽しい競技会を計画中だ。将来的には国内でも数万人の集客を誇る熱い中距離レースが開催されるかもしれない。

Onは横田氏とともに日本の陸上界を変える〝ゲームチェンジャー〟の役割を担っていく。

今年6月にパリで開催された「On Track Nights」のワンシーン

文/酒井政人、撮影/船越陽一郎

※この記事は『月刊陸上競技』2023年8月号に掲載しています

<関連リンク>
オン・ジャパン

世界中にファンを増やしつつあるOnが日本人アスリートのハートをつかもうとしている。すでにタウンシューズやランニングシューズでは国内人気を集めているが、オン・ジャパンのアスリートストラテジーアドバイザーに横田真人氏が就任。トラック種目でも新たな取り組みを行っているからだ。7月6日には進化したエリートモデルと、初の中長距離用スパイクも2モデルが発売。Onが日本の陸上界にも熱狂を巻き起こす──。

Onと横田真人がタッグを組んだ

スイスのスポーツブランドOnが日本の陸上界に〝新たな風〟を吹かせている。合同会社TWOLAPSが運営する「今年、一番強い中距離走者を決める大会:TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT」 と2023年度のパートナーシップ契約を締結。TWOLAPS代表で、男子800m元日本記録保持者・横田真人氏がオン・ジャパンのアスリートストラテジー アドバイザーに就任したこともあり、国内のメジャー大会でOnのシューズやウエアをよく見かけるようになったのだ。 世界を知る横田氏は、「シンプルにデザインがカッコいい」という印象をOnに持っていたという。さらに、「この数年でOAC(オンアスレチックスクラブ/拠点:米国コロラド州ボルダー他)の選手たちが履き始めているのですごく興味がありました。どんな感覚のシューズなのか、履いてみたいな思っていたんです」と独創性のあるシューズについても気になっていた。 2010年に誕生したOnは、「世界で最も成長スピードの速いスポーツブランド」と呼ばれている。現役時代から〝速さ〟と〝強さ〟を求めてきた横田氏は、美しいブランドストーリーを持つOnに親近感と情景の念を抱いているようだ。 「急成長中のOnですけど、シューズ業界としてはベンチャーだと思うんですよ。僕らもやっぱり陸上界のベンチャー。決めるスピード感、会社の空気感みたいなのがすごく似ている。同じカルチャーを持つブランドと組むことが僕自身にとってもプラスになると思ったので、僕の方から何か一緒にできないかお願いしたんです。実際、プロダクトを履かせてもらって、走るのが楽しいなと感じています」

人気のCloudmonsterに加えて 進化したエリートモデルが登場!『Cloudboom Echo 3』

TWOLAPSで活動する選手たちのペースメーカーを務めることもある横田氏は現在でもトレーニングを継続しているが、普段からOnのシューズを愛用。その履き心地に魅了されているという。 「最初は『Cloudstratus』にハマりました。硬さもあるので、速いジョグとか、良いリズムで走るときにぴったりなんです。『Cloudsurfer』は自然な接地感で、ソールが柔らかく感じる。ロングジョグ、リカバリージョグをするときに履いています。最近は『Cloudmonster』が好きですね。しっかりしたクッション性と反発力があるので、ウォーミングアップで使用することが多いです。足を守ってくれながらスピードを上げて走れるのはすごく良いなと思っています」 昨年3月に発売された『Cloudmonster』は、On史上最超ド級のクッショニングとエネルギーリターンを誇る人気モデルだ。見た目は重厚感があるものの、重さは275g(26.5㎝)しかなく、レースで使用している市民ランナーも少なくない。 雲の上を走っているような履き心地を誇るOnのシューズはファンを着々と増やしているが、7月6日にはエリートモデルである『Cloudboom Echo 3』が発売された。 『Cloudboom Echo 3』は2021年に発売された『Cloudboom Echo』から大きく進化。 高剛性のフルレングスカーボンプレートを搭載しており、爆発的な推進力を生み出す超軽量モデル(215g / 26.5cm)だ。マイクロファイバー製アッパーは抜群なフィット感があるだけでなく、通気性を高めるとともに余分な水分をシャットアウト。独自配合のラバー素材を使用したアウトソールはどんな路面でも高いトラクションを発揮してくれる。 [caption id="attachment_107796" align="alignnone" width="800"] 前作よりスピードも、エネルギーリターンも、そして履き心地もさらに進化した『Cloudboom Echo 3』[/caption] 今年4月のボストンマラソンで2時間21分38秒で女王に輝いたヘレン・オビリ(ケニア)などOACのランナーたちが、テストを繰り返して開発しただけに〝勝者のためのシューズ〟と言えそうだ。 横田氏も新モデルを絶賛している。「いわゆる厚底シューズになると思うんですけど、まず軽い。スピードも出るのでポイント練習やロードレースなど幅広く使えると思います。ソールは若干、硬く感じますが、自然に走れるかなという印象がありますね。沈みすぎない、という表現が良いと思います。僕はソールが沈みすぎることで蹴り出しのタイミングが変わるのが嫌なんですよ。できればアップシューズからスパイクに履き替えても、同じ感覚で走りたい。どのスピード領域でも同じ動き、同じメカニズムでやりたいというのが僕のなかにあるんです」 横田氏は現役時代からトレーニング時の感覚やフォームにこだわりを持って取り組んできた。近年、シューズは大きく進化している。なかにはシューズの特性に合わせた走り方を求められるケースもあるが、「靴に走らされているみたいな状態はあまり良くない」と横田氏は疑問を感じている。 「シューズを替える度に、新たな動きを作るのは非効率的です。でも、Onは履き替えても、走りの感覚がさほど変わらない。特に『Cloudmonster』と『Cloudboom Echo 3』、そして新スパイクはつながりがあるモデルかなと思っています」 [caption id="attachment_107718" align="alignnone" width="800"] 『Cloudboom Echo 3』はカーボンシューズでも沈みすぎず、薄底シューズやスパイクシューズのような感覚で走れるのが横田さんの好みという[/caption]

クールな中長距離用スパイクも登場 『Cloudspike 10000m』『Cloudspike 1500m』

横田氏が口にしている中長距離用スパイクも7月6日に発売された。OACのアスリートたちが米国・ボルダーやスイス・サンモリッツでテストを繰り返し開発されたOn初のスパイクで、『Cloudspike 10000m』と『Cloudspike 1500m』というモデルだ。種目名が入っている通り、前者は長距離用、後者が中距離用となる。具体的にどこが違うのか。両モデルを着用した横田氏はこう説明する。 「プレートの素材が異なり、10000mは硬いけど、ソールが厚い。若干、接地が長く、プレートのたわみをうまく使って跳ねるような走り方になります。スピードは出しやすいんですけど、きつくなってくると抑えるのが大変なので筋力が必要かなという印象です。反対に1500mの方が自然な接地感があるので、終盤も脚を残せる感覚がありますね」 [caption id="attachment_107799" align="alignnone" width="800"] オンから初登場したスパイクシューズも横田さんのお気に入り。『Cloudspike 1500m』(写真)はプレートが柔らかめだが、ソールが薄いため、地面からの反発をしっかりもらえる感覚があるという[/caption] プレートは、『Cloudspike 10000m』がグラスファイバーとナイロンの混合物、『Cloudspike 1500m』がカーボンファイバー製。靴底は『Cloudspike 10000m』が前足部の24.5mmが最大で、重さは162g(26.5cm)。『Cloudspike 1500m』は前足部の20.0mmが 最 大 で、 重 さ は138g(26.5cm)になる。いずれも46%がトウゴマから得たバイオベースの素材で作られたヘリオンHFハイパーフォームを使用している。前足部にはOn独自技術のクラウドテックを搭載。6つの取り外し可能なピンもついている。 現在、世界陸連の規定ではトラック種目の800m以上は靴底が「25mm」までとなっているが、両モデルは世界陸連承認済。すでに佐藤圭汰(駒大)はOnのスパイクを着用。『Cloudspike 10000m』を履いて日本選手権5000mで4位に入っている。TWOLAPS所属の選手では薄田健太郎(DeNA)が使用。800mをメインにする選手だが、『Cloudspike 10000m』でレースに出場しているという。 「シーズン前半は『Cloudspike 10000m』を使っていたんですけど、次は『Cloudspike 1500m』を履こうかなと思っています。『Cloudspike 10000m』は重心の真下にポンッ、ポンッと脚を落として、中間走をすごく意識したスパイクだなと思うんですけど、スピードを上げたいときは、プレートが硬い分、蹴り出すタイミングが少しズレるんです。一方、『Cloudspike 1500m』の方がプレートは柔らかく感じるけれども、ソールが薄いので、しっかりと地面から反発をパンッともらえる感覚が強い。見た目は似ていますが、感覚は異なりますね」 [caption id="attachment_107726" align="alignnone" width="800"] 中距離ランナーでもソールが厚めでプレートが硬めな『Cloudspike 10000m』にマッチする選手がおり、スパイクの選択は「各選手の好み」と横田さんは話す[/caption] 両スパイクとも白ベースに黒字のブランドロゴが非常にクールだ。前足部のアウトソールは『Cloudspike 10000m』が黒で、『Cloudspike 1500m』は緑。また『Cloudspike 10000m』は左シューズの内側にブランドロゴが入っている。今夏のブタペスト世界選手権ではOnの新スパイクに熱視線が集まりそうだ。

「陸上競技場の風景を変える」挑戦

マラソンのトップシーンを飾るシューズに加えて、中長距離用の新スパイクもラインナップに入ったOnは、グローバルの取り組みとして、「On Track Nights」という陸上競技場を舞台にしたレースを世界5ヵ国で行っている。日本ではまだ開催してないが、横田氏は、「Onとともに陸上競技場の景色を変えるチャレンジをしたい」と日本版の「On Track Nights」を模索している。 [caption id="attachment_107732" align="alignnone" width="800"] 今年4月に駒沢で開催されたTWOLAPS TC主催、オンジャパン特別協賛の中距離特化レース「THE MIDDLE」。日本中距離界のトップ選手たちが集結した[/caption] そのひとつが日本グランプリシリーズ グレード3となる「TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in TOKYO 2023」で、10月21日に東京・駒沢陸上競技場での開催を予定している。 「今までの陸上競技は良いパフォーマンスを見てもらって、良い記録が出ると盛り上がるというロジックだったと思うんですけど、その場でまずは楽しんでもらえる空間を演出するのが大事です。市民ランナーに中距離を走る機会を作りながら、いかに多くのお客さんに来てもらえるのか。まずは3000~4000人を呼び込んで、Onが持っているノウハウなどを生かしながらスタジアムに熱狂を作っていきたい」 横田氏はグラウンドレベルにDJブースを作ることも考えており、これまで日本になかったフェスのような楽しい競技会を計画中だ。将来的には国内でも数万人の集客を誇る熱い中距離レースが開催されるかもしれない。 Onは横田氏とともに日本の陸上界を変える〝ゲームチェンジャー〟の役割を担っていく。 [caption id="attachment_107735" align="alignnone" width="800"] 今年6月にパリで開催された「On Track Nights」のワンシーン[/caption] 文/酒井政人、撮影/船越陽一郎 ※この記事は『月刊陸上競技』2023年8月号に掲載しています <関連リンク> オン・ジャパン

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