2023.04.30
学生長距離Close-upインタビュー
唐澤 拓海 Karasawa Takumi 駒澤大学4年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。28回目は、4月23日の記録会10000mで27分57秒52をマークした駒大の唐澤拓海(4年)をピックアップする。
2年時の関東インカレ(2部)で5000mと10000mの日本人トップを飾ると、同年度の箱根駅伝では1区区間2位と好走。同期の鈴木芽吹とともに次期エース候補として活躍が期待されたが、3年時は故障などで一度もレースに出場しなかった。
高いポテンシャルを秘めた男はどのように復活を遂げたのか。選手本人にインタビューした。
1年3ヵ月ぶりのレース復帰
「次世代エース候補」と呼ばれた男が、1年ぶり3ヵ月ぶりに帰ってきた――。
4月8日の世田谷競技会男子5000m8組。13分50秒56で1着を飾った駒大の唐澤拓海(4年)だ。唐澤は24日の日体大長距離競技会の中で開催された「NITTAIDAI Challenge Games」10000mでも自己新の27分57秒52で走破。“完全復活”を印象づけた。
2年時の箱根駅伝以来のレース。「不安もありましたが、日体大では練習を積めていない中でも27分台を視野に入れていました。無事に走れてホッとしています」と唐澤は振り返る。
ここまでの道のりは決して平たんではなかった。
2年生になった2021年4月の記録会10000mで28分02秒52を出して注目を集めると、翌月の関東インカレ(2部)では5000mと10000mで日本人トップの3位。5000mではチームメイトである鈴木芽吹との壮絶なスパート合戦を制した。
その後はケガを繰り返しながらも箱根駅伝では2年時に1区2位と好走。1学年先輩である田澤廉(現・トヨタ自動車)の区間賞をアシストした。
この時の唐澤は鈴木と並び、チーム内で田澤に次ぐ準エース格という位置づけだった。実際に、鈴木は昨年3月の取材で「一番怖い存在は唐澤」と話している。
唐澤も当時、「ケガさえ気をつければ27分台はいつでも出せる」と話していた。
その実現が1年以上も先になってしまうとは、チーム関係者、ファン、そして唐澤自身も思いもしなかっただろう――。
1年3ヵ月ぶりのレース復帰
「次世代エース候補」と呼ばれた男が、1年ぶり3ヵ月ぶりに帰ってきた――。 4月8日の世田谷競技会男子5000m8組。13分50秒56で1着を飾った駒大の唐澤拓海(4年)だ。唐澤は24日の日体大長距離競技会の中で開催された「NITTAIDAI Challenge Games」10000mでも自己新の27分57秒52で走破。“完全復活”を印象づけた。 2年時の箱根駅伝以来のレース。「不安もありましたが、日体大では練習を積めていない中でも27分台を視野に入れていました。無事に走れてホッとしています」と唐澤は振り返る。 ここまでの道のりは決して平たんではなかった。 2年生になった2021年4月の記録会10000mで28分02秒52を出して注目を集めると、翌月の関東インカレ(2部)では5000mと10000mで日本人トップの3位。5000mではチームメイトである鈴木芽吹との壮絶なスパート合戦を制した。 その後はケガを繰り返しながらも箱根駅伝では2年時に1区2位と好走。1学年先輩である田澤廉(現・トヨタ自動車)の区間賞をアシストした。 この時の唐澤は鈴木と並び、チーム内で田澤に次ぐ準エース格という位置づけだった。実際に、鈴木は昨年3月の取材で「一番怖い存在は唐澤」と話している。 唐澤も当時、「ケガさえ気をつければ27分台はいつでも出せる」と話していた。 その実現が1年以上も先になってしまうとは、チーム関係者、ファン、そして唐澤自身も思いもしなかっただろう――。チームの3冠達成にも「どこか他人事だった」
小学校まで姉の影響で始めたバドミントンに取り組んだ拓海少年は、中学校で陸上競技と出合う。中学3年間は全国大会とは無縁だったものの、花咲徳栄高で急成長。3年時にインターハイ2種目で決勝に進出(1500m10位、5000m18位)すると、1月の全国都道府県対抗駅伝では4区区間賞(区間タイ)の走りで埼玉県チームの準優勝に貢献している。 唐澤は高校時代の印象に残ったレースにこの2大会を挙げ、なかでも都道府県駅伝は「あこがれの設楽悠太さんと同じチームで走れてうれしかった」と当時を振り返る。 [caption id="attachment_100477" align="alignnone" width="800"]
「チームに貢献したい」
ケガからの復活は長引いたものの、唐澤は今年2月からジョグを再開した。3月下旬からは強度の高いポイント練習にも加わり、Bチームではあるものの、出されたメニューは一度も外さずに来ているという。 1年3ヵ月ぶりのレースだった4月8日の世田谷競技会を経て、23日の10000mへ。レース中は大八木弘明総監督から「8000m以降で我慢すれば27分台出せるぞ!」という言葉をもらい、奮起した。 「2年前の自己ベストの時はしっかり練習ができていたんです。今回は上体的にも70%くらいでしたし、なんで27分台が出せたのか自分でもわかっていません。まぐれだと思います」 そう謙遜するが、レース後に大八木総監督から「よくやった」と言葉をかけられたことについては「うれしかったです」と素直に喜んだ。 3年目のシーズンを棒に振り、チームに貢献できなかったことについて「みんなには迷惑をかけて申し訳ないという気持ちしかありません。これから結果で恩返ししていきます」と頼もしい言葉が返ってきた。 今後は5月中旬の関東インカレ2部10000mに出場する予定。「今回も日本人トップには立ちたいですね。その後は5000mの自己ベストを更新して、もう一度10000mを走る機会があれば27分40秒台を目指します」と青写真を描いている。 ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。次期エース候補と言われた男が、空白の1年間を取り戻しに行く。 [caption id="attachment_100478" align="alignnone" width="800"]
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