2023.04.29
◇第57回織田幹雄記念(4月29日/広島・エディオンスタジアム広島)
日本グランプリシリーズG1の織田記念が行われ、女子100mハードルで社会人3年目の田中佑美(富士通)が日本人4人目の12秒台となる12秒97(+0.6)をマークし初V。
青木益未(七十七銀行)、福部真子(日本建設工業)の新旧日本記録保持者を抑え、立命大4年時の日本インカレ以来となる全国タイトルを手にした。
高校時代はインターハイを連覇し、将来を期待されたハードラーがようやく本格化。「これまではレース中も自分の走りに集中できないことが多かったですが、今日は、最後まで自分のペースでいけたことが大きいですね」。活況を呈するハードル界にまたひとり有望株が加わった瞬間だった。
ようやくの大台突入に笑顔を見せた田中。しかし、これまでのように感情を爆発させるわけでもなく、淡々とインタビューの応える姿にメンタル面の成長を感じた。
冬季にヨーロッパの室内大会を転戦。さらに練習拠点を置く筑波大にフランスからの留学生が来ており、「海外勢と接する機会が多くなり、あまり周りを気にしなくなったことで、普段から自分の走りに集中できるようになった」と好調の要因を口にする。
この日も予選から福部に先行を許したものの13秒07(+0.6)と落ち着いた走りで自己ベストを0秒05更新。決勝でも、「いつも決勝では記録が伸びるので、スタートで遅れても自分の走りに集中しました」と、先行する福部、青木を後半で逆転。「並ばれて少し焦りが出てしまった」という青木を0秒01抑え頂点に立った。
反り腰でスタートと後半に身体が浮いてしまうことが多かったが、「今日はスタートから骨盤を意識し、しっかり身体をコントロールできた。社会人になってから取り組んできたことがようやく形になってきました」と技術面の課題もクリアし、目標のひとつだった13秒の壁は突破した。
しかし、それも通過点に過ぎない。「タイムが向上すればするだけ、そこから伸ばしていくのは難しくなります。今回も最後はハードルが迫ってくる感覚がありました。福部さんの12秒73はまだ想像もつかないレベル。もっと頑張らないといけないと改めて感じました」と浮かれることなく、その先を見つめる。
次走は、地元大阪での木南記念となる。「そこで少しずつでもベストを更新したい」。焦らず、1歩1歩階段を上っていく心構えだ。
文/花木 雫
女子100mハードル日本歴代10傑をチェック!
12.73 1.1 福部 真子(日本建設工業) 2022. 9.25 12.86 -0.2 青木 益未(七十七銀行) 2022. 4.10 12.87 0.6 寺田明日香(ジャパンクリエイト) 2021. 6. 1 12.97 0.6 田中 佑美(富士通) 2023. 4.29 13.00 0.7 金沢イボンヌ(佐田建設) 2000. 7.16 13.00 1.5 鈴木 美帆(長谷川体育施設) 2021. 6. 6 13.02 1.4 池田久美子(スズキ) 2007. 4.29 13.02 -0.6 紫村 仁美(佐賀陸協) 2013. 6. 8 13.02 1.1 清山ちさと(いちご) 2022. 7. 9 13.03 -0.6 木村 文子(エディオン) 2013. 6. 8
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.11.22
-
2024.11.22
-
2024.11.22
-
2024.11.21
-
2024.11.21
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
3000m障害・三浦龍司インタビュー「雰囲気をガラリと変えられるような選手になりたい」東京世界陸上のメダル争いに求められるものとは
男子3000m障害日本記録保持者で、今夏のパリ五輪8位入賞の三浦龍司(SUBARU)がインタビューに応じ、今シーズンを振り返った。 パリでは自己4番目となる8分11秒72をマークして8位入賞。前回の東京(7位)に続く2大 […]
2024.11.22
マキシマム クッショニングを搭載した新作ランニングシューズ「ナイキ ボメロ 18」が登場!
ナイキは22日、全てのランナーに向け、マキシマム クッショニングとロードランニングの快適さに新しい基準をもたらす新作シューズ「ナイキ ボメロ 18」を発売することを発表した。 女性ランナーのニーズと詳細な意見を取り入れつ […]
2024.11.22
WA加盟連盟賞に米国、インド、ポルトガルなどがノミネート 育成プログラム等を評価
世界陸連(WA)は11月20日、ワールド・アスレティクス・アワード2024の「加盟国賞」の最終候補6カ国を発表した。この賞は年間を通して陸上競技の成長と知名度に貢献する功績をおさめた連盟を表彰するもので、各地域連盟から1 […]
2024.11.22
パリ五輪7位のクルガトが優勝!女子は地元米国・ヴェンダースがV/WAクロカンツアー
11月21日、米国テキサス州オースティンで世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールドのクロス・チャンプスが開催され、男子(8.0km)はパリ五輪5000m7位E.クルガト(ケニア)が22分51秒で、女子(8.0km […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会