高校駅伝2018都道府県大会の見どころ(『月刊陸上競技』2018年11月号誌面転載記事)

年の瀬の京都へ各地で激戦 30回を迎えた女子は地区代表も出場

 10月に入り、いよいよ高校駅伝シーズンが開幕した。全国高校駅伝(12月23日、京都)の出場権を懸けて、10月12日の北海道大会から11月11日の三重県大会まで約1ヵ月間にわたって各地で都道府県大会が繰り広げられる。今年は女子が節目の30回を迎え、例年の都道府県代表47校のほかに地区代表11校も都大路でタスキをつなぐ。そのため、都道府県大会後に控える各地区大会も目が離せない。ここでは、昨年の全国大会上位校の動向や今年の注目校など、今季の成績を踏まえながら紹介していく。

男子 佐久長聖は強力2年生で全国V2へ、前回2位の倉敷は日本人選手がカギ

 昨年の全国高校駅伝は佐久長聖(長野)が2時間2分44秒で制覇。1、2区を制し、3区でチャールズ・ニジオカ(現・黒崎播磨)を擁する倉敷(岡山)にトップを譲ったものの、4区以降の選手層で他を圧倒した。
 2月の西脇多可新人駅伝は倉敷が優勝し、2チームで挑んだ佐久長聖は主力の多いAチームが5位。この大会は区間の距離設定が若干違うものの、トータルは高校駅伝と同じ7区間42.195kmで競った。両校は1ヵ月後の3月に行われた春の高校伊那駅伝(6区間42.195km)でも顔を合わせ、今度は地元の佐久長聖が先頭を譲らず優勝。終盤の5区に留学生のフィレモン・キプラガット(2年)を入れた倉敷は追い上げて2位だった。
 その後のトラックシーズンの結果を踏まえても、佐久長聖と倉敷の力が秀でているようだ。いずれも県大会をどのようなオーダーで臨み、どんなタイムを出すかに注目だ。佐久長聖は1、4、7区の3人が卒業し、高見澤勝監督は「昨年ほどの力はない」と話しているものの、主将の松崎咲人(3年)、三重インターハイ5000m決勝進出の鈴木芽吹と服部凱杏(いずれも2年)、1500m5位の富田陸空(同)を軸に、都大路2連覇を意識している。
 倉敷は三重インターハイ3000m障害でV2を果たしたキプラガットはもちろん、その脇を固める日本人選手の台頭がカギ。長距離区間でインターハイ5000mに出場した八木志樹、若林陽大(いずれも3年)らが好走すれば、全国V奪還の展望が開けるだろう。

学法石川は層の厚さで勝負 九州学院は井川を擁して上位へ

 佐久長聖と倉敷に肩を並べるチームが現れるかどうか。まず、伊那駅伝で倉敷と15秒差の3位となった学法石川(福島)の実力が十分。今季は5000m14分台を16名が出し、層の厚さが特徴だ。
 次にインターハイと国体で5000m日本人トップの井川龍人(3年)を擁する九州学院(熊本)。昨年の都大路9位のメンバーのうち、5位で通過した5区までの5人を残す。9月23日の九州選抜高校駅伝はベストの配置をしなかった長距離区間で遅れを取り6位だったが、3km区間で高津浩揮(3年)、鶴川正也(1年)が区間賞。成果と課題の両面が見えた。熊本県大会は九州選抜高校駅伝3位の開新が長距離区間で九州学院に食い下がってきそう。争いの中から全国上位のタイムを生みそうだ。
 また、西脇多可駅伝で2~4位の須磨学園(兵庫)、豊川(愛知)、洛南(京都)や、伊那駅伝4位の埼玉栄(埼玉)などが群雄割拠の様相を見せ、秋の駅伝シーズンに向けても着々と準備を整えてくるだろう。5000mの持ちタイムでは仙台育英(宮城)、八千代松陰(千葉)、鳥栖工(佐賀)なども優れている。鳥栖工は九州選抜高校駅伝を2時間8分18秒で制した。
 昨年の全国は留学生抜きで戦った世羅(広島)は経験者が6人。前回入賞校のうち主力が残る大分東明(大分)、一関学院(岩手)は、県大会の戦いで選手層をチェックしたい。充実のトラックシーズンを過ごした法政二(神奈川)、山梨学院(山梨)も、起伏に富む予選コースでのタイムが気になるところだ。

女子 仙台育英は新戦力を得てV2へ  長野東は初の全国制覇へ充実の主力

 昨年23年ぶり3回目の全国制覇を果たした仙台育英(宮城)は、今年も注目のチームとなりそうだ。Vメンバーから3人が残り、そのうち武田千捺(3年)と木村梨七(2年)が三重インターハイ3000mに出場、木村は決勝まで進んだ(13位)。また、3区の鈴木理子(3年)は秋に入り、9月23日のしらかわ駅伝で1区2位と存在感を見せている。あとは留学生のエスタ・ムソニ(2年)や小海遥(1年)ら、新戦力が活躍できれば2連覇も近い。
 前回2位の長野東は、今年も戦力は充実している。2月の西脇多可新人高校駅伝、3月の春の高校伊那駅伝と2連勝。インターハイ入賞は1500m5位の萩谷楓(3年)だけにとどまったが、9月22日の日体大長距離競技会3000mでは、萩谷が9分07秒45、高松いずみ(2年)が9分09秒31、小林成美(3年)が9分14秒21といずれも自己ベストをマーク。都大路2年連続1区区間賞の和田有菜(現・名城大)は卒業したものの、全国初制覇へ向けて強力な主軸をそろえる。

薫英女学院はエースの台頭が不可欠、須磨学園は3年ぶりの全国舞台へ

 前回の入賞校のうち、3位の薫英女学院(大阪)は卒業した髙松智美ムセンビ(現・名城大)らに代わり、2年前の優勝時に3区で区間賞を獲得した村尾綾香(3年)や、松室真優(1年)らの中からエースの台頭がV奪還には不可欠だ。4位の立命館宇治(京都)は2年生エースの桶谷南実を中心に府大会で弾みをつけ、6年ぶりの全国制覇を目指す。
 5位の筑紫女学園(福岡)は前回メンバーが4人残り、インターハイ3000m10位の辻田翔子(3年)ら厚い選手層が持ち味。インターハイ800m女王の山口真実(同)、アジアジュニア選手権3000m障害3位の野末侑花(3年)を擁する北九州市立や、東海大福岡と激突する県大会でどのようなレースを繰り広げるか注目だ。
 8位の神村学園(鹿児島)はインターハイ3000m3位のカマウ・タビタと同9位・平田歩弓(いずれも3年)で昨年以上の成績を狙う。6位の西脇工(兵庫)は戦力がほぼ一新し、一方でライバル・須磨学園は大西ひかりと荒井優奈(いずれも3年)、樽本つかさ(2年)の3人がインターハイで決勝に残り、分厚い戦力は健在。3年ぶりの都大路はもちろん、12年ぶりの全国優勝も狙える力がある。7位の興譲館(岡山)は県20連覇を懸けて倉敷と県大会で激突する。
 前回9位と3年連続入賞を逃した世羅(広島)は留学生に続く、日本人の奮起が返り咲き入賞へのカギ。県大会では、インターハイ1500mと3000mでいずれも決勝に進んだ平岡美帆(3年)と、ユース五輪800m代表・上田万葵(2年)がいる舟入の挑戦を受ける。また、10位の諫早(長崎)は、U20世界選手権1500m代表・廣中璃梨佳(3年)がエースを務める長崎商と県代表を争いそうだ。
 昨年の全国大会で初出場ながら11位と健闘した光ヶ丘女(愛知)は、今年もインターハイ3000m8位のエース・藤中佑美(3年)を軸に2年連続の晴れ舞台を目指す。また、大分東明(大分)はインターハイ3000m女王のマータ・モカヤ(3年)に加え、9分15秒05の自己記録を持つ神田美沙(同)という日本人エースも育っている。

※2018年10月12日発売の『月刊陸上競技』11月号ではより詳しい内容を紹介しています